体育祭-本番-(3)
ただいま。
諦めが有名なこの学校の体育祭は、保護者を含めて地域住民、他校の生徒にもこの日だけ(?)は諦めがついていた。
「「よし、休憩時間だ!」」
「その前に『借り物競争』」
「「oh my gosh ! 」」
馬鹿な人たちをおいて、さっさと終わらせますか。
俺が唯一出場する競技だ。
それ以外は、脅・・いや、ほかの人に押し付けた。
何もなかった、うん何もね。
『午前最後の競技に出場する生徒は入門状に集合してください』
「よし」
俺は最初で最後の戦いで生き残るために、一層気を引き締めた。
入場門前にはすでに、ほとんどの生徒が集合していた。
「お、霧島が最後か」
体育の舞田先生が俺の名前を言った瞬間に、集合した生徒全員が静かになった。
俺は『まだ』悪いことしてない。失礼な奴らだ。
「お前はここだな。うん、今までの競技違って静かになるの早かったな。優秀優秀」
(((いや、霧島がいるからだよ!!!)))
「俺たちは優秀なんで」
「うんうん、いいことだ!」
(((舞田先生、だまされてるよ!!!)))
『続いての競技は借り物競争です。今回はどんな借りるものがあるのでしょう』
「よし、行こう」
ぴっぴっ
という間にあと少しで俺の番だ。
気にしなくても特に何もなかった。
校長のヅラとか先生の車のカギとか、本当に彼女にしたい人とかそんなものしかなかった。
『誰か~小熊を持っている人はいませんか~』
『かつらが欲しいです』
「・・・(あれ?女子のものにああいうの入れたか?)」
「よし、次」
「俺か」
「「「ゴクリ」」」
(そんなに俺が恥ずかしいものを引くのを楽しみにしているのか。まあ、気にしないけど)
「よーいドン!」
トコトコとほかの奴らとは違い、俺は歩いて抽選所に向かった。
(残り物には福が・・・うん。ごめん、なかったわ。ほかの奴らは・・・)
「人前で・・・『着用している脱いだパンツ(ほかほか)』」
「俺の人生はここまで・・・『女子生徒の制服 (クンクン)』」
「まだ無いから無理でしょ・・・『次回の定期考査の答案(鍵のついた金庫にあるかも)』」
「俺はまだ当たりの方だな」
「「「・・・ちらり」」」
「見られても困らないからな」
俺はほかの奴らにお題を見せる。
『今、気になる人』
「「「放送委員~ここにマイクを持ってこっちにこい!!!」」」
(あ~そういうこと。別にいいけど、後で記憶を消せばいいから)
「はい、これね」
俺は放送委員にお題の紙を渡し、その場をあとにする。
それじゃあ、行きますか。
そのマイクをもって。
「ちょっ、「は?」すみませんでした!!!!」
『えーと、俺が気になる人は・・・さて誰でしょう?』
「「「はあ?」」」
さすがにそうなるよな。
俺に対してのお題なのに、周りに聞いているんだから。
『・・・誰かいませんか?俺の気になる人になりたい方はいませんか?』
うん、これでいいだろう。俺に被害はなし。
「兄ちゃん・・・」「孝兄・・・」「孝之・・・」
「「「(兄ちゃん(息子)に代わって皆さんに謝りたい)」」」
二次被害が出てたのは知りもしない。
『う~ん、誰もでない』
(((でしょうね!!!いたとしても恥ずかしだろ!!!)))
「私じゃダメかい?」
『・・・』
「無視かい?あんたと私の仲じゃないか。激しかったあの夜を忘れたとは言わせないよ」
「「「はあ?・・・えーーーー!」」」
「誤解を生む表現するな!殺すぞ!」
「殺ってみるかい?ここで」
「・・・いいえ」
「兄ちゃん」「孝兄」「孝之」
「「「ついにやらかしたか・・・」」」
家族は何があっても何も知りませんと答えようと、心に決めた。
「フフッ、霧山君と今後のお話ししないと・・・」
「薬を持ってこないと・・・」
「・・・孝之のバカ」
「ブルッ、これは・・・・・・今日は俺の命日か?」
「あんた・・・弱くなったね」
「美也さん、この俺でも死神には勝てませんよ」
「あたしがその死神とやらから守ってあげようか?」
「結構です」
「遠慮するな。若造が」
美也さんが、俺を俵のように担ぐ。
「「「・・・フフッ」」」
うん、何で俺の周りには火に油を注ぐ人が多いのかな。
計画が台無しだ。
「それじゃあ、行こうか。ゴールへ」
「俺にとっては違ったゴール(墓場)になりますけど」
「ははは」
「やっぱり楽しんでません?」
「楽しいも何も、私をいつでも本気だからな。孝之」
「・・・」
うん、この人には敵わなし、敵には回したくはない。
「よし、ゴールだ。そこの君、これでいいか」
ゴールテープの向こうで俺を下ろし、体育委員に聞く。
「あ、はい!!!」
「それは良かった。孝之、またな」
ヒラヒラと手を振りながなら、トラックから出ていった。
ちょうどその時、学校のチャイムがこの静けさを壊した。
『えー、トラブルが起きましたが、これにて午前の部を終了し、借り物競争の得点は無しとします。午後は応援合戦からスタートします』
「・・・逃げよ(帰宅)」
俺は本気で走って帰った。
俺しか知らない隠れ家に。
おかえり。




