とある俺の休日(3)
「失礼ね。私だっていつも実験室に籠っているわけじゃない」
小倉が頬を赤らめながら言い返す。知り合いに見られたくなかったのか。まあ、そうだよな。いつも白衣着ている小倉がエプロンを着ているから。ちなみに家庭科のときもエプロンではなく白衣だ。
「それで何でいるんだ。バイトか?」
「違う。祖母の店なの。時々手伝いに来てる」
「へぇー」
「霧山は何でいるの」
やっぱりそこ聞きますか。
「たまたま、裏通りを通ったら雰囲気が良さそうな店が見えたから」
「そう」
「「…」」
会話が続かない。すると廊下の奥からお婆さんが出てくる。
「さやちゃん、お客さんかい?」
「違う。あと、人前で"さやちゃん"と呼ばないで」
「はて?いつも呼んでいるのに本当は嫌なのかい?」
「嫌じゃないけど」チラッ
小倉が俺の方を見る。そして、お婆さんも俺の方を見て微笑む。
「?」
「さやかちゃん、お昼になったからご飯食べておいで。はい、お駄賃」
お婆さんが小倉の手にお金を渡す。
「お祖母ちゃん、こんなにいらない!」
小倉の手には10,000円が渡されている。
「いつも手伝ってくれるお礼を込めて。あと…」チラッ
「その子と食べておいで。お友達とね。早くしないとその子もう帰るよ」
俺はそんなこと一言も喋っていませんよ。
「…今から準備するから待ってて」
タタッ
俺は「いや、まだ帰らない」と言おうとしたが、小倉の祖母が何とも言えない雰囲気で俺を見る。
「お前さんの名前は?」
「霧山孝之です」
「さやちゃんとの関係は?」
えっ!何?彼女の親に交際がバレて問い詰められている彼氏みたいな感じになっているんだけど。
「一応、友達ですかね」
間違ってない。メル友だもん。
「本当にかい?」
「は、はい」
うん、怖い。その辺のヤクザより怖い。
「さやちゃんは、昔から部屋に籠っていてね。お友達を見たことないの。だから嬉しくて…」
あー、そう言うことか。あの小倉だもんな。
「霧山くん、気付いたときで良いから
さやちゃんが困っていたら支えてあげて」
「はい」
タタッ
小倉が廊下を走ってこちらに来る。
「・・・お待たせ」
「・・・」
小倉をジィーと見つめる。
「何?・・・変?」
「いや、小倉はいつでも小倉だった」
「・・・変なの。行くよ」
「おぅ」
ぎいぃーーっ
小倉が先に店から出る。そして、俺が続けて店を出ようとすると小倉の祖母が話し掛ける。
「さやちゃんを泣かしたら許さないよ」
「わかってます」
こうして、俺と小倉は昼御飯を食べに出掛けるのだった。




