バンダナコミック01応募用シナリオ
地球人類は自ら生み出した超AIクロノスによって絶滅の危機に瀕した。超大型移民戦艦ノアシリーズを建造した人類は地球を脱出し新天地を目指して外宇宙へと旅立っていった。
ノアシリーズ内では長期間の艦内生活における人口増加の防止と資源の有効活用を目的としたジーンプロジェクトが実施され、クルーの遺伝子情報を艦のメインコンピュータに登録、遺伝子操作を施し身体強化及び生殖能力の喪失が成された。遺伝子操作時に体内に注入されたナノマシンと艦のシステムは連動しており、クルーが死亡すると体内のナノマシンの反応が途絶、その情報を受信したメインコンピュータによって該当者のクローンの作製が開始される。クローンは保育装置で第二次性徴期(13歳頃)まで育つと成人とみなされ保育装置から出て遺伝子情報に基づいた適正のある仕事に従事することになる。そんな歪な社会によって統制された二十隻のノアシリーズは追撃してくるクロノスの部隊と交戦しつつ移民可能な惑星を目指し、この期間は後に移民戦争と呼ばれるようになった。
ノアシリーズの11番艦<ノア11>を旗艦とするノア11船団はクロノスの襲撃を振り切り地球環境と酷似した惑星を発見、『ネェルアース』と命名する。<ノア11>の巨大な船体は複数のブロックに分けられ大気圏に突入しネェルアースに入植を果たす。この後に年号を新星歴とし、戦争関連の技術を封印し平和な生活を手にするのであった。
新星歴200年。ネェルアースにて平和な生活を送っていたノア11の人々であったが、突如として他のノアシリーズ<ノア3>船団の襲撃によって戦争状態に突入してしまう。<ノア3>はクロノスに乗っ取られており、メインコンピュータもクルーもその支配下に置かれ、同じ地球人類に対して敵対行為を取るようになっていた。ノア11は初戦にて大規模な被害を受け、これを重く見た上層部は封印していた移民戦争時代の技術の復活及びこの二百年でネェルアースにて培った技術を統合した新型兵器の開発『タカマガハラ計画』をスタートさせた。それにより機動兵器群AFの最新鋭機である頭頂高16メートル級の人型AFアマツシリーズの開発製造に着手した。AFはDリアクターと呼ばれる動力から生成するエネルギーで稼働する。また、Dリアクター稼働時に発生するD粒子は重力を発生させる特性があり、これによりコックピットへ掛かるGが軽減される。圧縮したD粒子を兵器転用したビーム兵装がAFの主力兵器であり、機体周囲に展開したものはDフィールドと呼ばれる対ビーム・対物理特性のあるバリアである。このようにD粒子の技術の粋を集めた兵器がAFである。
アマツシリーズは従来のAFと比較して量産性を度外視し性能を突きつめるというコンセプトを持っている。その骨格にあたるアマツ型フレームはナノニウムと呼ばれる自己修復機能を有する金属が使用されており、装甲は従来のAFのものよりも高強度のナノニウムアーマーが採用された。
こうしてロールアウトした型式番号TMHX―01<イザナギ>、TMHX―02<イザナミ>による本体及び各種兵装の運用試験が開始される。そのデータを基に重装備及び広域殲滅型のTMHX―03<カグツチ>、白兵戦重視型のTMHX―04<タケミカヅチ>、長距離狙撃型のTMHX―05<クラミツハ>、指揮官及び特殊兵装搭載型のTMHX―06<アマテラス>、威力偵察及び特殊電子戦兵装搭載型のTMHX―07<ツクヨミ>、量産を前提としたバランス重視型のTMHX―08<スサノオ>がロールアウト。
アマツシリーズの実戦投入により戦況は拮抗し戦火は拡大、ネェルアースの環境は多大な被害を受ける。そして激しい戦いは拮抗したままアマツ部隊によるノア3側の中枢ブロック襲撃が行われ作戦は成功する。しかし、それと時を同じくしてノア11側も敵の攻撃を許し中枢ブロックに被害を受け、各システムがダウンする深刻なダメージを受けてしまう。
