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女神より奪いし者 〜最強チートの異世界ライフ〜  作者: シンクレール
第1章 異世界に落とされた少年
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6話 最終試験

三年間が経ちました。


果たしてアラスはアルフレッドに傷を付ける事が出来るのでしょうか?

 〜3年後〜



 あの日から3年の月日が経った。


 あの後、俺は超絶美少女で、兄弟子であるリリィと対面したり。


天使のような笑みを浮かべた師匠に師匠と呼ぶよう優しく指導されたり。

(アルフレッド糞野郎に敬語で喋れとボコボコにされた。敬語はいらないとか言ってた癖に……)


 全ての基本魔法を第六階級まで使えるようになり、応用、特殊魔法は第二階級まで使えるようになったり。


(基本魔法は第七階級まで、応用魔法、特殊魔法は第三階級まである。大抵、第七階級の基本魔法、応用、特殊魔法の第三階級は、通常、宮殿魔法師が30人がかりで作り上げる)


 魔力欠乏状態にあったリリーをドラゴンから守ったり。


完成された吸血鬼(スクレ・ヴァンピール)≫のみをフル活用して師匠と互角に斬り合えるようになったり。


 水魔法以外の全ての魔法を第7階級まで使えるようになったり。


 (異世界アラクには魔法が存在している。基本魔法である、火魔法 水魔法 風魔法 土魔法 無属性魔法。応用魔法である氷魔法 雷魔法 爆発魔法。特殊魔法である光魔法 闇魔法 回復魔法 時空間魔法 結界魔法。の13種類の魔法が基本的に使われている)



 俺より1歳年上のリリィが、卒業前に俺に泣きついてきたり。


 その後、屋敷の倉庫にある


神魔の指輪(ディオブロ・バース)≫ レア度S 神器

 付与スキル

 総魔力量4倍


 を、ただでさえ≪万能の指輪(ワンノン・ジファン)≫をつけて<魔力量2倍>にかさまししている俺の、更に2倍という馬鹿げた魔力量を誇る彼女が付けた事で、とんでもない差が開いたり。

(8倍だぞ!?開き過ぎじゃね!?)


 リリーの卒業試験による2人の戦闘で北側の山が消滅したり。(一瞬で。恐怖を感じた)


 リリーが出て行った事で不機嫌になった師匠が、俺に対する修行量を2倍にしてきたり。(3倍だったかもしれない。記憶は消去した)


 と、色々あったが、

 昨日、俺も屋敷の倉庫から


神魔の衣(ディオブロ・クライナ)≫ レア度S 神器

 防御力上昇(大) 危機察知 直感力上昇(大)


 という、≪神魔の指輪≫にはだいぶ劣るが


(実質的に能力が劣る訳ではない。俺は≪神魔の指輪≫が欲しかったのだ!!)


 そこそこ使えるアイテムを貰い受けた。まあ、防具系の物は一つも持っていなかったため、ちょうど良かったが。


 この、黒ギリギリの濃紺に真紅と金の糸で刺繍を施されたローブを着た俺は、貴族どころか、王族だと騙っても違和感なく相手を信じこませることが出来るだろう。 (犯罪です)


 何と言っても、3年前には男だが女だか分からない容姿だった俺だが、年を取るごとにだんだん男っぽくなっていき、今ではどっからどう見ても男に見えるようになったのだ!

 どうやら、この身体の顔が最高だというのは本当のことだったらしい。


 今では師匠と隣に並んでも遜色無いだろう。ーーいや、流石にそれは言い過ぎかもしれないが。


 ってか、師匠は何でこんなに神器をたくさん持ってるんだろう……?いや、確かに俺も今回の事で神器を5つも持つ事になったが、屋敷の倉庫の中は神器だらけなのだ。


 あり得ない程に。


(まあ、秘密主義のあの人に聞いても何も教えてくれないのは、考えるまでもなく分かり切った事だがな)


 さて、今日は待ちに待った最終試験の日だ。


 合格方法は師匠に血を流させる事!はっきり言って出来る気がしないが、それでも俺は勝たなければいけない。


(だってリリィが一発合格なんだぜ?負けて一年多く修行してましたとか、ダサ過ぎる……!)


ここは、俺が落ちてグチャグチャになった、あの懐かしい草原…だったものだ。紫水晶化を解いた後、俺とリリーの修行場になっていたのだが、気づいた時には辺り一面更地になっていた。


ーー強風が俺の体を撫でる。


「準備は出来たかい?」

「はい。いつでもいいです」


 師匠はいつもと何ら変わらない軽装だ。余程自信があるのだろうか…?

