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蠢く影と新たな力

嘆きの塔で「血の契約書」の試練を乗り越えた真奈たち。ゼクトラの呪いを解くための新たな手がかりを得るも、彼らを取り巻く状況はますます危険なものになりつつあった。

塔を出た一行は、次の目的地である「灰燼の荒野」を目指していたが、その途中、周囲の空気が変わったことに気付く。

「妙だな……誰かが俺たちを追っている。」

先頭を歩くラザールが周囲を警戒しながら呟く。その鋭い眼差しは霧の奥を睨んでいた。

「追ってきてる? もしかしてゼクトラの部下とか?」

真奈が不安げに問うと、イグナスが軽く肩を竦めて答えた。

「間違いないだろうな。ゼクトラの配下が動き出しているってことだ。」

イグナスの顔からは普段の軽口が消え、真剣そのものだった。ラザールも深く頷き、剣の柄に手を置く。

「真奈、何が起きても俺たちの後ろにいろ。」

緊張感が漂う中、突然、霧の中から闇のように黒い鎧をまとった魔族たちが現れた。その中心に立つのは、ゼクトラの腹心と噂される戦士、「ヴァーレン」。

「これ以上、王子殿下が余計な真似をするのを見過ごすわけにはいかない。」

低く冷たい声が響くと同時に、ヴァーレンの手には巨大な斧が現れた。

「ラザール・ヴァルディア、血の契約を放棄することなど許されない。お前とその少女はここで終わりだ。」

ラザールは剣を抜き、鋭い瞳でヴァーレンを見据えた。

「許されないかどうかはお前たちが決めることじゃない。」

ヴァーレンの号令と共に部下たちが襲いかかってきた。ラザールが前に出て剣を振るうと、一瞬で2体の敵を吹き飛ばす。その威力に目を見張る真奈だったが、すぐに足元に迫る影に気付く。

「危ない!」

イグナスが真奈を庇い、敵の刃を弾き飛ばした。

「お嬢ちゃん、ぼーっとしてる暇はないぜ!」

「ご、ごめん!」

真奈はペンダントを握りしめ、自分の役割を思い出そうとした。

一方、ヴァーレンとラザールの一騎打ちが激しさを増していた。ヴァーレンの巨大な斧は、地面を砕くほどの威力を持ち、ラザールの素早い動きですら捉えようとしていた。

「さすがはゼクトラの腹心……だが、俺は負けない!」

ラザールの剣が赤い光を帯び始める。それはヴァーレンを追い詰めるほどの力を発揮し、やがて敵の部下たちをも震え上がらせた。

戦況が一進一退を繰り返す中、真奈のペンダントが突然強く光り始めた。

「この光……何?」

ペンダントの光に導かれるように真奈の意識が一瞬遠のき、気付けば彼女は真っ白な空間に立っていた。そこに現れたのは、過去に血の盟約を結んだ魔族たちの魂だった。

「君はこの魔界の未来を救うために選ばれた者……だが、それには力が必要だ。」

「力?」

真奈は戸惑いながらも、魂たちの手を取った。その瞬間、彼女の体に新たな力が流れ込むのを感じた。

「私にも……できる!」

目を開けると、ペンダントが炎のように輝き、その力が敵の魔族たちを包み込んだ。敵はその光を浴びて苦しみながら霧散していく。

「真奈……!」

ラザールが驚きの声を上げる。

「私、この力をどうにか使えるみたい!」

真奈は恐れながらも、新たな力をラザールとイグナスの援護に使い始めた。

最後に残ったヴァーレンは、ラザールの一撃で膝をつき、敗北を認めざるを得なかった。

「貴様らのような存在が……この呪われた魔界を変えられるとでも思うのか。」

ヴァーレンは苦々しい表情でそう言い残し、闇の霧と共に姿を消した。

戦いが終わり、真奈たちは再び旅路に戻る。だが、今回の戦闘で真奈の力が周囲に知られることになった。

「これから、もっと敵が増えるかもしれないな。」

イグナスが冗談めかしながら言うが、その表情には不安があった。

「どんな敵が来ても、私たちなら乗り越えられるよ!」

真奈は笑顔で答えたが、その瞳には決意が宿っていた。

彼らを襲ったヴァーレンの目的はただの妨害ではなかった。ゼクトラの真意を探るべく、次の「灰燼の荒野」ではさらに過酷な試練が待っている。


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