素顔(終)
「霧山君、こんな所で何しているんですか?」
「えっと、実験の手伝い」
「何の実験?私も手伝っていい?」
榛里がグイグイ来る。今日1日見てたけどそんな人だっけ?
「勝手に話進めないで」
小倉が話に加わる。
「霧山、誰?」
「転「転校生の榛里朱鳥です」ニコッ
「それでその転校生さんがここに何のよう?」
ちょっと小倉さん、喧嘩腰にならないで。
「美術部に行ったら休みで次いでに学校探検をしていたら窓から霧山君が見えたから来ました」
フフッ
「それなら、帰って。邪魔になるから」
小倉、メールとの差が大き過ぎる。普段はクールで落ち着いた性格なのにな。
「霧山君は私がいたら邪魔になりますか?」
やっぱりそうなりますか。しないで頂きたい。
「霧山」
小倉、流れ的に俺の名前出すの分かってた。
ブーブー
そこに誰かの携帯がなる。
「俺か」
母さんからだった。
『仕事で遅くなるのでどこかで食べて帰ること。家には夕飯になるものはありません』
…これは使える!小倉は俺の両親が共働きなのを知っているから。
「小倉、悪いけど用事ができたから帰る」
「何で?」
「(ここで選択を間違えるとフラグ=死だ)さっきのメールは母さんからだったんだが宅配物が5時半くらいに届くから代わりに受け取ってくれってさ」
「そう…お母さん遅くなるの?」
はい、そう来ると思ってました。だから用意してます。
「いや、6時には帰ってくるから」
「夕御飯遅くなるんじゃない?」
「珍しく父さんが早めに帰ってくるらしいから朝から張り切っているからね」
「…分かった」
よし!
「そらならこの実験は明後日に延期」
ん?明後日?
「明日じゃいけないのか?(おいおい、これはまずい方向だぞ)」
「明日は私が用事があるから。予定入れないでね」
「今のところ予定はないが…」
「決まり」
小倉が片付けをし始める。
「私も明後日予定がないから手伝っていい?小倉さんのこと知りたいから」ニコッ
榛里、余計なこと言わないで!
チラッ
頼みの小倉の方を見る。
「はぁ、良いけど私と孝之の邪魔をしないでね」ニコッ
終わった…。
「はい」ニコッ
「…(俺以外の人がいたら出血多量で死にそうだな。俺はストレスで胃に穴ができそうだけど) 」
こうして俺は何とか修羅場を乗りきり帰路に立つことができた。
しかし、神様は俺を不幸にしたいらしく俺の左右にお二人がいます。一人はニコニコでもう一人はムスっとしている。
夕飯どうしようか。
駅の近くにある知り合いの店に行こうにも俺の家は駅から遠い所にあるし、小倉の家も確か同じ方向にあったはず。榛里の家は知らないが。
「あっ、私こっちだから」
榛里が駅の方向を指差す。
「霧山君、またね」ニコッ
「また、明日」
「あと小倉さんもね」フフッ
「…」フリフリ
小倉が珍しく手を小さく振る。そして、榛里も手を振り駅の方へ歩き出す。
「チッ」
「お前の舌打ち怖いから」
小倉から少し離れる。
「孝之だって分かっているでしょ!あの笑顔が偽物くらい」
「ああ(ごめん、ガチの笑顔による鼻血を初めて出した)」
「私も本気で笑顔をしたら、あの女くらい」
「いいのか?素が漏れてるぞ」
「孝之の前だから出せるの」
「それより小倉って人前で笑顔をしたことあるのか?」
「一回だけ」
「いつ?」
「文化祭の技術コンテストの優勝で」
それなら知らない訳だ。休んでいたし。
「それでどうなったんだ?」
「みんな気絶した」
「把握」
はい、気絶するほどやばかったんですね。
「私、こっちの道だから」
「おう、またな」
俺は大通りの十字路で小倉と別れる。
「それにしても夕飯…コンビニで良いか」
それから俺は家の近くにあるコンビニでカップ麺とその他諸々を買って帰った。
「やっぱりカップ麺は旨い」




