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闇の盟主の影

闇の盟主ゼクトラが姿を現し、魔界の未来を脅かす存在が明らかになった。均衡を取り戻すための戦いは、これからが本番となる。初代「鍵」の言葉を胸に刻み、真奈、ラザール、イグナスの3人は、新たな手がかりを求めて旅立つ。彼らの行く先には、ゼクトラの影響が色濃く残る「魔深の森」が待ち受けていた。

「ゼクトラ……闇の盟主か。なんて厄介な敵が出てきたもんだな。」

イグナスが肩をすくめながら、馬車の荷台に腰掛けていた。銀髪が風になびき、冗談めいた口調ながらもその目は鋭い。

「気を抜くな。奴が言っていた『闇に飲まれる』とはどういう意味か、考えるだけで嫌な予感がする。」

ラザールは前方を見据え、緊張感を隠さなかった。

真奈は彼らの会話を聞きながら、手に握るペンダントをじっと見つめていた。これは初代から受け取ったもので、魔界の未来を守るために重要な「鍵」の役割を持つという。

「初代が言っていた『魔界の内部にある矛盾』って、具体的にはどういうことなんだろう……。」

真奈の呟きに、ラザールが少しだけ顔を緩めて振り返った。

「それを知るためにも、次の目的地で情報を集める必要がある。魔深の森には、古代から続く魔界の記憶が眠っているらしい。」

「記憶……?」

「簡単に言えば、この世界の歴史を映し出す力を持つと言われている。そこに行けば、ゼクトラの正体や目的も少しはわかるかもしれない。」

イグナスが陽気に笑う。

「まあ、歴史を見るなんてのは俺の趣味じゃないが、あんたが必要ならどこだって付き合うさ。」

真奈は彼の言葉に微笑み、心の中で決意を新たにする。

一行が魔深の森の入口に到着したとき、そこには不穏な気配が漂っていた。森全体が闇に包まれ、木々はまるで生き物のようにうねり、呻いているかのようだった。

「……嫌な感じだな。」

イグナスが剣の柄に手をかけ、周囲を警戒する。

真奈もペンダントを握りしめ、不安そうにラザールを見上げた。

「ここ、本当に大丈夫なの?」

「気を引き締めろ。ゼクトラの影響が強い場所ほど、何かしらの手がかりがあるはずだ。」

ラザールが一歩前に出た瞬間、森の奥から低い咆哮が聞こえた。次の瞬間、黒い霧が広がり、その中から無数の魔獣が姿を現す。

「来たか……!」

ラザールが剣を抜き、イグナスも戦闘態勢に入る。

「真奈、後ろに下がってろ!」

ラザールが叫んだが、真奈はその場を動かない。

「私だって戦えるよ! これ以上、みんなに迷惑かけたくない!」

真奈は震える手でペンダントを掲げる。その瞬間、ペンダントが淡い光を放ち、魔獣たちの動きが鈍くなった。

「おいおい、何をしたんだ、真奈!」

イグナスが驚きながらも笑みを浮かべる。

「わからないけど……この光、彼らを押さえ込んでるみたい!」

「その隙に叩く!」

ラザールが一気に前進し、黒い霧の中心にいる大きな魔獣を一刀両断にする。その途端、周囲の霧が晴れ、静寂が戻った。

戦いの後、一行は森の中心部にたどり着いた。そこには、古びた石碑が立っており、魔法陣が刻まれていた。

「ここが、魔深の森の記憶が眠る場所か……。」

ラザールが慎重に魔法陣に手を触れると、それが淡く輝き始めた。

突然、真奈の目の前に幻影が広がった。そこには、かつて栄えていた魔界の姿と、次第に分裂していく魔族たちの争いが映し出されていた。

「これが……魔界の矛盾……?」

幻影の最後には、ゼクトラと思われる人物が映し出された。彼は嘲笑いながら、魔界を統べる者たちを倒し、闇を広げていく。

「これは……!」

真奈は息を呑む。ゼクトラの背後には、見覚えのある紋章が浮かんでいた。それは、ラザールの一族と同じ紋章だった。

「どういうことだ……?」

ラザールもその場に立ち尽くす。

「ゼクトラが、お前の一族と関係している可能性が高いな。」

イグナスが慎重に言葉を選びながら呟く。

「まさか……俺の家系が、魔界の崩壊に関与しているというのか……?」

ラザールの拳が震えていた。

真奈は彼の手を握り、力強く言った。

「そんなことないよ! ラザールは魔界を救おうとしてる。ゼクトラと同じ紋章があったとしても、それは関係ない!」

その言葉にラザールの表情が少し和らいだ。

「ありがとう、真奈。だが、この謎を解かない限り、魔界の未来は見えてこない。」

イグナスが笑みを浮かべる。

「俺たちがやるべきことは変わらねえ。ゼクトラを倒し、魔界の均衡を取り戻すだけだ。」

ラザールも真奈も頷き、再び前を向く。

「行こう。この先に待ち受ける真実を知るために。」

魔深の森で得た手がかりとともに、新たな謎に挑む真奈たち。だが、その真実は、彼らに新たな試練と犠牲を強いるものだった。


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