 まあ、実際俺が今まで師匠に血を流させた回数は、片手の指で足りる程度しかないのだ。そりゃあ自信だってあるだろう。


 だって3年でたった4回だぜ?あり得なくね?いや、だって俺、女神様からチート奪いまくってんだぜ?ぶっちゃけ内心では世界最強とか余裕じゃね?とか思ってたんだぞ!!


紫水晶の魔眼(アメテュスト・ロウーユ)≫を使えばどんな敵でもいちころさッ!とか自信満々で信じてたんだぞ!!!それが何て体たらくなんだ!


 ってか師匠の≪固有魔法≫である≪魔法破壊≫が強すぎる!俺も習得したけど魔眼が無効化されるなんて思いもしなかったよ!!


 (師匠の固有魔法である魔法破壊は相手の魔法と同量の純魔力を魔法とぶつけ、破壊するというものである)


 これによって師匠より魔力量が圧倒的に少ない俺は魔法戦での勝利の可能性が殆どない。


 いや、勘違いして欲しく無いのだが、俺の総魔力量だってメチャクチャ多い筈なのだ。

 師匠が言うには俺の魔力量はおよそ宮廷魔法師100人分で、≪万能の指輪≫によるかさましで200人分になっているらしい。宮廷魔法師200人分の魔力だぞ?決して俺の総魔力量が少ない訳では無い!寧ろメチャクチャ多いのだ!


 化け物じみているんだよ……本当は…


「じゃ、早速やろうか」

「ええ、勿論です。師匠」


 こうして俺たちの戦いが始まった。ただ血を流させるだけじゃねぇ!殺すつもりでやってやるッ!ーー師匠が、斬りかかってくる。響くは爆音。踏み込みだけで地面が揺れた。


「発動!≪完成された吸血鬼(スクレ・ヴァンピール)≫!!」


 キィン 、キィンッ!


 師匠に勝つためには魔法戦では無く、剣での切りあいの勝負に持ち込む必要がある。ーー途轍もない次元での斬り合いだ。ここに来たばかりの俺では太刀打ち出来なかっただろう。


ーーしかし、俺は強くなった。この斬り合いは小手調べ。本気で斬り合っている訳ではない。が、俺達の立っていた場所はヒビ割れ、悲鳴をあげる。この戦いがどれ程の物であるかを分かり易く示してくれていた。


本来、絶対的な切れ味をもつ≪神殺しの黒刀・紅椿≫はどんな物でも斬り捨てる。

 当然、剣もそれに含まれる。通常の場合、今の斬り合いで相手の剣が真っ二つになり、

 勝負がついていた事だろう。


 だが、師匠の持っている剣は当然神器。そう簡単には斬れてくれない。しかし、ここで魔法戦が始まれば一気に俺の勝ち目は薄くなる。ーーそれだけは回避しなくては!


 ん?ちょっといい事を考えついたぞ!これを考えついた俺って天才じゃね?


 いや、今まで考えつかなかった俺が馬鹿だったのか……?


 でも、この身体の頭脳は最高だってラファエール言ってたぞ!俺が馬鹿なんて…そんな事があるはずがない……!まあ、細かいことはどうだっていい、積年の恨みを晴らしてやる!!!


「≪理を断つ者(オルドル・シュナイデン)≫を発動!<世界よ。我はアルフレッドの魔力の存在を許さない!!>」


 ここで発動したのは≪理を断つ者≫というユニークスキルだ。


≪理を断つ者≫


 存在の否定 ペナルティ 決定権


 という、ザ・チートな能力で、

 生命以外の物の存在を否定したり、

 独自のルールを世界に取り付ける事が出来る。


 ただし、俺は基本的にこのスキルだけは絶対に使用しない。一時期、このスキルの有用性を理解した俺は<存在の否定>を使いまくっていた。


 これ、≪紫水晶の魔眼≫より強力じゃね?と、しかし、直ぐに天狗になった俺の鼻をへし折るため、それは発動された。(鼻は健在です)

 そう、<ペナルティ>である。9回目にして<ペナルティ>の存在を思い出した俺は、10回目の能力使用として、


<世界よ。我は我の痛覚の存在を許さない>を発動した。


 が、全くもって無意味だった。能力が発動した感覚はあったが、効果は全く無かった。

 あの師匠ですら為す術も無かったのだ。

 どうしようもない。


 ……いや、俺は師匠にならどうにか出来たんじゃないかと疑っているのだが。


 黒い球体に包まれ、3日3晩叫び続けた俺は、


(3日3晩だぞ!?言葉にしたら大したことないように聞こえるが、3日3晩も叫び続けたんだぞ!?長過ぎだろッ!!!)


