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黄昏の城の謎

黄昏の城——それは、かつて魔界の中心に位置し、繁栄の象徴であった古の城。しかし今や、黒い霧に覆われ、そこに近づく者を拒む不気味な廃墟と化していた。真奈、ラザール、イグナスの三人は、荒廃した城門を前にして立ち尽くしていた。

「これが……黄昏の城……。」

真奈は背筋を震わせながら呟く。その眼前に広がる光景は、威厳というよりも禍々しさに満ちていた。

「気を抜くな。この城そのものが罠だと思え。」

ラザールが真奈の肩に手を置き、冷静な口調で言う。彼の表情は険しく、普段よりも警戒を強めているようだった。

「そう言われてもな……この霧、嫌な感じだ。」

イグナスが剣の柄を握りしめ、城を見上げる。彼の冗談めいた口調は鳴りを潜め、真剣そのものだった。

三人は城の門をくぐると、内部にはさらに濃い霧が立ち込めていた。霧の中に浮かぶ淡い光が奇妙な模様を描き出し、そこから低く唸るような音が聞こえてくる。

「何かがいる……!」

ラザールが即座に剣を構えた。

次の瞬間、霧の中から漆黒の魔物が現れた。牙を剥き出しにし、赤い目を光らせるその姿は、これまで戦ってきたどの敵よりも異質だった。

「これが、この城を守る者か。」

ラザールが前に出て魔物と対峙する。

「俺も加勢するぜ。」

イグナスが笑みを浮かべながらラザールの隣に並ぶ。

「真奈、ここは俺たちに任せろ!」

「でも……!」

真奈は躊躇するが、ラザールの力強い瞳が彼女を黙らせた。

「お前はこの先に進め。俺たちを信じろ。」

真奈は決意を込めて頷き、二人に背を向けて奥へと走り出した。

薄暗い廊下を進む中、真奈は妙な気配を感じた。道の先にある扉がひときわ不気味に光を放っている。それに吸い寄せられるようにして扉を開けると、中には古びた石碑と魔法陣が描かれた床があった。

「ここは……何?」

真奈が部屋の中央に立つと、突如として石碑が輝き始めた。そして、石碑から声が響く。

「異界の少女よ……貴様は何故ここに来た?」

その声は低く、威圧的でありながらもどこか哀しげだった。

「私は……魔界を救いたいから……!」

真奈は震える声で答える。

「救う……?そのために、いかなる犠牲も厭わぬか?」

「犠牲……?」

真奈はその言葉に息を呑む。

「魔界を救うということは、闇をも救うことだ。その覚悟が貴様にあるのか?」

真奈の頭の中に、これまでの旅で見てきた景色や、出会った人々の顔が浮かんだ。ラザール、イグナス、そして魔界で暮らす人々の笑顔。

「……覚悟はある。私は、みんなを守りたいから!」

真奈の答えに応じるように、魔法陣が一際強い光を放ち始めた。

ラザールとイグナスの苦戦

一方、城の入り口では、ラザールとイグナスが次々と襲い来る魔物の群れに苦戦していた。

「くそっ、いくら倒してもキリがない!」

イグナスが息を切らしながら叫ぶ。

「こいつら……時間稼ぎのつもりか。」

ラザールが鋭い目を魔物たちに向ける。

その時、城の奥から眩い光が漏れ出した。

「……真奈か。」

ラザールは短く呟き、剣を一閃。最後の魔物を斬り伏せた。

真奈が立つ部屋の光が収まり、静寂が訪れた。しかし、次の瞬間、部屋の奥に現れたのは巨大な黒い影だった。

「お前が……闇の王……?」

黒い影は答えず、ただ真奈をじっと見つめる。その瞳には、底知れない闇と、微かな光が混在しているようだった。

「真奈!」

ラザールとイグナスが駆け込んでくる。

「ラザール、イグナス……!」

「それが闇の王か……!」

イグナスが剣を構えるが、ラザールが手を上げて制した。

「待て、イグナス。まだ様子を見ろ。」

闇の王は低い声で語り始めた。

「我は、この城の守護者にして、魔界の均衡を保つ者。」

「均衡を保つ……?」

ラザールが眉をひそめる。

「異界の少女よ……貴様が現れたことで、その均衡は破られた。」

闇の王の言葉に、真奈は自分が魔界に与えた影響を改めて痛感する。

「でも、それでも私は——」

「その覚悟を証明せよ。我が試練を乗り越えた時、答えが見えるであろう。」

闇の王が手を掲げると、部屋全体が揺れ始めた。そして、床が崩れ、三人は闇の中へと飲み込まれていった——。

闇の王の試練——それは、心と体、そして絆の全てを試される過酷な迷宮だった。果たして、三人はこの試練を乗り越えられるのか?魔界の真実が明らかになる——


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