ページ07~相棒になってくれ
北村君を女子化させれば現状のキャラで一番かわいいと思えてきたのですよー
というか、男子でも可愛いのですよー
加藤ちゃんとの百合も面白そうな予感なのですよー
ただ、男子ゆえのウザさがこのメンバーには間違いなく必要なのですよー
「ねえ、もう疲れたから寝たいって人いたら手を上げてください」
桜風がそう言ったが誰も手を上げる者はいなかった。あと、勉が手帳に何か書き込んでいる。勉の方から油性ペンの臭いがする。
「今から寝るのは反対だ。寝ている間に大事なことを忘れてしまうかもしれないからな」
北村 激がそう言って仕切り始めた。
「そう言えば花火を上げたのってどなた?」
桜風が俺たちの方を見回しながら言った、
手を上げる北村 激。
「えっと、どちら様だっけ。ああー名前を覚えきれないよ」
そう言って頭を抱える桜風は可愛かった。でも、桜風の視線の先にいるのが勉なのが寂しかった。
「ああ、初対面の十人の名前を覚えるのは、僕みたいに絶対記憶能力ないと大変でしょう。そこで名札を作らせてもらったよ」
勉はそう言って手帳をどこからか取り出したハサミで切り取り紙の切れ端を俺たちに配った。俺に配られた紙には《エンドウ シュウイチ》と記されていた。
「ありがと、勉君」
桜風は自分に配られた紙を見た。その後、桜風は勉にほほえんだ。残念だ。うらやましい。
「それで、激君? 花火上げるの大変だったでしょ。どうやったの?」
桜風は興味を北村 激に移したようだ。それはそれでさみしい。
「思いっきり花火の玉をぶん投げた後、燃やした紙の玉をぶん投げて花火に当てただけだ。楽しかったよ」
北村 激は誇らしげだった。
「おい、それってつまりお前は花火玉その他を盗んで火遊びしたってのか?」
勉が荒い語調で言った。
「ああ、そうだな」
北村 激が興味なさそうに言った。
「つまり ゲキゲキは 泥棒?」
狩加が格好良く北村 激を指で差した。
「まあ、そうだな」
北村 激は悪びれずに言った。
「ところで、眼の邪神の話はしないのか?」
伊勢木がそんな話を振ってきた。
「眼の邪神ってなに?」
桜風が唇をとがらせ首を傾げながら言った。可愛い。
「やっぱり俺たちしか見てないみたいだな」
伊勢木が俺たちを見回しながらそう言った。
「どんなのなんですか? 教えてください」
《フユノ リエ》の名札を持った女が遠慮半分に言った。
「あのね、身長が2メートルぐらいで全身真っ黒で夜なのに輪郭がやけにハッキリしていて、おでこにも眼があって、短い角がたくさん生えていて、腕にはうろこがびっしり敷き詰められていて、しゃべらないんだけどなんかすごいの」
加藤が大まかに説明をする。
「見たのは オレとカトッチとゲキゲキとセーギとエンデューだな」
狩加の右手が狩加、加藤、北村 激、伊勢木、俺の順に差し示した。
「そいつが教えてくれたのさ。生存者は十二人。世界の一つも滅ぼさなきゃ消えた奴らは戻らないってな」
北村 激が眼の邪神の前で俺が確信した物と同じ情報を言った。
「ちなみに赤い化け物は俺も知らない。眼の邪神に類する何かを見たかどうかチェックするために聞いた」
北村 激の言っていた赤い化け物の謎が解けた。
「北村、お前ムカつくな」
写岩が率直な感想と青筋を浮かべた。
「ツッシーさん、落ち着いて、リラックス、リラックス」
そう言って冬野が写岩の背中をさすった。
「なあ、この鎧だかなんだかの名前統一しないか?」
勉が白い靄を出しながら言った。
「はいはい、白とか黒いの」
間髪入れずにその意見を出す桜風は可愛い。
「雑」
狩加が率直な感想を浮かべた。
「ねえ、こういうのって見た目に関係ない言葉でもいいんじゃないですか? たとえば、きずなとかどうですかね?」
冬野がまた遠慮がちに言った。
「きずなはごめんだね」
北村 激が無慈悲に切り捨てた。
「アカシなんてどうかな?」
これまで黙っていた元木 励が久し振りに口を開いた。
「異議なし」「いいね」「よき」
北村 激と加藤と狩加のか行三人が肯定的だ。
「じゃあ、アカシで」
勉がそう言うとテレパシーが飛んできた。
