flyleaf
Space Shifter Spade
Ep3 コウテン侵攻
ここではない 遥か彼方 宇宙での物語
flyleaf
ジャスティーは初めて知った。宇宙の奇跡とも呼べるような輝く惑星の存在を。その星は光っていた。まぎれもない、あの光。はじめて赤いマントを着て、夜を歩いたあの日、ひときわ光る星があった。あれは、この星だ。「コウテン」。
ただ話で聞くものとは違う。実際に見るコウテンは、目を閉じたくなるほど光輝き、畏れをも感じる星だった。それでも、この星を攻撃する理由がある限り、ジャスティーは「悪」としてコウテンを捉える。
根本的に何かが違う。こんなに発展した文明を、戦争に使うなんてどうかしてる。その輝きは、偽物だ。満足できないその欲深さが、豊かさの代償に得る愚かさだ。
「でかいな、やはり」
「ライラも初めて見るのか?」
「いや、初めてじゃない。だけど、ここまで近づいたのは初めてだ」
「……俺は初めて見たよ」
「だろうな。ネスの外に出ること自体、あるはずのないことだ」
「あの星が、宣戦布告してきたんだろう?」
ジャスティーは光を睨みつける。
「そうだ」
「ライラ、コウテンのキングは一体どんな顔してんだろうな」
「……さぁな。それは、この後のお楽しみってことだ」
見えなくてもジャスティーにはライラが笑みを浮かべている様が想像できた。
「ほら、見てみろ」
ライラが嬉しそうに言った。
「あ……」
「あれがコウテンの空域防衛艦隊だ」
ポツンと浮かぶ白く細長い無機質な宇宙ステーションのようだった。
「あまり力を入れてないな」
明らかに笑ってライラが言う。いつもより饒舌だった。
「ジャスティー、覚悟はできてるか?」
ジャスティーはその言葉に一瞬違和感を覚え返事が遅れた。
「?」
ライラの眉間に皺が寄ろうとした時、
「できてますっ!」
気合いの入った切れのいい声でジャスティーは返事をした。ライラはそれに安心する。
「よし! 接近するぞ! ♠隊攻撃態勢!」
「了解! 攻撃態勢準備!」
11人が声を揃えて応答する。
「完了!」
「ルイとシスカはジャックに続け! 後は俺と来い!」
「ジャック、一旦別れるぞ」
「了解。ライラ……隊長」
ジャスティーはそう言った。ライラは一瞬きょとん、とした。それにより少し変な間ができた。恥ずかしいなら言うなよ。ライラはそう思った。「隊長」なんて呼ばれたことはない。
ジャスティーは別に恥ずかしくなんてなかった。呼びたかったから呼んだだけだ。変な間ができてしまったけど。「ジャスティー」と、ライラに名前で呼ばれたことが不思議と今までなかったのだ。そして、ライラが何気なく言ったその言葉で、ジャスティーの士気は一気に上がった。
『ミズ!』
ライラが叫ぶ。
空を飛ぶでかい鳥のような形をした母艦、スペースシフターは、ライラたちの乗るスピードの後方で大きく羽ばたきながら♠隊を見守っていた。それを援護するように、♥️艦隊、♦艦隊、♣艦隊が続いている。
ライラから通信を受けたミズは一旦レイスターの方を見る。
レイスターは頷いた。
『了解。作戦開始!!』