戦争が泥沼化する中、ノア3を支配するクロノスの直営部隊の高性能AF<クイーン>がアマツ部隊を襲撃するもこれを辛くも撃退。大ダメージを受けた<クイーン>はポイントヨモツヒラサカに撤退しアマツ部隊と別働隊による挟撃作戦が開始される。別働隊に急遽組み込まれていた<イザナミ>は、アマツ部隊よりも先に<クイーン>と会敵し部隊は全滅、自機も<クイーン>からのナノマシン侵食を受けパイロット共々融合されてしまう。
その後ポイントヨモツヒラサカに到着したアマツ部隊が目の当たりにしたのは、侵食が進み巨大な異形の怪物と化した<イザナミ>の姿であった。<タケミカヅチ>のパイロット【カナタ・クラウディス】は、<イザナミ>のパイロット【フィオナ・トワイライト】を救出するため必死の説得をしつつコックピットに肉薄する。フィオナは必死で意識を保ってはいたが、その身体は<クイーン>からの侵食によって変わり果てた姿になっていた。防衛本能が働いた<イザナミ>はフィオナの意思とは関係なく暴走し、彼女を助けに来たカナタを殺害してしまう。カナタに恋心を抱いていたフィオナはその惨劇を目の当たりにし錯乱状態に陥り自らの消滅を強く望む。それによりナノマシンを利用して自らの複製であるレプリカを創りだし、自らの抹消の任務と記憶を託しアマツ部隊へと送り出した。
アマツ部隊に合流したフィオナレプリカは、カナタの死亡と機体ダメージにより動作不良に陥っていた<タケミカヅチ>に突撃用の増加装甲を施しアマツ部隊と協力して<イザナミ>破壊に動き出す。激闘の末、<イザナミ>をあと一歩のところまで追い詰めるも、そこでノア3の増援部隊が出現、アマツ部隊は壊滅的な損害を受け散り散りになりながら撤退する。フィオナレプリカが搭乗する<タケミカヅチ>も輸送機に搭載して撤退を試みるも輸送機は破損し海底へと沈んでいった。<イザナミ>は内部のオリジナルフィオナの閉じゆく心に同調するようにポイントヨモツヒラサカの火山帯の内部へと姿を消していった。こうして後に大罪戦役と呼ばれる血みどろの戦争は勝敗がつかないまま終了したのであった。
それから100年後――新星歴300年。ノア11では大罪戦役中に行方不明となった兵器を回収するサルベージャーという職業が賑わいを見せていた。先の戦争でメインシステムにダメージを受けたノア11では当時の技術データが失われており、各地に散らばっている兵器データを回収するサルベージャーという職業が設けられていた。そんなサルベージャーを生業とする17歳の少年カナタ・クラウディスは育ての親である【ノーマン・グラス】と一緒に生活をしていた。ある日、サルベージャー管理局の【ゼノア・サンド】から海底に沈んでいる輸送機引き上げの依頼を受けたカナタとノーマンは無事に輸送機の引き上げに成功し、その内部にて重装甲に身を包む一機のAFとそのコックピットでコールドスリープしていたフィオナを発見する。
コールドスリープが解除されても眠り続けるフィオナを自分たちの家である大型輸送車<ランドキャリア>に保護し重装甲のAFの起動を試みるカナタ。するとメインシステムが立ち上がる。
『パイロット登録全行程終了しました。メインシステム起動します』
「……これってもしかしてやってはいけない事をしたのでは?」
『アマツシリーズ TMHX―04<タケミカヅチ> システム起動』
「レーダーに反応……? MT―003<ゴブリン>が三機……敵か!? くそっ、動けぇぇぇぇ!!」
襲いかかってくる三機のAFからノーマンとフィオナを守る為にカナタは<タケミカヅチ>を起動させパイロットとして登録されてしまう。重装甲により機動性が悪い中、他のサルベージャーが搭乗する<ゴブリン>を戦闘不能に追い込む。しかし、<タケミカヅチ>に関する情報隠蔽と奪取を目論むゼノアが搭乗するMT―003R<レッドキャップ>と彼の部下が乗る<ゴブリン>部隊が増援として現れ襲ってくる。独自のカスタマイズと強力な兵装を装備した敵機に追い詰められる<タケミカヅチ>。その時――。
