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覚醒の力と新たな闇

真奈が「血塗られた祭壇」で試練を乗り越え、鍵の力を完全に覚醒させた直後、新たな敵が裂け目から現れる。その姿は虚無の門の影響を色濃く受けた異形の魔物だった。予想外の強敵を前に、真奈と仲間たちは再び試練に挑むことになる。

祭壇の周囲に広がる裂け目から、無数の黒い触手が這い出し、空間を歪めていく。その中央から現れたのは、巨大な異形の魔物「虚無の従者」だった。

その姿は蛇のように長い体躯に、鎌状の腕と無数の赤黒い目を持つ。全身から放たれる瘴気が空気を重くし、周囲に立つだけでも力を吸い取られるようだった。

「なんだ、あの化け物は……!」

イグナスが剣を構えながら驚愕の声を上げる。

「虚無の門の力に直接触れ、変異した魔物だろう。」

ラザールが冷静を装いながら答えるが、その表情には緊張が浮かんでいた。

真奈は剣を握りしめ、ペンダントが微かに輝くのを感じ取る。

「私が、これを覚醒させたから……この魔物が出てきたんだよね。」

「そうじゃない。覚醒は必要だった。この魔物も、俺たちがここで倒すべき敵だ。」

ラザールが断言し、真奈に勇気を与えた。

虚無の従者が咆哮を上げ、その鎌状の腕が一行を襲う。ラザールとイグナスが前線に立ち、真奈を守りながら応戦する。

「イグナス、右から回り込め!」

「任せとけ!」

イグナスが素早く魔物の右側に回り込み、足元を狙った攻撃を繰り出すが、その鎌が高速で動き、剣を弾き返す。

「こいつ、硬いな……!」

ラザールが左側から魔力を纏った一撃を放つも、魔物の体を覆う瘴気に阻まれてしまう。

「なんて力だ……!」

ラザールが歯を食いしばる。

一方、真奈は後方から彼らを見つめ、震えながらも自分にできることを模索していた。「私も戦わないと……!」

真奈が剣を握り、覚悟を決めると、剣が再び眩い光を放ち始める。その光は魔物の瘴気を押し返し、一時的にラザールとイグナスの動きを楽にした。

「真奈、その光を使え!」

ラザールが指示を飛ばす。

「でも、どうやって……!」

真奈が戸惑う中、ペンダントが剣と共鳴し、彼女の頭の中に言葉が流れ込む。

「この剣の力は、私の意思次第で形を変える……!」

真奈は祈るように剣を構え、力を込めた。

「お願い……みんなを守る力を貸して!」

その瞬間、剣が変形し、輝く弓矢の形を取った。

「すごい……!」

矢を放つと、それは虚無の従者の中心部に突き刺さり、瘴気を大きく削り取る。

「やった!効いてる!」

真奈の矢が魔物の動きを鈍らせたことで、ラザールとイグナスが反撃に出る。

「今だ、イグナス!」

ラザールが指示を出し、イグナスが虚無の従者の脚部を狙う。

「この一撃で終わりだ!」

イグナスが力を込めて剣を振るい、魔物の足を切断する。その隙をつき、ラザールが剣に炎の魔力を纏わせて魔物の核心部を貫いた。

虚無の従者は咆哮を上げながら崩れ落ち、裂け目も次第に閉じていく。

戦いが終わり、一行は深い疲労を感じながらも、何とかその場に留まる。

「真奈、よくやったな。」

イグナスが微笑みながら頭を撫でる。

「ありがとう。でも、これで終わりじゃないよね……?」

真奈が不安そうにラザールを見上げる。

ラザールは険しい顔で頷いた。

「ああ。これはただの始まりだ。虚無の門の力がさらに広がる前に、次の行動を考えなければならない。」

その時、真奈のペンダントが再び微かに光り、声が聞こえた。

「さらなる力を求めるなら、紅月の頂へ向かいなさい。」

一同は顔を見合わせ、次なる目的地が定まったことを感じ取る。

「紅月の頂……そこに何が待っているんだ?」

イグナスが呟く。

「分からない。ただ、一つ確かなのは、ここで止まるわけにはいかないということだ。」ラザールの目には決意が宿っていた。

真奈もその目を見て、強く頷く。

「私も一緒に行く。もう怖がってるだけの私じゃない!」

さらなる試練の地を目指す真奈たち。その先には、彼らの運命を大きく変える出会いが待ち受けていた——。


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