『じゃあ、これは?』
桜風のテレパシーだ。
『この口を動かさずにしゃべれる力の名前か』
元木のテレパシーだ。
『そうそう、テレパシーでいいのかな?』
桜風がテレパシーで返す。
「精神感応って言ったけど、テレパシーでもいいんじゃないか?」
北村 激が面倒くさそうにそう言った。
『じゃあ、テレパシーで決定ね』
桜風が元気にそう言った。
「なあ、そろそろ共有したい情報は終わった。そろそろ寝たいんだが、何か聞き残したこと言い残したことあるか?」
北村 激がぶっきらぼうにそう言った。
「トイレの場所どこだか教えてくれる? さっきから黙っていた遠藤君」
いきなり元木がそんな話を振ってきた。
「ほら、約束したろ。あとで二人で話そって」
元木が小さな声でささやいた。
「まあ、いいけど」
俺は了承した。
「遠藤、持ってけ」
そう言う伊勢木から懐中電灯を渡された。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺と元木は外に出た。体育館の中にはトイレがないのだ。まさに熱帯夜といった感じで涼しくはない。
「なあ、遠藤。きみはこの生存者の集いストレスだろ?」
元木が軽く言った言葉を俺は否定できなかった。
「やっぱりか。見てりゃ分かる、それにしても助けろとは直接的すぎるな。助けてやるよ」
元木が俺の瞳を覗き込んだ。つい、俺は怖くなって靄、いやアカシを出した。
「やっぱり、アカシがあると表情が見えないな」
元木が不敵に笑った。
「何できみがストレスを抱えてるか当ててやろうか?」
「きみは誰かと会話するのが怖いんだよ。誰かの話を聞いて理解するうちに話が移り変わるから」
元木の言葉は的を射ていた。
「じゃあ、どうしろっていうのさ」
的を得ていたが意図が読めない。
「俺がきみの通訳になってやる」
意味が分からない。
でも、腹の奥底が熱い。これが、はらわたが煮えくり返るってやつなのかな。
「意味がわかんねーよ」
そう言いながら衝動のまま体を動かした。
手が痛い。
どうやら俺は元木を殴ったらしい。
『「あはは。俺を殴ったか遠藤 秀一』」
『「ああ、殴ったさ』」
元木はいつの間にかアカシを出していた。
元木は俺の首をつかんだ。
俺も元木の首をつかんだ。
元木が足を上げた。念力で自分の体の上下を反転しようとしているんだ。
「なんか痛くてなんか楽しいな」
元木がそう言いながら俺を天に引っ張り上げる。
「そうだな」
俺はそう言いながらあえて元木に身を任せた。
元木に釣られ俺の体が上がる。上がる。
元木が俺の体を下にしたまま落としてきた。互いが互いの首を離さない。
なんなんだ? 俺たちは何をやっているんだ? 冷静になるな。今を生きよう。
背中と後頭部に衝撃。遅れて手足にも衝撃。さらに背中が痛い。
校庭に背中を引き吊られてる。
やばい、楽しい。
この時を永遠に楽しみたい。
俺は元木の首をたぐって引き寄せた。
そして元木の体を地面に叩きつける。
元木もその回転力そのままに俺の体を地面に叩きつけ返す。
また、俺も、元木も、俺も、元木も、俺も、地面に叩きつける。
止まったのはフェンスに当たったから。どっちの体がフェンスに当たったかは覚えてないし重要じゃない。
そこから先は立ち上がった。二人、ほぼ同時に。
そして延々と殴り合った。止める理由はない。
殴られたところが痛い。拳が痛い。でも、なぜか楽しい。
俺は笑った。元木も笑った。どっちが先に笑ったかは分からない。そんな事考えても意味がない。
足とか背骨とかも痛くなってきた。でも、楽しい。
どれだけ殴り合っただろう。ただ、夜空がきれいだ。街の明かりがいつもより少ないおかげか星が鮮明に見える。体が動かない。
俺は倒れてる、元木も倒れてる。どっちが先かは覚えてないし関係ない。
俺は笑ってる。元木も笑ってる。二人のたがの外れた笑いが夜空に響く。
「なあ、綺麗だな?」
元木の声だ。
「ああ」
「なんか、楽しかったな」
「ああ」
「なあ、俺の相棒になってくれ」
「ああ」
この、二人何をやっているのか書いていて混乱したのですよー
意味不明なのですよー