『パイロットの戦意レベル上昇。増加装甲強制排除……<タケミカヅチ>戦闘モードに移行します』
機体を覆っていた増加装甲が強制排除され発生した煙の切れ目から純白の装甲が見え隠れする。その頭部では額のサブカメラユニットを基部として左右と頭頂部の後方に折りたたまれていたブレードアンテナが前方にせり出し三本角を形成した。戦闘態勢が整うと煙の向こうで深紅のデュアルアイが発光し、その姿はまるで怒りをたぎらせる武人を彷彿とさせる。真の姿を現わした<タケミカヅチ>は動力部であるDリアクターの不調で出力が50%しか出ない状況であるにも関わらず<ゴブリン>を圧倒し武器を奪取、それを駆使し<レッドキャップ>を撤退させることに成功した。
「私をヨモツヒラサカに連れて行って欲しいんです!」
戦闘後、目を覚ましたフィオナからをポイントヨモツヒラサカに連れて行って欲しいと依頼されたカナタはこれを受諾し彼らの旅が始まった。サルベージャー管理局からお尋ね者として指名手配されることになったカナタ達は隠れるようにして移動を続けていた。AFのジャンクパーツ売却と補給物資調達の為に訪れた街『アハジ』ではAFの売買が行われるマーケットが開催されていて大いに賑わっていた。馴染みのAF工場を訪れたカナタ達はそこでサルベージャー仲間の【バルト・フレイム】と彼と行動を共にしている【アンナ】、【ポンペ】、【ジタン】と再会する。彼らは仕事で使っていたAFを壊してしまい、マーケットでAFを購入しようと訪れていた。AF工場長の【ジル】からカナタ達の護衛を条件につぎはぎの装甲パーツで組まれた機体<パッチワーク>を託されたバルトであったが、機体整備で装甲を外すとこの機体はアマツシリーズの一機<カグツチ>であることが判明する。<カグツチ>は大罪戦役終盤のゴタゴタで行方不明になっており、現在に至るまで様々なAFコレクターの間を転々としていた。アマツシリーズ機は自機を動かすのに相応しい者でなければパイロット認証が行われないため、機能不全の機体と考えられていたのである。<カグツチ>のパイロットに認証されたバルトの為に機体の調整が行われる中、マーケットでは目玉商品のMT―006<ガルム>が落札され賑わいは最高潮に達していた。
その翌日、マーケットが終了した『アハジ』を武装したサルベージャーの部隊が襲った。その目的はマーケットで得られた収益金であった。街を守る為にカナタは<タケミカヅチ>、バルトは<カグツチ>を起動させ戦闘に突入する。二機ともDリアクターの不調で機体性能が低下しているにも関わらず、それでも圧倒的な性能とパイロットとしての技量の差を見せつけ圧倒する。戦闘が終わろうとした時、マーケットで落札された<ガルム>が突如暴れだし街に被害が出始める。そのコックピットにいたのは自らをノア3の軍人だと語る【ジェノバ・バルトス】であった。戦闘狂のジェノバは楽しそうに笑いながらカナタとバルトを手玉に取り『アハジ』の街を破壊していく。カナタは敵の動きを冷静に読み、そのコックピットをビームソードで貫いた。人を殺害した自責の念に囚われるカナタであったが、信じられない事に<ガルム>は再起動しジェノバもまた健在であった。
「どうして……コックピットを破壊されて生きているんだ? あんたは……不死身なのか?」
困惑するカナタの隙を突いてジェノバは笑いながら追い詰める。さらに<タケミカヅチ>に搭乗しているのがカナタ・クラウディスだと知るとジェノバは狂ったように笑い出す。絶体絶命の状況の中、<タケミカヅチ>の一部機能が回復し、両前腕内に搭載されているエネルギーチャージユニット『ヤサカニ』が稼働を開始する。それによりヤサカニに溜められたエネルギーを開放する内蔵兵器『ナルカミ』が使用可能になり、これによって辛くもジェノバが搭乗する<ガルム>破壊に成功する。戦闘が終わった後、カナタ達はジルからAFの補給パーツを提供され『アハジ』を後にした。補給パーツの中には大罪戦役中、<タケミカヅチ>の主力兵装だったビームソード『ライキリ』もあり、戦力が大幅に増強されるのであった。
