表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/129

約束の地へ

紅月の巫女として覚醒した真奈は、ルナリエから「紅月の力」を完全に解放する道を選び、魔界の未来を賭けた戦いへ臨むことを決意した。犠牲を伴う選択に迷いながらも、ラザールとイグナスの支えを受け、真奈は力強く前を向く。そして、次なる目的地「約束の地」に向けて旅を再開する。

次の目的地となる「約束の地」は、魔界の北方にある広大な荒野の中心に位置していた。そこには、古の魔族が残した「盟約の塔」がそびえ立つと伝えられている。この地は、紅月の力をさらに引き出すための重要な場所であり、同時に危険な罠が待ち構えているとも言われていた。

旅の途中、三人は小さな森で休息を取る。焚き火を囲む中、イグナスがふざけるように笑いながら口を開いた。

「しかし、真奈、お前もずいぶん肝が据わってきたな。初めて会った時は怯えてばかりだったのに。」

「そうだっけ……?」

真奈は少し照れながら、イグナスの言葉を思い返す。

「覚えてるさ。俺に剣を向けられたとき、泣きそうな顔してラザールにしがみついてたじゃないか。」

「ちょっと!そんなこと言わないでよ!」

真奈の抗議に、ラザールが苦笑しながら口を挟む。

「それは俺も覚えているな。もっとも、今のお前はもう、そんな弱い少女じゃない。」

「ラザール……」

真奈の顔が赤くなり、焚き火の明かりがさらに彼女の表情を照らし出す。ラザールの言葉には、ただの慰めではなく、彼女を信じる真剣な思いが込められていた。

「真奈。」

ラザールは静かに言葉を続ける。

「これから向かう約束の地では、俺たちもお前も、これまで以上に過酷な試練に直面するだろう。それでも、お前が選んだ道を支える。それが俺の役目だ。」

「ありがとう……ラザール。」

真奈は小さく頷きながら、ラザールの言葉を胸に刻み込む。そして、イグナスが軽く肩を叩きながら笑う。

「おいおい、感動的な雰囲気になるのはいいが、俺を忘れるなよな。真奈、何があっても俺もお前の味方だ。」

「うん、ありがとう、イグナス!」

三人の絆がさらに深まる中、焚き火の炎が静かに揺れていた。

翌朝、彼らは魔界の北方へと続く険しい道を進み始めた。荒涼とした大地には冷たい風が吹き荒れ、空には黒い雲が広がる。不穏な雰囲気の中、真奈は紅月の鍵を握りしめながら足を進めた。

「ここが北方の荒野……予想以上に寒いね。」

真奈が呟く。

「ここは魔界でも過酷な場所だ。特に約束の地は、魔界の力が渦巻いている場所だからな。」

ラザールが険しい表情で答える。

突然、風の中に何かが動く気配がした。

「何か来るぞ!」

イグナスがすかさず剣を構える。

次の瞬間、地面から黒い霧のようなものが湧き上がり、それが形を成していく。現れたのは巨大な狼のような魔獣だった。

「侵入者を排除せよ……」

低い声が荒野に響き渡る。

魔獣の咆哮が轟き、地面が震える。ラザールとイグナスが即座に前に出て、真奈を守るように構えた。

「真奈、下がれ!」

ラザールが鋭い声で指示を飛ばす。

「でも……私も戦える!」

真奈は躊躇いながらも紅月の鍵を掲げた。その瞬間、鍵が赤い光を放ち、真奈の体に力が流れ込むのを感じた。

「その力、まだ完全に制御できていないだろう!」

ラザールが焦った表情を見せるが、真奈は一歩も引かない。

「大丈夫……もう弱いままじゃいられない!」

ラザールとイグナスが魔獣と激しく戦う中、真奈は鍵の力を集中させ、魔獣の動きを封じる魔法を発動した。

「これで動きを止める!」

赤い光が魔獣を包み込み、その体を硬直させる。しかし、その力は真奈の体力を大きく削るものだった。

「真奈、無理するな!」

ラザールが魔獣に止めを刺しながら叫ぶ。

「大丈夫……みんなが守ってくれるって信じてるから。」

真奈は微笑みながら、倒れる魔獣を見つめた。

魔獣を倒した三人は、ついに「約束の地」にたどり着いた。そこには、古びた石造りの塔がそびえ立っており、紅い光が塔の頂上から放たれている。

「ここが……盟約の塔。」

真奈はその威圧感に息を呑む。

「ここで紅月の力をさらに高める儀式を行うことになる。」

ラザールが説明する。

「だが、その前にまた試練が待ち受けているはずだ。」

イグナスが周囲を警戒しながら付け加えた。

真奈は塔を見上げながら、再び強く決意を固めた。

「どんな試練でも、乗り越えてみせる。この力を、魔界の未来のために使うんだ。」

ラザールとイグナスがそんな真奈の背中を頼もしく見守りながら、三人は塔の内部へと足を踏み入れるのだった。

盟約の塔に隠された秘密とは?真奈たちの前に立ちはだかる守護者の正体が明かされる。

果たして彼らは試練を乗り越えることができるのか——。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