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王家との茶会

「お嬢様、皇宮に行きましょう。」

朝起き上がった瞬間、ベッドの隣に座っていたテアに告げられた。

「え、なんで?」

寝ぼけながらも目を擦りながら聞くと、テアは首を傾げた。

「忘れたのですか?今日は王帝陛下御一家と遊ぶ日ですよ。」

え?

ええええええっ!?

誰からも伝えられていない予定を今言われ、私は固まった。

「ほら、早く行きますよ。」

テアにお風呂の中に放り込まれ、身支度を整えられた後、私はパパとお兄様と共に、馬車に乗った。

さ、さすがテア。

もうテアの神業って呼ぼうかしら。

「ディア、緊張してる?」

お兄様に聞かれ、私は首を横に振った。

緊張してないのよ?ただね、驚いたのよ。

急に朝起きたら着替えさせられて、馬車に乗せられて、気がついたら兄様の膝の上で座ってたから。

私だって家族なんだから、数日前に聞かされたっていいじゃない…

そういえば、王家の人達に会うのは初めてだな。

確か、第一王子がつい最近婚約を結んだんだよね。

相手は、隣国の公爵令嬢、咲絢奈様だったはず。

第二王子はまだ婚約してなくて、二人の王女様たちもまだよね。

二人目の王女は私と同い年だって歴史で学んだ気がする。

どうやって挨拶するかを考えていると、馬車の扉が突然空いた。

「ディア、ついたよ。」

え、もう?

急に本番になり、少し緊張しながらも私はお兄様に抱えられたまま、王宮の中に入った。

何ここ、でっか!

てっぺんまで見ようとしたら首がもげそう。

うちも広くて大きいけど、ここは比べ物にならないくらいでかい!

門番の人たちに扉を開けてもらうと、私たちは王宮の中に入った。

歴代の王族が飾られている長い廊下を歩き、温室の扉の前に着くと、後ろからパパを呼ぶ声が聞こえた。

「大公様!」

エメラルドグリーンの瞳が合う、パパと同年代くらいのお兄さんが困り果てた顔でパパのことを見つめた。

「宰相。久しぶりだな。娘と息子も一緒か?」

この人が宰相?

まさかのパパの友達!

「もちろんです。二人とも、挨拶しなさい。」

宰相さんが振り向くと、後ろから私と同い年くらいの女の子と、お兄様と同い年くらいの少年が顔を出した。

少年は兄様の肩に腕を置くと、嬉しそうに喋り始めた。

「ライオスー!遅いじゃないか!お!その子が噂の妹か?」

少年は兄様の頭をわしゃわしゃと撫でた。

兄様、なんだかんだで嬉しそうな顔してる。

お兄様のことを名前で呼んでる…友達かな?

「おい、僕の妹に近寄るな。頭を撫でるな。早く挨拶をしろ。」

聞いたことのない低い声で、兄様は警告するように少年に伝えた。

兄様、友達睨んじゃダメよ。

「わかったわかった。そんなに怒るなよ〜」

少年は悪気がなさそうに笑うと、少し兄様と距離を置いた。

あぁ…兄様の唯一の友達が…

っていうか、この人、めっちゃ軽いな。

宰相さんの息子さんは何も気にしないかのようにくるっと回ると、綺麗なボウアンドスクレープをを決めた。

「お初にお目にかかります、大公女様。僕はステルラ公爵家長男、ヘリオス ソレイユ ステルラです。そして、こっちが…」

「ステルラ家長女、アコ エルピス ステルラです。大公女様、お会いできて嬉しいです!」

カーテシーをした後、アコは顔を上げてニコッと微笑んだ。

か、可愛い!

ルビーのような髪が目立つ彼女の瞳を見たらすぐわかる。

彼女は強くて、可愛い。

二人の挨拶が終わり、私も挨拶をするために下に降りた。

「リュンヌ大公家長女、セレネディア ルナ リュンヌです。私も会えて嬉しいです。」

ペコッとお辞儀すると、顔を上げた瞬間にアコに手を握られた。

「可愛いー!兄上、大公女様って天使のようね!」

アコは輝いた目でヘリオスさんの方を見た。

急に近づいてきて突然驚きながらも、私はアコの腕を握り返した。

「ああ。ヘリオスと違って愛嬌があるな。」

ヘリオスさんが付け加えると、兄様がドヤ顔で説明した。

「当たり前だろ。セレネは天使だぞ?」

ヘリオスさんがこくこくと頷くと、お兄様は呆れながらヘリオスさんに語り始めた。

ちょっと、兄様…

「それを言うなら、僕の妹だって天使だけどな。」

ヘリオスさんが言い返すと、アコちゃんがクスッと笑った。

この兄妹、私兄様ぐらい仲がいい!

気が合いそうだなぁ。

いがみ合っている兄様たちとは別に、アコはもう温室に入る準備ができていた。

「父上から温室の中に入る許可をもらいましたので、お兄様たちのことを置いて先に入っちゃいましょう。」

「うん。」

リクは…パパといるみたいだから、大丈夫だよね。

アコちゃんに連れられ、私は温室の中に入った。

「アコ。」

「どうしましたか?」

温室に入る途中、名前を呼ぶと、アコちゃんは振り向いた。

「タメ口でいいよ。友達でしょ?」

敬語は堅苦しいもん。

答えを聞くためにアコちゃんの顔をじっと見ると、彼女は満面の笑みで頷いた。

「わかった!ディアって呼んでもいい?」

「…!うん!じゃああこちゃんて呼ぶね!」

「初めての友達」という温もりを噛み締めながら、私は微笑み返した。


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