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紅月の頂に眠る秘宝

虚無の従者との死闘を制した真奈たちは、新たな目的地「紅月の頂」を目指し旅を続けていた。紅月の頂には、魔界に古くから伝わる「秘宝」が眠っていると言われ、それが虚無の門を封じる鍵になるかもしれないという。しかし、その道中には新たな試練と謎が待ち受けていた。

紅月の頂へ向かう途中、一行は荒涼とした大地に足を踏み入れていた。空は血のように赤く染まり、枯れた木々が無数に立ち並んでいる。「ここ、本当に人が通れる場所なの?」

真奈が不安そうに呟く。

「もともとは、この地も豊かな森だった。だが、虚無の門の影響でこんな有様になった。」

ラザールが険しい表情で答える。

「この荒野、ただの不毛地帯じゃないな……気を抜くと足元をすくわれるぞ。」

イグナスが地面を蹴りながら警告する。

その言葉通り、一行が進む道には隠された罠や瘴気の吹き溜まりがあり、足を止めるたびに慎重な行動が求められた。

「何か、誰かが私たちを見ている気がする……」

真奈が立ち止まり、背後を振り返る。

「気のせいではないな。」

ラザールが剣に手を掛け、鋭い目で周囲を見渡す。「影が……増えている。」

突如として空気が冷たくなり、霧が立ち込め始める。霧の中から現れたのは、骸骨のような姿をした魔物の群れだった。その目は紅く輝き、虚無の力に支配されているようだった。

「この地に住む魔族たちが、虚無の影響で変異してしまったのかもしれないな……

」イグナスが呟き、剣を構える。

「戦うしかなさそうだね……!」

真奈も覚悟を決め、剣を抜いた。

「気を付けろ。こいつらは数が多いが、連携が取れている。」

ラザールが前線に立ち、一行を指揮する。

戦闘が始まると、骸骨の群れは異様な統率力を見せ、ラザールやイグナスの攻撃をかわしながら反撃してきた。

「こんな連携、ただの魔物の仕業じゃない!」

イグナスが声を上げる。

「誰かが操っている……!」

ラザールが周囲を見渡し、霧の奥に潜む存在を感じ取る。

戦況が徐々に一行に不利になりつつある中、真奈は剣を輝かせ、再び覚醒の力を試そうとする。しかし、覚醒の力を完全にコントロールするにはまだ時間が足りない。

「真奈、無理はするな!」

ラザールが叫ぶが、真奈は一歩前に踏み出した。

「私も戦うって決めたんだ!」

真奈は剣を掲げ、周囲の霧を払いながら魔物たちの注意を引きつける。

「なら、俺たちがフォローする。」

イグナスが彼女の背後に立ち、ラザールもすぐに真奈の横に並ぶ。

「全員、一気に決めるぞ!」

ラザールが号令を掛け、三人が一斉に攻撃を仕掛ける。真奈の剣が放つ光が骸骨の群れを貫き、その隙にラザールとイグナスが止めを刺す形で次々に敵を倒していく。

戦闘が終わった後、一行は霧の奥から拍手が聞こえるのを耳にする。そこに現れたのは、黒いローブをまとった謎の人物だった。

「さすがは紅き王子とその仲間たち。そして、異界の少女……君の力には本当に驚かされる。」

その声は冷たくも滑らかで、一行の背筋を凍らせた。

「何者だ?」

ラザールが剣を構え、敵意を露わにする。

「私はただの使者さ。虚無の門が開かれるその時を待つ者に過ぎない。」

ローブの男は不気味な笑みを浮かべた。

「虚無の門を開いて何を企んでいるの?」

真奈が問い詰めるが、男は答えず、ただ手を振ると霧の中に消えていった。

「奴が背後にいる限り、厄介なことになりそうだ。」

ラザールが険しい表情を崩さない。

霧が晴れ、再び紅月の頂が見えるようになる。その山頂は、赤い月光を反射するように輝いていた。

「頂上まであと少し……」

真奈が疲れた声で言うと、イグナスが笑いながら肩を叩く。

「その顔だと、もう山登りはこりごりだって感じだな。」

「だって……ここまでで、もう何度も危ない目に遭ってるんだよ?」

「安心しろ。俺たちがついてる。」

ラザールが微かに微笑み、真奈に手を差し伸べた。

「うん……!」

真奈がその手を握り、一行は再び歩き始めた。

紅月の頂には、魔界の未来を左右する秘宝が眠っている。

しかし、彼らがそこに辿り着いた時、その秘宝を巡る新たな敵と、予想もしなかった真実が待ち受けているのだった——。


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