平和な日常(3)
「まぁ面白いからいいけど、てか授業どうすんの」と大和田が言う。
「もう少ししたら起き始めると思うが」
「ここにいても暇だから教室でも行くか」
「同感。いや、それしかないだろう」
俺たちは知り合いや不良(?)、先生の姿をカメラに納めながら教室に向かった。
しかし、学校の中もグラウンドと差ほど変わらないくらい酷かった。
「絶対お前のせいだろ!」
「まだ決まったわけではない。知恵に会うまでわからないだろ(もしかしてさっきのあれか?可愛いって言ったからか?)」
「そうだけど。お前がまた変なことでも言ったんじゃない?前の『好きです事件』みたいに」
「……(こいつエスパー?)」
「あれはヤバかったな。学年関係なく男子を敵に回した揚句、文具が廊下に散乱していたからな」
「『あの事件』は確かにヤバかった。『あの発言』はしない方が良かったかもしれない」
「だけど次の日から何も無かったよね。お前が得意な『あれ』のお陰で」
「まぁ、皆の秘密を握るのは俺の得意分野だからな」
「だから敵にしちゃいけないんだよね。学校の敵にしてはいけないランキングに載るんだ」
大和田は苦笑いしながら言う。
「教室に着いたぞ」
教室2-4前。
「ここも被害ありか」
「これはどうしようにもできないけど」
そう言いながら俺たちは自席に向かったのはいいが何やら視線を感じる。辺りを見渡すが誰も…いたわ。掃除ロッカーの中に。
「二三矢さん」
「「……」」
そこには俺が敵にしたくない人の上位に食い込んでいる先輩がいた。あと、大和田の彼女でもある。ちなみに、大和田の下は二三矢だ。
「恭子……」
大和田が青ざめている。
彼女の名前は橘恭子先輩で、見た目は美人である。俺的には和服美人って感じか。性格も一応良いんだが、嫉妬がすごいってかヤンデレ似てる。
普段は大和田のことを『二三』って呼ぶんだが、怒ってるときは『二三矢さん』って呼ぶ。このときは誰にも止められない。
「お前……今回は何をしたんだ?」
「……身に覚えがない」
一緒にいてとばっちりは嫌だからな。
「だったら何で『二三矢さん』って呼ばれてるんだ?」
「知らない」
大和田の表情が固まっている。
「よーく思い出せ」
大和田の頭を揺らす。
「二三矢さん、まだ覚え出せていないのですか?」
「「ビクッ」」
橘先輩が口を開く。
「ヒントは今朝の出来事です。フフッ」
「今朝は特に……『知恵ちゃん 』を見て倒れただけ」
「『知恵ちゃん』見て倒れただけ? フフッ」
橘先輩が不敵な笑みを浮かべる。これはマ・ズ・イ。
脳から『逃げろ』って命令が来ているのに体が動かない。咄嗟に『謝れ』という視線を大和田に向ける。
「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ……」
ガクガク。
「……」
尋常ではあり得ないくらい謝っている。これはもう一種の病気だ。何をどうしたらこうなるのか。