『アハジ』での戦闘から一週間後、サルベージャー管理局に所属しながら裏で暗躍しカナタ達を貶めたゼノアのもとを二人のサルベージャーが訪れていた。ゼノアから<タケミカヅチ>の奪取とそのパイロットであるカナタの抹殺依頼を受けた【デューイ・ブルーリバー】と【ルーン・ミッドナイト】はそれぞれの愛機である<スサノオ>と<ツクヨミ>を駆り、カナタ達を追う。しかし彼らの正体はノア11の軍人であり、半年前からノア11領内で頻発するAF暴走事件の調査を行っていた。その結果、暴走を起こしたAFのコックピットには特殊な装置が組み込まれていた事が発覚する。その装置とはAI化したノア3のパイロットがAFのシステムに介入し機体を操る為の物であった。大罪戦役以降、ノア3の民衆はクロノスによって生身の肉体を捨てAI化され電脳仮想空間で生活するようになっていたのである。調査を進めていたデューイとルーンはゼノアが裏でノア3側と接触しノア11領内でAFの暴走を広めている張本人と突き止め接触した。その過程で大罪戦役で行方不明になっていた<タケミカヅチ>奪取の依頼を受けた二人はゼノアに近づき決定的な証拠を掴むと同時に<タケミカヅチ>回収を考えていたのである。
カナタ達が補給物資調達の為に出払いノーマンが一人留守番をしている時にデューイが接触してくる。すると二人はお茶を飲みながら久しぶりの再会を喜ぶ。ノーマンはかつてノア11の軍に所属しアマツシリーズの調整や専用兵装ウェポンモジュールの開発ならびに先の戦争で被害を受けたデータの復元を行った技師長であった。デューイはノーマンに現状を報告、ノア3側といつ大規模戦争に突入してもおかしくない状況を伝え軍への復帰を打診しこの場を去った。カナタ達が補給物資調達を終えノーマンのもとへ戻ってくると、途中でAFの襲撃を受ける。それは<タケミカヅチ>と<カグツチ>の実力を確かめようとするデューイ駆る<スサノオ>によるものであった。バルトは<カグツチ>で出撃し単身<スサノオ>に立ち向かう。<カグツチ>はガトリング砲やミサイルによる高火力で廃墟ビルごと<スサノオ>を吹き飛ばそうとするもデューイの高い操縦技術により回避されてしまう。<スサノオ>と<カグツチ>の戦いは一方的な展開で進み、<カグツチ>は額部に搭載された砲門から高出力のビーム砲『ホムスビ』を放つも<スサノオ>が装備している防御型ウェポンモジュール『ディフェンサーシールド』によって防がれ敗北する。その直後、ノーマンから戦争が再び始まるという事実を伝えられたカナタは戸惑いつつも<タケミカヅチ>で出撃し<スサノオ>と戦闘を開始する。
「バルト……! デューイさんですね。爺ちゃんから聞きました。あなた達のこと、ノア3との戦争のこと、その戦いの為に<タケミカヅチ>と<カグツチ>を欲していること。……でも、その為にここまでやるんですか!?」
『カナタ・クラウディスだな。<タケミカヅチ>のパイロットに選ばれたお前にも分かっているはずだ。アマツシリーズは適正のある者でなければパイロットに選ばれない。故にそのパイロットに選ばれた時点で機体と共に戦争の矢面に立つ義務が発生する。であればその実力を確かめるのは当然だ』
「勝手なことを……!」
『そう言えるのはお前が現実を知らないからだ。大罪戦役が終わってから本当に戦争が無かったと思っているのか? 現実は違う。小規模とはいえ戦争はずっと続いていた。その間連中も失った技術の回収を行い、今では百年前と同じレベルにまで回復している。間もなく大罪戦役と同等……いや、それ以上の殺し合いが始まる。戦いに勝つためには……生き延びるためには力が必要だ。――お前の力を見せてみろ、カナタ!!』
新装備のビームソード『ライキリ』を用いて戦う<タケミカヅチ>であったが、同じアマツシリーズでありフルスペックで戦える<スサノオ>相手に追い詰められていく。窮地に立たされる中、カナタのもう一つの人格――百年前のカナタ・クラウディスが顔を出す。大罪戦役においてノア3のAF部隊を恐怖に陥れた『剣鬼』の力は着実に<スサノオ>を追い詰めていく。カナタの変貌ぶりを危険と考えたデューイは本気で殺しに掛かるが、激しい戦いの最中、崩れゆく廃ビルから仲間を守ったカナタの姿を見て考えを改め戦闘は終了した。
