第3話 私、名前を付ける
うむむむむ…
仔猫が大人しくなってからしばらくの間、私は用意されていた『仔猫のお世話マニュアル』を読み込んでいた。
最初の項目にあったのは…
『名前を付けよう』
名前…名前かぁ…
私としては、一番最初にお世話の仕方などが書かれてあると思っていたため、正直肩すかしを食らった気分だったのだが、そこには『仔猫のお世話をするにあたり、名付けはとても重要。名前を付ける事により、お世話をする上で仔猫に対して愛情を持って接する事が出来る』というような内容が書かれてあったのだ。
たしかに言われてみればそうだなぁと納得も出来る。
しかし名付けかぁ…
私自身のネーミングセンスは壊滅的だと思っているし、実際ゲームなどのアバターに名前を入力する時は酷いもので、他のプレイヤーさんなどからは『なんでそんな名前にしちゃったの!?』と言われることもしばしば…
どんな名前なのかと言うと…
まぁ…
色々と文句を言われそうなので割愛するとして…
「う〜ん…」
この子の見た目だと、白黒の斑模様、当然生まれて間もないため、手のひらに収まるような大きさである。
「斑模様…マーブル…?」
呟くように思いついた単語を述べてみると…
「みぃ」
おや?
何やら仔猫から反応が…
まさかなぁと思いつつ、もう一度呟いてみる。
「マーブル?」
「みぃ」
「マーブル」
「みぃ〜」
おぉぉぉぉぉぉ…
しっかり反応してるんですけど!?
これはもしや決まりか?
試しに色々と他に思いついた単語を次々と述べていくが、仔猫は全く反応を示さない…
「マーブル〜」
「みぃ〜」
これは決定だよね…
というわけで、仔猫の名前はマーブルに決定となった。
………
え?
私の名前?
そんなの聞いてもしょうがないと思うんだけど…
え〜っと…
今日からマーブルのお世話をする「佐志屋 真桜」と申します。
職業は自宅警備員、趣味はFXで歳は今年でちょうど二十歳になりましたが、それが何か?
「私」と仔猫に名前がつきました。
今頃?とかは言わないで…(汗