表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

怪奇奇譚.com 1

作者: 揚げ茄子

この作品を読む皆様へ


どうもはじめまして。揚げ茄子というものです。本作品は1話1話で終わる短編ものになっております。


自分は昔から都市伝説だとか百物語だとか、怖い話に目が無いものでして、今作品を書こうと思ったのもその個人的な趣味から始まりました。


思い立ったが吉日。私は何となく頭に湧いたイメージをそのまま書き出しています。

よって、この先も書くペースはランダムになると思われます。

たまーに思い出して見ていただけるなら幸いです。


最後に

本作品はフィクションです。

本作品を読んだ影響で何らかの現象などが起こった場合一切の責任は負いかねますのでご注意下さい。


それではお楽しみください。

怪奇奇譚.com 1



プロローグ


~おもむろに開いたパソコンの画面にサイトの広告ウインドウが開く。

いつものようにカーソルを角に持っていき、閉じようとする。

…ふと気になった。いつものようなゲームサイトやネット漫画のような広告ではない。

真っ黒。ただ真っ黒な背景の中に、目に映える赤いリンクバー。嫌に不気味で、しかし謎の魅力がワタシを引きつけた。

静かにマウスをダブルクリック。サイトに飛び、ウインドウが大きくなる。しかし、真っ黒。何も映りはしない。呆れて、閉じようとしたとき、無機質な性別のわからない機械音声が聞こえてきた。


[…よーこそ、あなた様がこのサイトが作られてから初めてのご来客者です。

このオカルトサイト、「怪奇奇譚.com」でハこんな見るからにあヤしいサイトリンクをclickされたお客様方に、子気味よい鳥肌を感じさせるような、私達の普段感じないような世界の一部を紹介し、感じていただクのが目的です。その日その日で違った話を楽しめ、恐怖できる。そんな魅力的なサイトです。

オ気に召すかどうかは分かりませんが、イつデも私達は心震わせる*奇譚、異譚*をヨういしてお待ちしております。それでは、今日の物語を始めましょう。]

所々ノイズの入る不器用な声で、それは語り始められた~






~1の奇譚「爪切り」






[本日は

"古い知恵には理由がある"

という言葉を頭に、ひとつの話をしましょう。

一度は母親や祖母から聞いたことあるんじゃないんでしょうか?

「夜に爪を切ると親の死に目に会えなくなる」

これは昔は暗いところで爪を切ってはねた爪が目に入ってしまい、目が見えなくなる。というひとつの教訓から出来た知恵です。

しかし、最近の爪切りでは実際爪を切ると飛んでくる事など少ないでしょう。家の中は昔と違い、明るい蛍光灯やらLEDやらが部屋の中を光光と照らしています。

ではなぜ、まだ少なくはありますがそんな話が受け継がれているのか?

今日の奇譚はそれに関係しているであろうお話。主人公の名前はA君としておきましょう。さてはて、どんな違った世界の一部が垣間見えるのでしょうか?]



…いつもどうり退屈な一日が過ぎ、今日も気だるい授業が終わり、やっと家に帰る。

「ただいまー…って誰もいないけどね。」

父は会社で夜勤勤め。母はパート。帰ってくるのはいつも深夜。

鞄を玄関に放り出し、リビングに入るといつもどうりのラップが掛けてある冷凍食品達が視界に入る。

"今夜も遅くなります。

温めて食べてください。 母 "

「…」


無機質ないつものただの作業のような走り書きを横目に着替える。

と、服に爪が引っかかった。見ると最近切ってなかったからか、妙に爪が伸びている。

そろそろ切るかなー、なんてぼーっと考えながらふと昔死んだおばあちゃんが言っていた事が思いうかぶ。

「夜に爪なんか切ってると親の死に目に会えなくなるからやめなさいな」


高校に入って少したって旅立ってしまったおばあちゃん。あれからもう1年も経つのか。

たしか暗いとこで切ったら跳ねて危ないみたいな話だったなー。

「…課題やるか」


机に向かって約1時間。無意識に親指の爪をかんでいることに気づく。

時間は午後7時半。おもむろにリビングに行きすっかり暗くなった部屋の明かりをつける。机の上のエビフライと焼売を電子レンジに突っ込んで、ふと自分のかんでいた爪をみる。

先がギザギザとなっていて少し割れている。

「剥がれてもだるいし、さっさと切るか」

独り言を呟き、棚から爪切りを取り出した。

しょきん、しょきん、しょきん。

刃物と刃物の擦れる音で子気味良いリズムを奏でながら爪は短くなっていく。

しょきん、しょきん、しょきん、、


じょきん。


「ん?」


最後の爪を切り終わる直前、違和感を覚えた。自分の切っていた音と違う音、少し鈍くか細い音が、自分の爪をきった時よりワンテンポ遅く、部屋の違うところから聞こえるような気がした。

