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20.開戦


20.開戦



 コウテンの空域防衛艦隊からの砲撃を軽やかに避けながら、難なくジャスティーたちはコウテンへと近づいていた。順調この上なし。

「おかしいな……」

 ジャスティーの左後方を飛行するルイが呟く。

「何が?」

「明らかにおかしいよ。もう僕らの情報は入ってきているはずなのに……」

「数が少ない?」

 そう言いながら砲撃を避ける。緑に光る光線銃。なんだ、あまりこっちと変わらないな、とジャスティーは思うが、まだ相手の艦隊はスピードの射程距離には入っていなかった。あの飛距離は出ない。もっと近づかないといけない。

「そもそも、攻められるって意識が薄いんだよ。別におかしいことじゃない。それか、やっぱりあの情報のおかげなのかな。特別に手薄とか?」

 ジャスティーの右後方を飛行するシスカが言った。

「このまま突入できそうだぜ。作戦も何もいらないんじゃないか?」

 ま、作戦と呼べる代物はそもそもないんだけど。

「そうだね……」

 と、ルイが言った瞬間、


「ルイ! 左!」

 ジャスティーが叫ぶ。

「おっとぉ……」

 ルイは間一髪で避けることができた。ジャスティーたちはライラたちよりも速いスピードでコウテンを目指していたので、防衛戦線に近づくにつれ多くなる敵の攻撃に多少気をとられているうちに、ジャスティーの左から死角をつくようにぐるっと回って来たであろう明らかに他の艦隊とは違う戦闘機を見落としかけた。 

 隊列が整ってる……。正規軍だ。のんびりした防衛艦とは違う雰囲気を纏っていた。


「やっぱりそうくるよね……」

 ルイが呟く。にしても、想像より数が少ない。

「ふん、やっとお出ましか」

 ジャスティーは操縦桿にぐっと力を入れた。

「あっ!」

 ルイが声を発したが、時はすでに遅かった。

「ちょっ! ジャス! 誰が指揮官かわかってんの!?」

 むなしくルイが叫ぶ。

「まったく……!」

「……ジャスティーの援護っていうか、お守は無理だね」

 シスカもまた諦めたように呟いた。


『♠8から♠Aへ』、ルイが言う。

『こちら♠A』

『コウテン正規軍隊左方より接近。これより……』

『……』

 ルイの言葉が続かない。

『どうした』

『作戦を開始しました』

 そしてブツ、と通信を切った。

「しました」? なんで過去形なんだ。ライラはそう思ったがさして気には止めなかった。


「♠A隊、これより防衛艦隊右方より隙を突き侵入する。目的は侵入だ。あまり敵とやりあうなよ」


「了解!」

 ♠A隊も動きだす。





-コウテン白の騎士団-


「なんだってんだまったく。どんな趣味してんだ?」

 コーネルは相手の戦闘機を見てそう呟いた。なんだよ、虫みたいだ。

「隊長、後方にも戦艦四隻確認」

「ふーん、本気で攻めてくる気なわけ?」

 コーネルは失笑した。が、少し気になる点もあった。多少の被害は食らうかもな。なんたってこっちはいつもの半分もいやしない。蛮族戦に出払ってるせいだ。ま、たいしたことはないだろうが。


『侵入者たち、聞こえるか!? こちらコウテンの正規防衛軍だ。今すぐ活動を停止しろ! さすればこちらも……』


「お前か!!」

「!?」

 ジャスティーはその通信の発信源へと突っ込んだ。

「ちっ!」

 コーネルは通信を切る。最後まで言わせてもらえなかった。死にたいのならしょうがない、そっちが先に来たんだからな……。

 ジャスティーは躊躇せずに操縦桿を引き、その手にあるボタンを押す。スピードから伸びる華奢な二本の腕からは、大量の電気を吸い込んだ砲弾が一気に飛び出る。

「何っ……」

 コーネルはかろうじて避けた。代わりに後ろの一機がその砲撃により墜落した。

「避けた!? ま、そうこなくっちゃな」

 ジャスティーは一発で終わらせられるのならそれでいいと思っていたが、さすがのコウテン部隊にそれはなかった。 


 なんなんだこいつら……。コーネルは墜ちてゆく仲間の機体を見て怒りが湧きあがる。

「総員!! 戦闘態勢!」

 明らかなる侵略者の敵意を見てコーネルは叫ぶ。

「全滅させろ!」


「はっ!」

 コーネルの後ろに並ぶ白くキレイなシルエットの二つの翼を持つ戦闘機はいっせいに広がった。


『コーネル』

 そこに通信が入る。

『全滅はさすがにだめじゃないの? 生け捕りが必要よ』

 それはリアだった。

『それはお前に任せる。奥から周り込もうとしてる別動隊がいる。ビショップ隊はそっちへ回れ』

『あら、私に頼るんだ』

『……』

『嘘よ、嘘。当たり前じゃない、やるわよ。でもそれはコーネルの……』


『チッ……』

 コーネルとの通信も危うくなってきた。

『行け! リア! 俺はこのうるさい奴をやってから行く!』

『……わかったわ』


 遠くから見るリアにもわかった。しつこくコーネルを狙う戦闘機が一機。見た目はなんとも言えないけど、この戦闘機たち、侮ったらやられるのはこっちかも。信じたくはないけど、科学の進歩は、私たちコウテンのものだけじゃなかったのね。

「ビショップ隊。ナイト隊から離れ、これより防衛艦隊右方に回る」

「はっ!」

「後ろの艦隊を捕獲するとして……。あのちっちゃい虫たちは殺してね。一匹もコウテンに入れないで」

 リアは抑揚なくそう指示した。

「……リア様、お安い御用でございますよ」

 ビショップ隊のうち1人が自信満々に言い切った。


「……だといいけど」





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