塩味ラテ
混んできたチェーン喫茶店の真ん中で
ラテを啜る、氷味の
コーヒーの薫りが鼻腔をくすぐるから
淋しい気持ちに襲われて
あたしはトイレにいきたくなった
別にそこに楽園があるわけじゃないけど
ただ、なんとなく
気配のある孤独がみんな好きなだけ
トモコはまだ眠ってる
そんなに夢ばっかみてたら辛くなるよ、
現実に帰れなくなっちゃうから
涎が海を作る前に起こす仕事があるから
おちおち一緒に微睡むわけにもいかない
いつもそうよ
寝るのは嫌いだからいいけれど
あたしの夢は女優さん
あなたを魅了するおんなのこ
だけどいつも夜になると
パパとママとトモコが死ぬの
昨日もそうだった
あたしは泣きながら生きなきゃいけない
しにたがりのあたしを他所に
世界は回るってわかってるのに
それでも泣き喚かせるなんて
いい趣味よね、トモコ
グラスに固体が消えたから
あたしの居場所も消えてしまった
さあ、これから何処へ行こう