カナタとデューイの戦いが終わると<レッドキャップ>を駆るゼノアと部下たちが攻撃を仕掛けてくる。ゼノアは最初から漁夫の利を得るつもりであった。しかし、デューイ側もゼノアの狙いを看破しており、光学迷彩とステルス機能を使って待機していた<ツクヨミ>がゼノア部隊を迎え撃つ。戦いに<タケミカヅチ>、<スサノオ>、<カグツチ>も加わり、圧倒的な戦力でゼノア部隊を壊滅に追い込でいく。しかし、ゼノア機にはノア3製の装置が組み込まれており機体のシステムを『アハジ』で戦ったジェノバが乗っ取ってしまう。ジェノバによってゼノアは殺害され、かくしてカナタの<タケミカヅチ>とジェノバ操る<レッドキャップ>の一騎打ちが始まった。守る為に戦う者と奪う為に戦う者――対照的な二人の戦いは決意を固めたカナタの勝利で終わった。
カナタ達一行はデューイ達に合流し、彼らが移動に使用している輸送機<ヤタガラス>に機体を格納しノア3製の装置が運び込まれている『オキノミ』に向かう。カナタ達が到着すると港町である『オキノミ』は炎上していた。強化兵装ウェポンモジュールを装備したアマツシリーズ四機は<ヤタガラス>から降下し、港町を火の海にしていたノア3のAF部隊と戦闘に入る。汎用量産機MT―009<グール>、水陸両用機MT―023<アーヴァンク>、水陸両用高性能機MT―024<ディープワン>との戦いにより<スサノオ>は水中戦に赴く。海中にはオネエの【フォルネス・スズキ】が操る水中用大型機MT―022<クラーケン>が待ち受けており<スサノオ>は苦戦する。そこにカナタ達が援護に入り連携によって<クラーケン>を撃破することに成功する。その直後、ノア3の水中用ギガフォートレス<ケートス>が海底から姿を現わす。全長1000メートルを超える巨大潜水艦の<ケートス>には数十機のAFと陸戦仕様の別の個体の<クラーケン>が搭載されていた。陸戦仕様の<クラーケン>は再びフォルネスが操っており<タケミカヅチ>と甲板上で死闘を繰り広げる。
『うっふふ、百年前より随分可愛いくなっちゃったわねぇ、剣鬼ちゃん。ワタシが色々と楽しい事をネットリタップリ教えてア・ゲ・ル』
「結構です!!」
戦場を<ケートス>に移し戦いが激化する中、<スサノオ>は背部ハイドロジェットユニットで圧縮した水とD粒子を混合した兵装『ハープーン』で水中の敵部隊を壊滅させる。<ケートス>甲板上では数十機のAFを相手に<カグツチ>と<ツクヨミ>が善戦し敵機の数を減らしていく。<タケミカヅチ>はバックパック型ウェポンモジュールの高機動モードを駆使しスピードで<クラーケン>を翻弄するが、百戦錬磨のフォルネスに対応され苦戦する。激しい戦いの中、<タケミカヅチ>は内蔵される全六基のヤサカニのエネルギーを一気に放出する特殊兵装『チドリ』を使用し大ダメージを与えるが<クラーケン>は健在、<タケミカヅチ>はパワーダウンし絶体絶命に陥る。そこに援護に現れたのはTMHX―06<アマテラス>とアマツ部隊母艦の機動戦艦<アマギ>であった。
『<タケミカヅチ>のパイロット、生きてるわね? あたしはアマツ部隊隊長の【セルティ・デイブレイク】よ。援護するからそいつをぶっ壊しなさい!』
「アマツ部隊の……? 了解、<タケミカヅチ>吶喊します!!」
『<アマテラス>……ワタシとカナタちゃんのデートを邪魔しようなんてお行儀がなってないんじゃないの!?』
『……うっさいわね。イカ臭いのよ、あんた! とっとと消えな!!』
