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闇の名を持つ者

真奈が「真実の王冠」に触れたことで明かされた魔界の過去。そこには、魔界を覆う闇の正体と、魔界そのものが抱える宿命的な歪みが記されていた。彼女はその真実をラザールとイグナスに伝えるが、事態はさらに混迷を深めていく——。

王冠の輝きが消え、静寂が訪れた聖域で、真奈は震える手でラザールとイグナスの方を振り返った。

「ラザール、イグナスさん……私、見たの。魔界の真実を。」

ラザールが一歩前に進み、真奈の肩に手を置く。

「何を見た? 言えることがあるなら話してくれ。」

真奈はゆっくりと頷き、震えた声で語り始めた。

「魔界を作り上げたのは、"闇の名を持つ者"……その者は、魔界を繁栄させると同時に滅びへと導く存在だったの。」

ラザールとイグナスの表情が険しくなる。

「闇の名を持つ者……そいつが魔界を混乱に陥れている張本人ということか?」

イグナスが低く呟く。

「違うの。彼は……魔界そのものなの。」

その言葉に、一瞬空気が凍る。

「どういう意味だ?」

ラザールが問い詰めるように聞くが、真奈もその全貌を言葉にするのは難しいと感じていた。

「私が見たのは、魔界の歴史そのもの。始まりから今に至るまで、"闇"がずっと魔界を支えてきた。でも、その力がもう制御できなくなって……今の混乱を生んでるの。」

ラザールは黙り込み、深く息をついた。

「つまり、敵は外部の存在じゃなく、この魔界自身だということか……。」

真奈たちは「闇の名を持つ者」に会うため、魔界の中心にある「虚無の渦」へ向かうことを決めた。その地は、魔界の創生とともに生まれた最も古い場所であり、闇そのものが眠っているとされている。

「この旅がここまで重くなるとは思わなかったな……。」

イグナスが嘆息しつつも剣を握り直す。

「それでも進むしかない。魔界を救えるのは私たちだけだから。」

真奈の言葉には、すでに迷いはなかった。

ラザールが彼女の横に立ち、静かに言う。

「その覚悟、最後まで見せてもらうぞ。」

虚無の渦は、霧と暗闇が渦巻く不気味な場所だった。その中心に、黒い炎のようなものが漂っている。真奈が近づくと、突然その炎が形を変え、一つの人影を作り出した。

「人間の少女がここまで来るとは……珍しい。」

現れたのは、漆黒のローブを纏い、瞳に無限の闇を宿す存在だった。

「あなたが……闇の名を持つ者?」

「その通りだ。私はこの魔界のすべて。創造と破壊を司る存在だ。」

ラザールが剣を構え、一歩前に出る。

「ならば、今の混乱の元凶もお前だということか!」

闇の存在は冷ややかに笑う。

「その通り。だが、私は意図的に魔界を滅ぼそうとしているわけではない。これはただの理だ。この世界は私と共に生まれ、私と共に終わる運命にある。」

「そんな……!」

真奈が絶望的な声を上げる。

「ならば、その運命を変えることはできないのか!」

ラザールが声を荒げるが、闇の存在は首を横に振るだけだった。

「運命を変えたいのなら、私を消し去るしかない。しかしそれは魔界そのものの消滅を意味する。」

その言葉に、一行は絶句した。魔界を救うには闇を倒さなければならない。しかし、それは魔界の破壊をも意味する——。

「どうする……ラザール?」

イグナスが重い声で問いかける。

ラザールは真奈を見つめた。

「真奈、お前が鍵だ。この決断はお前に委ねる。」

真奈は震える手で胸元を押さえ、深呼吸をする。そして、自らの使命を思い出す。

「私が……魔界を滅ぼすなんて、できない。でも、このまま滅びを待つのも間違ってる。」

「ならばどうする。」

闇の存在が冷たく問いかける。

「私は……あなたと共存する道を探す!」

その瞬間、闇の存在が微かに笑みを浮かべた。

「興味深い。その道があるかどうか、試してみるがいい。」

闇の存在の協力を得るべく、新たな試練が提示される。真奈たちは、その試練を乗り越えられるのか。そして、魔界に平和をもたらす道は本当に存在するのか——。


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