Lv16
–––––王の間–––––
「どうだ、竜の子の様子は?」
「はっ、今は特に問題ないかと。もう少し抵抗や反発が見られるかと思いましたが、日々訓練に励んでおります。」
ナナは週に一度の定例報告を行なっていた。
「使い物にはなりそうなのか?」
「今はまだ全然ですが流石は伝承の竜の子、というべきでしょうか。たった数日ですが驚くべき成長速度を感じます」
「ふむ。“竜の化身現れしとき、大いなる力と栄光を得ん”か。人外の戦闘力を竜の子が持っているとしたら、隣国に攻め入る大きな足がかりとなろう。引き続き教育を任せる。何か必要なものがあれば申し出るが良い」
「はっ、有難き御言葉」
それを聞いていた双子の姫が同じ声で喋る。
「お父様、ねぇお父様」
「それならわたくし達が世話をしても問題ないのでは?」
「まぁ待ちなさいセーラ、レーラ。まだ教育してから一週間目だ。それに聞いてたろう?竜の子は戦争に使える大事な駒なのだ。充分に気をつけておかないと危険だからのう」
「「ええーー」」
「まあその代わりと言ってはなんだが…」
国王が眼下の大臣をチラリと見る。
「はい、姫様たちには別のもっと珍しいペットをご用意してありますので。もう少しで届きますかと」
「本当ですの!お父様?」
「珍しいですの!お父様?」
「はっはっ、そうとも。今回も相当金がかかってしまったがの。二人とも気にいるじゃろう」
「「やったーー!!」」
「国王、今回の件はかなり力を入れて秘匿しながら行いましたので、予算が…」
大臣の頭は自分の懐を温める算段を入れながら困ったように言った。
「よい。では税収を少し上げよう。一気に引き上げて暴動が起きてもかなわんからのう」
「お父様ごめんなさい」
「わたくしたちがワガママで」
「二人とも気にせずとも良い。なにせ二人はこの王国の『姫』なのじゃからの」
国王が笑うと周りの大臣や家臣たちも合わせて一緒に笑い始めた。
「「お父様だーい好き!」」
双子の姫が国王の両腕に腕をからめてくっつく。
(……腐ってる)
ナナは顔色ひとつ変えず微動だにせず、ただただ跪いていた。




