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告白は擬人化してからにします!  作者: 椋木美都


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 第十二話『命辛々だった日』

予感は的中した。それと同時に、私は未だかつてない災難の渦中にいるという事実に頭を殴られる。


「んー?アルちゃん何このお洒落な玉。下だけじゃなくて上にもつけたくなったんかい?」


「魔水晶のようですが・・・ステータスが非表示になっているので属性が不明ですね」


「んぐー!ふぐー!」


正気に戻ったお爺さんが身をよじらせて抵抗する。質問しようとハース様が猿ぐつわを解いた瞬間、胸部に埋め込まれた魔水晶が強い反応を起こした。


「あ・・・あぁ・・・」


――どうして何でこれがこの人の胸に埋め込まれてヤバイヤバイ今すぐ今すぐここから逃げて助けて死ぬ死んじゃう死にたくない!!


お爺さんが覚悟を決めたように目を閉じたその時。魔水晶から膨大なエネルギーが放出された。


『――ドォォォォォォォォォン!!』


魔水晶が爆発し、周囲の熱は数百度にまで上がる。私は直前で吸い込んでいた息を思いっきり吐いた。


「・・・はーーーっ。はぁ・・・は・・・」


魔水晶から閃光が走るより先に、私はハース様とマーフィー様に抱き着いて足元に設置した地雷を最大火力で起爆させた。元から爆発・熱傷耐性を持っているものの、あの規模の爆破を一身に受けてはひとたまりもない。


「おいおいおい!?何だあの爆発は!?」


「ゲホッ・・・っレヴェナント」


『地上は危険だ!このまま空に逃げるぞ!』


――早く・・・もっともっと遠くへ逃げないと!


「おい化け物!このままだと煙に飲まれちまう!もっと早く飛べねぇのか!」


『馬鹿デカい大剣とごつい鎧装備してるお前が文句言うな!この速度を保つので精一杯なんだぞ!』


「んだとー?鎧も大剣もカッケェだろが!ロジオン!早くデカい竜とか鳥とか召喚しろよ!」


「さっきからやってるんですが・・・どうやらこの周囲は生物に害を生す物質が発生しているようです。彼らも死を恐れて召喚を拒んでいる」


『ロジオンの言う通りだ。俺は魔物だから何ともないが・・・生命活動に酸素が必要な種族がここにいたら無事では済まないだろう』


――馬と御者は助けられなかった・・・本当にごめんなさい。


心の中で謝罪し、私は足が負傷するのも構わず再度同じ威力の地雷を空中にセットした。


「じゃあ俺以外も十分危険じゃねーか!2人も荷物抱えて戻れってか!?」


「3人共、舌を噛まないよう気をつけてください――『起爆(デトネーション)』!」


対車両型地雷『グルヴェイグの往昔(おうせき)』の爆轟によって間一髪、魔水晶の衝撃波と爆裂から逃れた。


――な、何とか回避できた・・・?


数十キロ離れた先で安全を確保し、私達は漸く一息つく。


「・・・ここまで離れれば大丈夫でしょう。レヴェナント、間を開けずに召喚してすみません」


『いいんだ。ロジオン達の安全が第一だからな。シーグリッド嬢もよく・・・』


「っ!」


咄嗟に体勢を変えて隠すが一足遅く、私は地雷で負傷した両足を皆の前で晒す羽目になってしまった。


「あん?シーグリッドちゃんって地雷無効化の能力持ってねーの?」


「耐性は高いですけど上限はあります・・・耐久値を上回るレベルの爆発は私でも危険なんですよ」


『無差別性』の中には当然私も該当する。小規模の爆発であれば逆に利用して移動速度を上げることが可能だ。


「えーダルっ。お前の魔法って割と不便だな」


――うるさいな。私だって爆発の影響を受けなかったらいいなって思ってるよ・・・。


私の魔法が『地雷(ランドマイン)』と知ってから、爆心地にいても無傷でいたいと思っていた。けれど・・・師匠はいつまで経っても地雷無効化の魔法を教えてくれなかった。


「もし6番目が『地雷(ランドマイン)』の影響を受けない性質を持っていたら・・・間違いなく国の危険魔導士として幽閉または処刑されていたでしょう。手に余る力は時として葬られるのが世の常です」


――師匠にも『シーグリッドは魔導士じゃなくて大量破壊兵器になりたいの?』って言われたんだよな・・・。


師匠とハース様の言うことは間違っていない。それは分かってる。


――でもさぁ・・・!


