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約束の地

星空の結界で次元の門の鍵を手に入れたラザールとイグナス。真奈の声を耳にしながら、二人は彼女の存在をさらに強く確信する。しかし、鍵を手にしたことで、新たな脅威が目覚めようとしていた。

「これは……」

ラザールの手のひらで輝く光の球が、空に向かって一本の道を描き出した。その道は暗雲を切り裂くように空高く伸び、遙か彼方へと続いている。

「どうやら次元の門はこの道の先にあるらしいな。」

イグナスが額の汗を拭いながら苦笑する。

「気を抜くな。ここからが本番だ。」

ラザールの声には決意が宿っていた。鍵を手にした瞬間から感じている得体の知れない圧力。それが道の先に待ち受ける何かを物語っていた。

一方、異空間に囚われている真奈もまた、次元の門の鍵の覚醒に伴い奇妙な体験をしていた。

真奈は気づくと、一面真っ白な空間に立っていた。足元も天井も、どこまでも続く白い空間には、時間すら存在しないような静けさが漂っている。

「ここ……どこ?」

恐る恐る一歩踏み出そうとしたそのとき、目の前に黒い影が現れた。

影の中から現れたのは、真奈自身の姿。しかし、その顔は冷たく、どこか狂気を帯びている。

「あなたは誰……?」

「私? 私はあなたよ。あなたがここに閉じ込められている間に失いかけている“希望”そのもの。」

影の真奈が不敵な笑みを浮かべながら、真奈に問いを投げかける。

「ラザールが助けに来ると本当に信じてる? あの人にとって、あなたはただの『鍵』かもしれないのに。」

その言葉に真奈は一瞬心を乱される。しかし、ラザールと過ごした日々、彼が自分を守り抜こうとしてくれた姿を思い返し、真奈は毅然と答えた。

「ラザールは……必ず私を助けに来る。私は信じてる!」

その瞬間、影の真奈が形を失い、光の粒となって消えていった。

「信じること……それが私の力なんだ。」

真奈の心の中に新たな強さが芽生える。

ラザールとイグナスは道の先に広がる巨大な空間へと到達した。そこには、大きな石造りの門がそびえ立っており、周囲には不気味な魔力が渦巻いている。

「ここが……次元の門か。」

ラザールが剣を握り直しながら門を見上げる。その刹那、地響きとともに周囲の空間が暗黒に染まり、門を守護する魔物が姿を現した。

その姿は、漆黒の翼を持つ巨体の獣。魔物は鋭い爪を振り下ろし、ラザールたちを迎え撃とうとする。

「こんな場所で時間を食ってられない!」

イグナスが素早く剣を抜き、魔物の攻撃を受け止める。

「ラザール、門を開く準備をしてくれ! こいつは俺が引き受ける!」

「無茶をするな、イグナス!」

ラザールがそう叫ぶも、イグナスは軽く笑ってみせた。

「俺を誰だと思ってるんだ? お前の親友だろ?」

イグナスの剣さばきが魔物の動きを封じる中、ラザールは門の前で鍵を掲げた。鍵の光が門の模様をなぞるように広がり、門がゆっくりと開き始める。

「頼む、間に合ってくれ!」

しかし、そのとき魔物がイグナスの防御を突破し、ラザールに向かって飛びかかってきた。

「ラザール!」

その瞬間、ラザールの耳に真奈の声が響いた。

「私がここにいる……だから、負けないで!」

その声に応えるように、ラザールの剣が紅い光を帯び始めた。

「お前に邪魔されるわけにはいかない!」

ラザールは剣を一閃し、魔物の爪を弾き飛ばす。続いて放たれた彼の渾身の一撃が魔物の胸を貫き、巨体が崩れ落ちた。

門が完全に開かれると、中から真奈の姿が薄く浮かび上がってきた。

「真奈……!」

ラザールが手を伸ばすと、光が真奈を包み込むように彼の元へと近づく。

門の中で真奈の姿はまだはっきりとは見えないものの、彼女の声が再び届く。

「ラザール……ありがとう。もう少しで……きっと、会えるよね。」

ラザールは静かに微笑み、門の先に進む決意を固めた。

「必ず助け出す。それが俺の役目だ。」

一方、イグナスは戦闘の余韻に疲労しながらも、ラザールの隣で肩を叩いた。

「まったく、お前ってやつは……いつもヒロインにかっこつけるのが好きだよな。」

二人は短く笑い合い、門の奥へと進んでいく。


いよいよラザールと真奈が直接対面する時が訪れる。しかし、その先にはさらなる試練が待ち受けていた——。


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