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Lv6

「こんなところに穴が……」


ナナの率いる調査隊は謎の物体の落下地点まで辿り着いた。

城を出て街道を外れ平野を進み、山の麓の森で馬を降り歩いて登って来た。

途中スライムやゴブリンなどの低級魔物が出て来たが、日頃の鍛錬を積んでいる兵士たちには少数の低級魔物ならば問題なく蹴散らすことができた。


山の中腹に森を切り開いたようにポッカリと穴が空いている。周りの地面はえぐれ、衝撃の激しさを物語っていた。


「隊長、かなり大きな穴ですね。どうしますか?」


兵士たちは穴を取り囲むように並んでいる。ナナは一瞬間を置き指示を出す。


「これより穴の中の探索に入る!中へはあたしを含めて5人、穴の周辺の調査に5人編成を組んで残りは入り口の警備をして待機、魔物の進入を防げ。一時間後に集合予定だが、戻らない者がいた場合は城へ走り応援を呼ぶんだ!」


それぞれに指示を出しナナは少数の兵士を連れロープを垂らし洞窟の中へと降りていった。




ーーーーーーーーー






洞窟を進み始めて間もなく、穴の様子が切り替わった。最初はそれこそただ穴を掘っただけの土面だったが少し進むとボンヤリと薄明るくなっている土面もでてきている。


「もともとあった洞窟に繋がったのか。一体何が落ちたんだ…」


周囲を警戒しながら慎重に進んでいくと広い空間に出た。


「なんだこの広場は……」


開けた空間にガシャガシャと鎧の音が響く。ナナと四人の兵士は広場の中央の大きなクレーターに近づいていった。


「みんな警戒を怠るな、一人は後方で待機しろ」


クレーターの底を覗くように慎重に歩み寄る。


「隊長、かなりの衝撃で墜落したみたいですね」

「ああ、こんな大きなクレーターができるなんて相当だろう。恐らく、落ちた魔物も竜であろうと衝撃でバラバラに吹き飛んだに違いない」


それぞれが底の様子を見ていると、一人の兵士がナナを呼んだ。


「隊長、見てください!底に何かあります!!」

「なんだ、魔物の残骸か!?動きは?」

「ありません!まっ黒い、、、岩の様な炭の様な物です!」

「よし、調べてみる。ロープを準備しろ、下に降りるぞ!」

「はっ!」


クレーターの底に降りるためロープを準備し、ナナと一人の兵士が降りることになった。他の三人は穴の上で待機。


「随分深いな、あちらこちら爆発した様に岩が弾けた跡がある……」


ロープをつたい岩に足をかけながら底に向かっていく。


「やっと着いたな」


ありえないとは思うが、もしも落ちたものが生きていたらと考えナナは腰から剣を抜いて近寄る。後には降りてくるもう一人の兵士の姿が見えた。


「さて、こいつ正体は……なんだこれは?真っ黒に焼けた炭の塊、か??」


ナナは岩の様な黒い塊にゆっくり歩み寄る。ところどころヒビ割れており、表面は硬そうだがボロボロと崩れそうな印象を受けた。後から降りてきた兵士が駆け寄ってくる。


「隊長、大丈夫ですか!?」

「見ればわかるだろう、問題ない」

「こいつは焼け焦げた炭、、、ですかね」

「わからん、まぁ特に危険はなさそうだ。こいつのカケラを城に持ち帰り報告するとしよう。おい、その槍の柄でヒビ割れてるところを突け」

「え、、、いきなり動いたりしませんよね……?」

「お前……もういい、貸せ!」


ビビる兵士に苛立ちながらナナは強引に槍を取り上げた。


「こんな炭の塊、生きてるわけがないだろ!!」



ドカッ!



そう言いながらナナは塊を柄で突いた。



「ほら見ろ、何もないだろう。男のくせに情けない!」


ナナが兵士に向き怒鳴る。


「た、隊長…あ、あれは!?」


ポロ。。。ポロポロポロ。。。。。


「だから…何もないと言って、、、」


突いた部分が崩れ落ちる。

言いながら振り向いたナナは思わず固まった。


「………な、なんだこれは!?」


炭が崩れた部分から肌色のなにかが見えた。


「人の、、、肌?」


指先で恐る恐る触ってみる。

生暖かい。

まさしく人肌だった。


「まさか!?」


抱えて運べるくらいの大きさの炭の塊を、ヒビ割れた部分からボロボロと剥がしていく。徐々に中身が見えてきて、ほとんどの炭を剥がし終えた。


「……」


兵士は言葉が出ない様だ。

いつも気丈なナナですら、すぐに言葉は出てこなかった。


「……おい、急いで引き上げるぞ。撤退だ」


ナナは静かに指示を出す。

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