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:灰燼の荒野と約束の地

嘆きの塔での試練を越え、ゼクトラの呪いを解くために新たな力を手にした真奈たちは、「灰燼の荒野」と呼ばれる広大な砂漠地帯へ足を踏み入れた。この地には魔界の古代の力が眠っていると伝えられており、次の手がかりがあるはずだった。

しかし、この荒野は「生きた砂」とも呼ばれる魔界でも特に危険な地域であり、進むべき道を誤れば命の保証はない。

「ここが『灰燼の荒野』……本当に何もない場所だね。」

真奈は目の前に広がる果てしない砂地を見つめながら呟いた。乾燥した風が吹き抜けるたび、彼女の黒髪が軽くなびく。

「ただの砂漠だと思うなよ。」

イグナスが笑いながら、砂に突き刺さった獣の骨を指差した。

「ここじゃ、地面そのものが敵になる。下手に歩けば砂そのものに飲み込まれるぜ。」

「そんなの怖すぎる……。」

真奈はペンダントを握りしめて一歩ずつ慎重に歩き始めた。ラザールは彼女の隣で警戒を怠らない。

「俺たちが向かうのは『灰の祠』。そこには、古代魔族の遺した真実が隠されているはずだ。」

「灰の祠……。」

その名を聞くだけで、真奈は漠然とした不安を覚えた。しかし、この旅の中で多くの困難を乗り越えてきた彼女は、その不安を胸に秘めながら歩を進めた。

荒野を進む中、突然地面が揺れ出した。

「気をつけろ!」

ラザールが叫んだ瞬間、砂の中から巨大な蠍のような生物が飛び出してきた。その体は岩のように硬く、鋭い尻尾が毒液を滴らせている。

「出たな、砂の守護者か。」

イグナスが剣を抜き、すぐさま構える。

「真奈、下がれ!」

ラザールが彼女を庇いながら敵に向かっていく。しかし、守護者の動きは巨大な体格に似合わず俊敏であり、ラザールの攻撃をかわして反撃を繰り出してきた。

「そんな……! 私も何かしなきゃ!」

真奈はペンダントに意識を集中させ、塔で目覚めた新たな力を試そうとした。しかし、砂漠の過酷な環境のせいか、うまく力を発揮することができない。

「焦るな、真奈!」

イグナスが敵の注意を引きながら叫ぶ。

「まずは自分の力を信じるんだ。お前ならやれる!」

その言葉に背中を押され、真奈は深呼吸をした。そして、ペンダントに込められた力が再び熱を帯び始める。

「私は……皆を守る!」

ペンダントから放たれた光が、蠍の守護者の動きを封じた。その隙にラザールとイグナスが一斉に攻撃を仕掛け、守護者を仕留めることに成功した。

「やった……!」

真奈が安堵の息をつくと、ラザールが彼女の肩に手を置いた。

「よくやった。お前の力がなければ苦戦していた。」

「本当に……ありがとうな。」

イグナスも疲れた様子で笑みを浮かべる。

守護者を倒した一行は、ついに目的地である「灰の祠」に到着した。その場所は朽ちた石造りの神殿のようで、入口には古代魔族の言葉で何かが刻まれていた。

「これが……灰の祠。」

真奈がつぶやくと、ラザールが注意深く入口を調べ始めた。

「ここには、魔界の創生に関わる秘密が隠されているはずだ。」

その時、祠の中から低いうなり声が聞こえてきた。一行が警戒を強める中、ラザールは剣を構えたまま進む決意を固める。

「何が待っていようと、進むしかない。」

「……私も一緒に行くよ。」

真奈が一歩前に出ると、ラザールとイグナスが一瞬驚いた表情を浮かべた。

「大丈夫。私もここで学んだんだ。怖がってるだけじゃ何も変えられないって。」

その言葉に、ラザールは静かに頷いた。

灰の祠には魔界の過去と未来をつなぐ重要な秘密が眠っている。しかし、そこに眠るのは真実だけではなく、新たな敵や試練も待ち受けているに違いない。

古代魔族の記憶と出会い、真奈とラザールが新たな選択を迫られる——。


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