エピローグ『ロジオン・ハースの意向』
ロジオン視点です。
「ハース君が人型形態にするの諾してくれてよかった。にべもなく断るだろうなーって思ってたから」
――相変わらず茫洋とした人だ。
苦手としているキノコを勝手につまむソニア嬢を横目に、僕は残りの紅茶を飲み干す。レヴェナントと6番目の様子が気掛かりであると同時に、もう少しここに留まってもいいと思った。
「・・・元々さ、魔物の弱体化は研究されていたんだ。レヴェナント君みたいに知能と心があって共存が見込める個体は僅少だから・・・討伐が一番であることに変わりはない。でも対処法は他にも沢山ある」
「その1つが人型形態の定着だと?くだらない・・・見た目が異形種族から魔族に変わっただけでしょう」
僕が剣呑な雰囲気を出しても、動揺するのは周りにいる構成員だけだった。
「それでも現金なことに・・・レヴェナント君が美人なお姉さんになっただけで、シーグリッド推しだった構成員がレヴェナント君に流れつつあるみたい」
「何ですかそれ」
「シーグリッドって地味に男性人気高いんだよ。まぁ当然だよね。可愛くて素直で生き生きしてるもん」
「・・・」
レヴェナントは己の魔力量と知識を駆使して、僕が魔方陣を出さなくても勝手に召喚して来るようになった。それも全て――
『――ロジオンは昔から好き嫌いが多いからな。ずっと気にかけていたんだ。この姿だったら遠慮なく隣で指摘できる』
――僕に世話を焼く為だ。はっきり言って五月蠅い。6番目と同じくらい鬱陶しい。
レヴェナントを人型形態にしたのは単なる好奇心だ。決して実力がある癖に卑屈で、こちらの地雷を両足で踏み抜く6番目を憂恤した訳ではない。女性になってしまったのは流石に予想外だったが。
「さっきまで私も、せめて人型になるなら男性が良いと思っていましたが・・・」
周りの評価を聞いて考えが変わる。
――不明瞭で言語化は難しい・・・ただ普通に気に喰わないな。
「・・・このまま女のままでもいいかもしれませんね」
「私も。シーグリッドには同じ種族を好きになって欲しいから」
お互いの自我が交差し、僕はまた6番目と対立することなった。




