逃亡生活-(3) : 昔話
私は小さい頃からずっと今の家に住んでいて、孝之と出会ったのは5歳のとき。
いつも遊んでいる公園で、隣町から引っ越してきた孝之とお母さんと出会った。
その頃の私はブランコで遊ぶのが好きで、帰る時間までずっと漕いでいた。
お母さんも呆れるくらい。
「孝之、公園合ったわよ」
「うん!」
「ほら、あそこにブランコ!」
小さい頃の孝之は、今と違って可愛かった。
「関係ない話をしない」
この話も私にとっては重要なんだ・・・話進めるよ。
ちょっと見ただけで、魅力とは違う何かに引き込まれたんだ。
気づいたらその日を境に遊ぶ役約束をしてた。
私は保育所、孝之は幼稚園だったから毎日は遊べなかったけど、遊べる日が楽しみで仕方がなかった。
それから小学校に上がってクラスも違ったけど、ときどき遊んでた。
薫もこのときから遊ぶようになったんだ。
今みたいに嫌ってはなかった。
でも、ある日を境に変わっちゃったな。
「ある日?」
うん、五年生の時に入院するくらいの高熱を出したんだ。
それも家族以外は面会謝絶。退院まで1ヶ月くらいだったかな。
退院したら孝之が孝之じゃないような感じがしたけど、いつも通り接してくれた。
でも周りの人は違ったみたいで、何で『霧島』と話せるの?って聞かれることが多くなったんだ。
先生も含めて。
薫もその中の一人。その中でも興味本位で孝之に話しかけていたけど。
「そうか・・・珠川はアホなんだな」
頭はいいけど、どこか抜けてるところがあるんだよね。
「「「・・・(そういうのを平気でいう子なんだ。イメージ変わったな)」」」
そのあと、『孝之を敵にするな』てなった決定的な出来事があったの。
たぶん、当時のことを調べたらきりがないほど情報はでてくるけど、事件が公になった決定的証拠は出てこないよ。あっても誤情報だよ。
だって、孝之が徹底的に漏れそうなところを潰しにいったから。
「なんで、笹塚は知っているんだ」
理由はね・・・孝之を脅したから。
「・・・(あー、あったわ。その事件。誰もいないところで後ろから嗅がされた。塞ぎ方が甘かったから平気だったが・・・あれは簡単に素人が入手できるものではないぞ。燐に恐怖したのはあのときが初めてだ。二回目は、調査で偽カップルになったとき・・・すぐに脱出できたが監禁されかけた)」
「・・・深くは聞かないが、孝之は何をしたんだ」
学校のおそうじ・・・。
「「は?」」
「いや、普通の掃除とは違うよな。おそうじって言い方も不自然だ」
うん、只のおそうじじゃないよ。
学校全体のおそうじ・・・先生の不祥事からいじめを洗いざらい出して、学校自体を綺麗にしたんだ。
いじめがあったのは事実だったけど、孝之に実害があったわけでもないし、当時の担任が不祥事をしてたわけでもないんだ。
「・・・(あいつ、やっぱり全部は話さないか。数年経っても心の傷は癒えないんだな。それにこの学校には俺と珠川しかいないしな)」
「孝之は何処から情報を仕入れて、どう消したんだ?」
そこは私の口から言ったら駄目。
これ以上は孝之から聞いて・・・氏杜さんはもう見当がついてると思う。
見当がついたなら、氏杜さんも孝之が何をしたかはわかってる。
「・・・アイツか」
「氏杜さん、アイツとは誰でしょうか?」
「孝之が唯一『師匠』と呼んでいる奴だ。情報仕入れについてだな」
「名前は?」
「わかってたら、ここには来ねよ。現時点で正体不明だ。今の孝之以上に厄介な奴だ。調査して数年経つが足跡が掴めねぇ」
「そんな人が・・・」
「実際にいるんだよ。この世の中ではな。アイツが入った痕跡が全くといって無い。わざとらしい痕跡は出てくるが全てダミーだ」
「・・・燐さん」
私にも何処の誰かは教えてくれなかった。
嘘じゃないよ。
孝之も頑として話さなかったし、話すなら死ぬって言ってたから。
「(それが俺と師匠との契約。お互いに相手の個人情報は漏らさない。もしも、そういう状況下になったら死ぬ。以上)」
私の話はこれで終わり。
次は氏杜さんが話す番です。孝之との深い関係は何処までのこと?
ニコッ
「話す」
「(この流れ的に美也も嫌々話すと思ったが、燐のあれには恐怖したのか)」




