Lv10
「て、わけだから」
「いや、全然説明になってねぇよ。どこだよここ?なんだよこれ!?」
国王との謁見のあと、オレはだだっ広い広場の真ん中に居た。
青い空、白い雲。
あ、頭が二つに翼が四枚の鳥が飛んでる。
絶対地球じゃねぇ…
ファンタジーだ
そして、周りには汗臭い男達が各々の体を鍛えたり武器を持って打ち合いをしている。オレとナナも剣を手に対峙しているのだが…
「そんなのもわかんないのか?それは『剣』て言うんだ。まぁ訓練用にあたしのもあんたのも刃は潰してあるから安心しな」
「んなこと聞いてねぇよ!見たらわかるわ!なんでこんな訓練場でオレが剣持たされてるのかって聞いてん、、、」
–––シュパッ–––
ハラリ…
前髪が切れ落ちた。
「、、、え…」
一瞬目を逸らしただけなのに気付けば目の前にナナの剣がある。
「……グダグダ喚きやがって、クソガキ」
(い、いつ剣を振った!?)
周りの兵士たちがヒソヒソと話しているのが耳に届く。
「あ〜あ、死んだな竜の子」
「間違いねぇ」
「隊長怒らせる奴久しぶりに見たな」
「知ってる奴は誰も逆らわねぇしな」
「『紅姫』を怒らせるなんて」
(紅姫って……なんだこの女)
「あんたを見つけた時は国王に報告しなきゃいけないし処遇が決まるまでは大人しくしてたよ。けど、あたしがあんたの教育係をまかられたんだ。となれば、、、」
目の前の剣をスッと引いた瞬間、
ゴガンッ!!!
「ぐっっ……」
顔面に拳が飛んできた。
殴られるのは初めてだな。
口の中が熱さと痛みで溢れる。
「まずは口のききかたから教えないとね」
ドンッ!!!
「がはっ……」
土手っ腹に蹴りが入る。
やべぇ、息できね……
「躾の時間だよ。。。ボウヤ」
ああ、ファンタジーはゲームでやるだけに限る。。。
––––––––––
「いてて………」
しばらくして、オレは地面の上にのされていた。身体中痛い。あの女、どんだけ殴るんだ。そもそも剣持ってる意味ないだろ、あんだけ殴る蹴るしかしてないんだったら。
「・・・」
ザッ
頭の近くで足音がする。
「初日の自己紹介はこのくらいにしとこうか。立ちな」
「・・・」
ドカッ!
脇腹を蹴られる。
痛ぇ…
「聞こえてるんだろ?それにしても、竜の子ってのは大したもんだね。あれだけボコボコにしたのに腫れ上がるどころか傷が治ってるじゃないか。亜人てのはみんなこうなのかね?」
そう、どれだけ殴られて腫れようが、蹴られて皮膚が裂けようが、不思議なことにあっという間に治っていくのだ。
けれど痛み(ダメージ)は体に残ってる。
どうなってる?オレの体…
「・・・」
「はぁ、、、もういい」
ナナは踵を返し離れて行った。
「おいお前。そこの竜のお子様を兵舎に案内しろ」
「は、はいぃっ!!」
何処と無く気の弱そうな、オドついた雰囲気の兵士がナナに言われ硬直しながら返事をする。そのままオレの元に駆け寄ってきた。ボロボロになり横たわるオレに声をかけてくる。
「き、君……大丈夫、かい??」
「・・・あぁ、なんとか、、、な」
「よかった。さぁ、僕の肩に捕まって」
「すま、ね…」
声を聞き、肩を借りてから気付いたが彼はまだオレより少し大きいくらいの少年だった。
「ゆっくり歩くからね」
助かるぜ、可愛い顔した少年。優しくな
意識を失う前に最後にそんな事を思った。