なんとなく不安にかられる。人は一人の時は特にそういった不特定な音に対して敏感になる。

「…まあ、俺しかいないわけだし、気の所為だろ」


まるで自分に言い聞かせるように呟き、

ティッシュに爪をまとめて捨てる。

気付けば電子レンジはピーピーと甲高い音を立て、中で温かくなった料理をさっさと出せと言わんばかりに喚いている。

その後はいつものように、飯を食い、風呂に入り、床に就く。

少しずつ記憶の薄れるなか、ふと思い返される今日1日。

完全に眠りにつく直前、嫌に頭に響くのは、気の所為などではなかったであろうあの音だった。



じょきん。



1ヶ月後。体育祭を控え、ドロドロになって帰ってきたAは、いつものように鞄を放り出し、疲れた体を引きずりながらベッドに倒れ込む。

いつものように親はいない。今日は千円札が机の上に置いてあった。

気が付くと寝ていた。もう夜も遅い。

「…飯買いに行くか」


無理やり体を起こすと、ペリッといった感じで薬指の爪が枕のほころびに引っかかって少し剥がれた。

「あー、もうこんな伸びたのか」


リビングに行き爪切りを棚から出してくる。

しょきん、しょきん、しょきん。

やはりこの爪を切るときはなんとなくスッキリする。ためたものをまとめて処理するのは誰しも開放感を感じさせるものだろう。

片手が終わり、もう片手に入ったときだ。




聞こえる。




しょきん、、、じょきん。

しょきん、、、じょきん。



ワンテンポ遅く、部屋なんてそんな近くじゃなく、どこからか聞こえてくる。1ヶ月前のあの時の記憶がフラッシュバックする。か細く弱々しいのに、鈍く鋭い、空気を裂くような確実な音。心なしか少しずつ近くに来ているような気がする。



しょきん、、、じょきん

しょきん、、じょきん

しょきん、じょきん



心なしかなんて、少しずつなんてもんじゃなかった。

さっきまでとは比べ物にならない。すごい速さで音が近づいてくる。既に音はもう部屋の中からしている気がする。怖い。何かわからない。これが一番怖い。

残った爪は小指の先。これを切ったら…

しかし、えもいえぬ恐怖とは別に、自分でも信じられないような今までに無いようなスリルを感じている。

これを切ったら、音の正体が分かるのだろうか、それが分かったとき、


自分はどうなるのだろうか。


分からない、でも分かりたい。知ってはいけない真実だとしても、知りたいと思ってしまう。何故だろうか、自分にこんな探究心があったなんて知らなかった。最近になって面白くもなかった日常にいきなり突っ込まれた非日常に、私は傍から見ても異常なくらいに興奮を覚えていた。



ゆっくりと、爪切りの刃を小指の伸びた爪に当てる。


少しずつ、持ち手に、力を、かける。


冷たい金属の、鋭い刃が、柔らかい、爪に、めり込む。


じょきん。



.

..

...


なんだ?何も起こらない。

やはり何もなかったのか?ただの日々の疲れからくる幻聴なのだろうか。気の所為なのだろうか。きっとそうなのだろう。



しかし、違和感。

大抵物事に気が付くのは頭を整理しているときである。


爪を切ったとき、聞こえたのは自分の爪を切ったときの音と違った。しかし、自分の近くで、

物凄く

近くで

聞こえた。


気が付く。




聞こえたのは爪切りからではない。




音源は

自分の

後ろ



全身に鳥肌が立つ

勢い良く振り返る



しかし




視界に[ソレ]が入る前に





Aの首は静かに床に転がった。






…ねえねえ聞いた?

…何が?

…いきなり転校したA君

…あー、あの人がどうかした?

…なんか悲惨なことになってたって話だよ

…と、いうと?

…いやさ、近所のおまわりさんから聞いたんだけどね?

A君のお母さんが家に帰ったらリビングで、

…リビングで?

…A君の首がまっぷたつで部屋の中が真っ赤だったって。

…何それ怖いw

…まあ、作り話だと思うけどねww

..

.


じょきん。



[A君はなぜ切られてなお意識を保っていられたか?皆様は「切り戻し」という技術をご存知でしょうか?名刀を人握りの剣豪が使った場合、その刹那の一瞬、切った瞬間に元の位置に細胞が戻り、まるで何もなかったかのように元どうり引っ付く、という人離れした剣技の一つです。それでもまあ一度離れているので脆いものですが。話が少し脱線しましたね。

世の中に伝わる噂や都市伝説、古くからの知恵や昔話まで。「火のないところに煙は立たない」皆様の知らない真実が隠れているものも少なくないのかもしれません。

…え?結局そのA君の首を落としたソレはなにかって?

…こういうじゃないですか、

世の中知らない方が良いこともある。

もとより彼らは人目に付きたがらないモノたちです。無理に探れば自分の首を落とすことになるかも知れませんよ?

それでは

今日はここまで。]


実はこの作品は私の処女作でしたがいかがだったでしょうか?お楽しみいただければ幸いです。

今回の様なものを幾つかかいていくので、またお暇な方はどうぞ読みにいらしてください。

爪切りの話は母から聞いたことわざから思い付いたものです。昔は電気もなく、暗くなると同時に寝て明るくなると同時に起きるのが普通だったとか。それで、夜の真っ暗な中で爪を切っていれば、自然と見えないので目が近づき、切った爪が跳ねて目に刺さるので危ないよ、という教訓のような話です。


皆さんも夜の爪切りはお気をつけ下さい(笑)


それでは次の作品でお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