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守護者の試練

真奈が石板に触れた瞬間、遺跡の奥から放たれた咆哮が一行を圧倒した。巨大な影が赤黒い光の中から現れる。その姿は四足歩行の獣のようでありながら、背中から生えた無数の棘が異様な威圧感を漂わせている。

「これが遺跡を守る守護者……!」

ラザールが剣を抜き、緊張した声でつぶやく。

守護者の目が真奈に向けられると、まるで彼女を試すように低く唸り声をあげた。その音だけで足元の地面が揺れる。

「気をつけろ! あの目は単なる敵意じゃない……。こいつは真奈の力を試している!」

ルシアスが警告する。

「試す……って、どういうことですか!?」

真奈が動揺するが、返答はなく、守護者が猛然と牙を剥いて突進してきた。

「真奈、下がれ!」

ラザールが真奈をかばいながら守護者の攻撃を剣で受け止める。しかし、あまりの衝撃に膝をつく。

「くそっ……想像以上だ!」

イグナスも背後から援護するように鋭い剣撃を繰り出すが、守護者の硬い鱗に弾かれてしまう。

「真奈!」

ラザールが振り返り、真奈に叫ぶ。

「お前が中心だ! 自分の力を信じろ!」

真奈は息を飲みながら周囲を見回す。自分が今ここにいる理由。守護者の目が彼女をじっと見つめるたび、何かが心の奥から呼び起こされる感覚があった。

「私の……力……?」

守護者の次の攻撃が放たれる。鋭い爪がラザールに向かうその瞬間、真奈の体が勝手に動いた。

「やめて!」

叫ぶと同時に、彼女の手から眩い光が放たれ、守護者の動きが一瞬止まった。その間にラザールは身をかわし、再び剣を構える。

「今のは……真奈、お前がやったのか?」

イグナスが驚きながら真奈を見つめる。

「分からない……でも、何かが……」

真奈の体に刻まれた紋章が輝き、彼女の中に眠っていた力が解放されようとしていた。それは彼女自身も知らない力——魔界の鍵として召喚された「使命」の一端だった。

守護者は光に怯むことなく、再び攻撃を繰り出す。今度はその背中の棘から黒いエネルギーのようなものが放出され、一行を飲み込もうとする。

「くそっ、これじゃ全滅だ!」

イグナスが叫ぶ中、ラザールが咄嗟に防御の魔法を展開する。

「イグナス、俺に合わせろ! 真奈を守るぞ!」

「了解だ!」

ラザールとイグナスが息を合わせて攻撃を防ぎながら、真奈を支援する。その間、真奈は必死に自分の内なる力を引き出そうと集中する。

「私も……戦える!」

彼女は紋章が輝く手を掲げ、守護者の動きを止めるべく全力を振り絞った。光の柱が彼女の手から放たれ、守護者の動きを一瞬鈍らせる。

光を浴びた守護者が動きを止め、真奈をじっと見つめる。その目には怒りではなく、どこか哀しみのような感情が浮かんでいた。

「……私に何を求めているの?」

真奈が静かに問いかけると、守護者の目が柔らかく光る。彼女の心の中に言葉が直接響いてきた。

「試練を超えし者よ……汝はこの地の記憶を受け継ぐ者……」

「記憶……?」

守護者の言葉とともに、真奈の頭の中に無数の映像が流れ込んでくる。それは、この遺跡が生まれた理由、そして魔界の起源に関わる悲劇だった。

彼女はその中で、魔界を支配する力が争いを生み、それを止めるために「鍵」と呼ばれる存在が現れる歴史を目の当たりにした。

「あなたたちは、私に何をさせたいの……?」

「汝が選ぶ道により、未来は定まる……」

守護者は真奈の覚悟を見届けたように再び動きを止め、巨大な体を低く伏せた。それはまるで彼女の力を認めたかのようだった。

「これで……試練は終わったのか?」

ラザールが慎重に剣を下ろしながら守護者を見つめる。

「多分……。でも、私はまだ何も分かってない……。」

真奈は自分の力の本質と使命の重さに戸惑いながらも、守護者が去っていく背中を見送り、何かを決意したように拳を握りしめた。

「きっと、私はこの力を使って、魔界に平和を取り戻すんだ……!」

彼女の決意に、ラザールとイグナスがそれぞれ微笑んだ。

「その気持ちがあるなら、きっと大丈夫だ。」

ラザールがそっと彼女の肩に手を置き、優しく言った。

「行こう、真奈。まだ道は続いている。」

魔界の起源を知る真奈の旅。彼女が見た未来とは?

魔界を覆う真実に迫る——。


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