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Lv13

結論から言うと、あたりが暗くなるまで岩は持てなかった。


「ぐっ、、、う、腕が」


腕がパンパンになり、ただ上げることすらできない。足腰もガクガクしている。


「なんだ、竜のお子さまは男のくせにこんな女でも持ち上げれるような岩も持てないのか」


ナナが現れた。

ちくしょう、なんか悔しい。今まで勝負事に熱くなることなんかなかったのに、なぜ今になって悔しさが出てくるんだ。


「だらしない……もういい、兵舎に帰ってとっとと寝な。明日も同じメニューだ」


「く、、、そ。。。」


言い返す力も残ってない。だがすぐにオレに駆け寄ってくる足音が聞こえた。


「チハヤ!もういいって許可が出たんだから今日はもう休もう、ね!?」


アルがふらふらのオレを支えてくれる。


「、、、お前、たしかアルバートと言ったな」


「そ、そうです!」


「最近訓練で気合いが入ってるみたいじゃないか。女みたいな顔してるくせに、小マシな剣筋をしている。今度立ち合ってやろう」


「は、、、はい!!」


「サッサとその役立たずなお子さまを連れて行け」


「わ、わかりましたっ!ほらチハヤ、僕の肩に捕まって」


「、、、わりぃな…」


アルに支えられながらすっかり夜になった訓練場を、オレたちは引き上げていった。



ナナは一人チハヤの持ち上げれなかった岩の下を見る。


「あたしの置いた場所から少し、、、ズレてる……あのガキ、本当に一体何者なんだ。。。」


誰も居ない訓練場で、ナナが呟く。






–––––兵舎の水場–––––


「じゃあ、かけるよ」


「おぅ、頭から一気にかけてくれ」


バシャアッ


アルに頭から水をかけてもらう。

火照った体から蒸気が出る。気持ちいい。


「ありがとな、もっかい今度はゆっくりかけてくれ」


「うん、わかった!」


服を脱ぎパンツ一丁で体を洗うように手でぬぐう。


「チハヤけっこう細いのにガッシリしてるね。僕より年下なのに」


「そうか?サンキュー、だいぶスッキリしたぜ」


「さんきゅー??あっ、僕も水浴びしたいからちょっと待ってて」


乾いた布で体を拭きながら今度はアルが脱ぎ出す。


(・・・なんだろう、見ちゃいけない気がするが…)


「ん?どしたの??」


「い、いや!なんでもない…」


(男、だよな……ホント?)


女の子のように線の細い身体。

だけどムキって感じではなく引き締まった筋肉がついてるアルの体を見て何故かいけない気分になりそれ以上は目を逸らした。


「ふぅ!気持ちよかった。さ、ご飯食べに行こう」


気付けばアルの魅惑の水浴び?は終わっていた。


(よく男だらけの環境で無事にいけてこれたな……アルよ)


ガチムキの兵士に服をビリビリに破かれるアルの姿を妄想しつつ馬鹿な考えをやめ食堂に向かっていった。




–––––兵舎の食堂–––––




「・・・なんだこれは?」


座って料理を注文したテーブルの上には今、いつものマズい料理が並んでいるのだが……体が震えプルプルする。


「どうだ坊主?俺様の新料理の味付けは」


「アホかーーーっ!!?」


焼いた肉の塊の上に塩が富士山型に盛られてある。


「なんだこれ、どーしてこーなった!?答えろ!料理人として答えてみろおっさん!!」


「んあぁ?坊主が味付けしろっていうからしたんじゃねーか。しのごの言わずまずはくってみ、、、」


「お前が食えーーーっ!!!」


勢い良く肉にフォークをぶっ刺し、そのままおっさんの口に放り込む。


「ぐぉ、、、、が、、、、は、、、」


うずくまりむせ返るおっさん。

ざまみろ。


「みたか!?というかおっさん、今までどんな料理食って生きてきたんだ、街で料理屋とか入ったことないのか?味見とかしないのか?答えろやコラ!」


「むぅ…味見か。。。」


「むぅ、じゃねーよ!それに塩もこんなに無駄遣いすんじゃねー、高価じゃないのかよ!?」


「わっはっは、この地域は岩塩が豊富でな。要らぬ心配だ」


「はぁ……もういいからいつもの料理出してくれ」


「よし、俺様のいつもの味にメロメロなわけだな?」


「ちげーよ!」


わははと笑いながらおっさんは調理場に戻って行った。


「あはは…チハヤ元気出たみたいだね」


「いや、余計に疲れた。最後の力を振り絞ってツッコんだからな…」


「料理か。僕は母さんの手伝いをしてたから少しはやったことあるけど」


「もうこれからはアルがオレに飯を作ってくれよ」


「えぇっ!?ダメだよそんな、僕たち男同士なのにプロポー、、、」


「すまん、忘れてくれ」


アルは恥ずかしそうに赤くなりながら俯いてしまった。


(……一瞬それも有りかと思った自分がにくい)


「ほら、いつものだ」


「おぅ、いただきます…」


「いただきまーす」


クソマズいはずなのに、六人前も食べてしまった。。。

く、悔しい!!





–––––兵舎の部屋–––––


オレたちはそれぞれのベッドに入り眠るまでの間話していた。


「はぁ、今日も疲れたな」


「そだねー、明日も頑張らなきゃ」


「なぁ、いつもこんな訓練しかしてないのか?王国兵士って」


「うーん、基本的には毎日こんな感じかな。魔物が出てきた時には討伐隊も出るし、それ以外でも護衛任務とかに出たりするけどね。ただそういう重要度が高い任務は腕の立つ兵士や隊長クラスしか選ばれないけど」


「まぁ、そりゃそうか」


「この間チハヤを見つけた調査隊に出たのが僕の初任務だったんだ。とは言っても、洞窟の入り口を見張る役だけど。人数も多かったし」


「そーなんだ。というか、オレの居た洞窟は普通に出入りできるような場所なのか?」


「あの山は魔物が出るから危ないことは確かなんだけど、危険がある以外は特に規制はないよ」


「次の休みの日、一度その洞窟に連れて行ってくれないか?」


そう、この世界でも6日動いて1日休むという習慣があっなのだ。

ちなみにあと2日訓練したら休みだ。


「うん、いいけど。魔物が出るから気をつけないとね」


(戦闘経験なんかないし、今のうちにある程度動けるようにしないとな)


「よろしく頼むわ。じゃあ、また明日な」


「うん、おやすみ」


腹も膨れ、動くのも気だるいオレは話しながら瞼がすっかり重くなりすぐに眠りについた。

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