<アマテラス>の遠隔兵装フェザーセルの援護により死中に活を見出した<タケミカヅチ>は足底部に装備しているチェーンソーダガーを<クラーケン>に蹴り込み、そのまま内部に電撃を流し込む事で勝利した。その後はアマツシリーズ五機と<アマギ>の戦力によって<ケートス>を撃沈する。戦闘後<アマギ>に合流したカナタ達は艦長の【ロイ・ブリーズ】と面会した後、彼らの軍事基地である『オノゴロ』へとやって来た。そこでより詳細な現状況の説明を受け、カナタ達は軍に所属する事を決意する。
「フィオナ、ヨモツヒラサカには必ず連れて行くから少しだけ待っていて欲しい。ノア3の敵を何とかしないと皆やられる。だから――」
「分かってます。カナタ、私も戦います。一緒に頑張りましょう。まだ時間はありますから」
『オノゴロ』の工場区にてオーバーホールを受けた<タケミカヅチ>と<カグツチ>は本来の性能を発揮出来るようになり、新たなウェポンモジュールを装備して強化された。そしてフィオナはTMHX―05<クラミツハ>のパイロットとなり新生アマツ部隊の一員として戦う決意をする。
「あのさ、フィオナ。この戦争が終わってヨモツヒラサカにいる<イザナミ>を倒して平和になったらさ、前みたいに一緒にサルベージャーをやらない?」
「……凄く素敵な提案だと思います。きっと……きっと毎日が楽しいと思います。とても嬉しいです、カナタ」
カナタは知らなかった。フィオナの目的――ヨモツヒラサカにいる<イザナミ>の破壊。その目的が果たされた時……オリジナルのフィオナが消滅する時……それはレプリカである彼女の消滅を意味しているのだと。
一方、ノア3側からは大罪戦役で猛威を振るったエースパイロット達も参戦を始め戦況は激化していく。
型式番号MT―006H<ヘルハウンド>、パイロット名ジェノバ・バルトス。
『あっははははーーーーー!! 戦争はたのしいよなぁ。殺して殺して殺して殺した分だけ英雄になれるんだぜ。最高だろォォォォォォォォォォ!!!』
型式番号MT―017<アラクネ>、パイロット名【ネリー・グレモール】。
『ウフフ。ダーリン、や~っと見つけたぁ。ワタシが、たっぷりご奉仕してあげるねぇ』
型式番号MT―027―3<メデューサ>、パイロット名【ヴァサコ・タナカ】。
『歪な存在なのは我々もお前たちも同じだ。自分たちの正当さを説きたいのなら、まずは実力を見せてみるのだな』
型式番号MT―029<ザッハーク>、パイロット名【クレス・バール】。
『盟友、君は真実を知らされていないのか。真実を知らないまま戦う者ほど哀れな者はいない。だからこそ、君は知っておく必要がある。<イザナミ>が破壊された時……そこに居るフィオナ・トワイライトは死ぬ。確実にね。――それでも君は戦うのかい?』
戦いの最中、フィオナの真実を知らされたカナタはクレスに敗北しフィオナを連れ去られてしまう。どうすれば良いか分からず苦悩するカナタが導き出した答えは――。
「僕はフィオナに会いたい。会って彼女に謝りたい。そして、ちゃんと話をしたいんだ。――だから、僕はフィオナを助ける!」
フィオナ救出作戦が決行される中、新たなウェポンモジュールを装備した<タケミカヅチ>が出撃する。
『カタパルト起動、TMHX―04<タケミカヅチ>発進どうぞ』
「カナタ・クラウディス、<タケミカヅチ>行きます!」
戦場で再び相まみえる<タケミカヅチ>と<ザッハーク>。二機の戦いは熾烈を極め、カナタは新たな武器を使用する。
「セーフティ解除……フツノミタマを使う! Dマテリアライズシステム稼働開始。フォームⅠ、マテリアライズブレードモード。いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
大剣型ウェポンモジュール『フツノミタマ』――フォームⅠマテリアライズブレードモード、フォームⅡバスターブレードモード、フォームⅢビームカリバーモード。三つの形態を持つ武器を手に取り、カナタは更なる戦いに身を投じていくのであった。
そして――。
「フィオナ……僕は結局君を……」
「カナタ……あなたは私を……いいえ、私たちを闇の中から救い出してくれました。……凄く……凄く……嬉しかった。カナタ……大好き」