「っあし、足痛いよぉ・・・」


ボロボロになった足を見ると余計痛みが増し、ポロポロと涙を流した。面倒くさそうに舌を打つマーフィー様の所為で更に心が傷ついた。


「こあかった・・・怖っ、しんじゃうかと思ったああああ」


「おいおい急にガキに戻んなよなぁ。おいロジオン。同じガキ同士適当にあやして・・・」


「ぅっ・・・」


『ロジオン!?酷い熱だ・・・まさか例の有害物質の影響を受けたのか!?』


「お前もかよ!チッ。ったく・・・しょーがねぇなぁ!」


私は痛みと恐怖で泣き崩れ、ハース様は急に目を抑えて倒れた。彼の肌がみるみるうちに変色していくのがぼやけた視界でも分かる。


――やっぱり間違いない!あの魔水晶は・・・。


魔水晶と製作者の正体が分かったところで――怪我による痛みと消費していた魔力が前回復した。


「・・・あれ治ってる?」


「はぁ・・・コルビーさん、ありがとうございます」


『ロジオン!シーグリッド嬢も・・・よかった』


数多の目から酸性の液体を出すレヴェナントさんを宥めるとマーフィー様が不機嫌そうな表情を隠しもせず溜息を吐く。


「これで爆弾の借りは返したぜ。んじゃ、俺はちょっくら爆心地の様子でも見てくるわ」


乱暴に頭を掻いてそう吐き捨てる彼を、私達は呆けた表情で見送った。


「マーフィー様って回復役(ヒーラー)でしたっけ」


「いえ。他者の回復は副次的なものだそうです。コルビーさんの魔法は魔力吸収(マジックドレイン・)過剰回復(オーバーヒール)。攻撃した数とダメージを負った数だけ相手の魔力・攻撃・防御・回復・身体能力を吸収し、自身に付加できます。それだけでなく、最大値を超えて吸収した場合――上限を超えて寿命が少し伸びると聞きました」


『確かに。コルビー坊が怪我を負っているところは見たことないな』


最後の方は眉唾だが、十分チートな魔法だと思った。やっぱシンプルイズベストだね!


「つまりマーフィー様は、自分が吸収したものを私達に分けてくれたってことですか?」


「彼は強欲と傲慢の服を着て歩いているような男です。普段から自分のものを相手に恵む行為をするような人ではない」


ハース様は表情に影を落とし、助けられるのにも拘わらず見捨てた構成員や幹部を沢山見てきたと話してくれた。


――確かに私達を助けた時凄い嫌そうにしてたもんな・・・。こんな態度取られちゃ今後負傷しても迂闊に頼れないかも。


「それに魔法の性質上、過酷な戦闘の場に置かれても味方から軽視されることが多いんです。だからこそ、6番目がコルビーさんを助けたことが救済に繋がったんでしょう」


『本当によかった・・・まぁ俺を前にして2人を見捨てるなんてことはさせないが』


――アッかっこいい召されそう・・・。


不意打ちでレヴェナントさんの美声と殺し文句を喰らい、危うく腰が砕けるところだった。慌てて赤くなりかけた顔を手で隠す。


「も、もしあのまま爆心地にいても・・・回復のストックがあるコルビーさんは無傷だったんですかね」


「本人もそれを確かめるために現場へ戻ろうとしたんでしょう。我々も追いますよ」


調子を取り戻した私とハース様だったが、爆心地を起点に毒の雨が降り出したことで再び死にかけた。


「まさか二段階攻撃だとは・・・6番目はあれと同じタイプの地雷を生成できるんですか?」


「できません。やーでも、雨だけじゃなくて空気も凄い汚染されてる気がしますねー」


『なら俺が様子を見てこよう。この目を通してロジオンとシーグリッド嬢に見せるから』


「ありがとうございます」


――どうしよう・・・いや!私は見とかなきゃ駄目だよね。


私は逡巡し、レヴェナントさんの横に並んだ。2人っきりになれるチャンスをここで逃す訳には・・・じゃなくて調査の為にね!

コルビー・マーフィー(34歳)

魔法・・・魔力吸収(マジックドレイン・)過剰回復(オーバーヒール)

・攻撃した数とダメージを負った数だけ相手の魔力・攻撃・防御・回復・身体能力を吸収し、最大値を突破して自身に付加できる。寿命は延びない。

・他者にも譲渡が可能だが、性格上よっぽどのことがない限りしたくない。過剰に回復させた相手は性的な恍惚を得るため、それ目的で譲渡することが殆ど。

過剰回復(オーバーヒール)の天井は彼も知らない。故に彼と戦う強者は『勝てるけど倒せない』と判断し、時たま交渉で戦いを収める節がある。近・中距離の長期戦が有利。

・ソニアは組織加入時、当時No.3の彼に『無傷でNo.4に収まるか、一瞬で肉体ごと消滅させる魔法をぶつけられるか選んで』と彼が反射的に首を縦に振る程の魔力をチラつかせ脅した。傷の修復はできても再生は不可能だと知っていた模様。

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