 余りの恐怖(トラウマと言っても過言ではない)から、≪理を断つ者≫を永久に使わないよう誓いを立てようとした。


 しかし、当然師匠は許してくれなかった。

 なんでも、痛みを代償とする能力は少なくなく、どれも強力である為、痛みに慣れ、耐える修行をすれば問題無い。


 との事、


 それからは地獄の日々だった。来る日も来る日も痛めつけられ。修行が終わった後はボロボロになるのが当然だった。

(比喩ではない。人間というよりボロ雑巾といった方が的を得ていた)

 俺の溜まりまくったこのストレス!ここで数倍にして返してやる!!一方的な魔法使用が可能になった俺にとって、貴様なんぞ相手では無いのだ!!ハァーッハッハッハッー!


 と、三下臭のするセリフを心の中で叫びながら、俺は1番得意な殲滅魔法を発動した。


「火魔法第七階級≪地獄の業火(ヘルフレア)≫発動!!」


 本来、無詠唱で魔法を発動出来る俺が、何故基本詠唱を唱えたか?だって?それはねぇ、威力を底上げして師匠を痛めつけてやりたいからだよ!


ーー黒い炎が辺りを焦土に変えていく。新しく栄えていた命達をも容赦無く飲み込むその姿は、この魔法に地獄の業火という名前を付けさせた理由を、無言で示す。


 まあ、いくらなんでもやり過ぎた気がしない訳でもないが(嘘)、どうせ師匠の事だ。ケロっとしてるに違いない。


 何と言っても師匠は訳の分からないスキルを大量に所持しているのだ。……もしかしたら火魔法絶対無効化のスキルとか持ってるかも…


 (いや……流石にそれは無いよね。多分)


「魔法使用を禁止した上での≪地獄の業火≫……今の、完全に僕を殺す気だったよね?大恩ある師匠様を本気で殺そうとしてたよねぇ?」


 ほら生きてた。

 まあ、意外な事に結構ボロボロだけど。


「いえ、師匠なら絶対に大丈夫だという確信がありました!!流石は師匠!どんな困難をも乗り越えるお力をお持ちのようだ!!師匠はスッゲーナー」


 まあ、こんだけ褒めれば十分だろう。心の広い師匠なら許してくれるさ!


「いえ、いくら褒めたって誤魔化されませんよ!いくらなんでも今のは酷いでしょうッ!ちょっとこっちに来なさい!!」


 うわぁ、師匠マジでキレてんじゃん。


 それにしても魔法使用を禁止されて広範囲殲滅魔法である≪地獄の業火≫に直撃したっていうのに死んでないってのは凄すぎじゃね?≪地獄の業火≫には燃やしたものを猛毒の気体にする効果があった筈なんだけどな……


 まあ、≪理を断つ者≫による存在の否定は1時間しか効果無いし、速攻で勝負を決める必要があったから≪地獄の業火≫なんて物を使った訳だけど。(それが本当かどうか。それは俺のみぞ知ることだ)


 ちなみに今現在の≪理を断つ者≫の使用回数は3回です!


 さぁて、ちょっと怒られてくるか。




 ▲▽▲




 ハハ…今どれくらい時間が立ったのだろうか……1時間ほど説教されてクタクタだったのに……


「正座しておきなさいッ!」


 だもんな…思えば、師匠がキレたの見るのは始めてかもしてない。


ーーここは、屋敷の中に何故かあった日本風の道場の中だ。畳…のようなものが敷かれている。断じて畳では無い。何か柔らかくて気持ち悪いし。それに、屋敷の中に道場があるということに俺は未だ理解を示す事が出来ない。


ここは、外から見れば道場があるような巨大な間取りをしている訳では無い。どちらかと言うと、廊下だ。何故廊下があるはずの場所に道場があるのか、師匠に聞いてもニコニコするばかりで何も教えてくれない。師匠はケチだ。


「もう、正座を崩してもいいですよ」


 優しげな師匠の声が聞こえる…ん?これは幻聴だろうか?うん、幻聴に違いない。

 あの怒り狂った師匠がそうそう許してくれるとは思えない。


「幻聴では無いですよ、姿勢を楽にしてください」

「…ッ!?な、なんで俺が考えてる事が分かるんだ……?アンタ」


 あ、あり得ん!師匠は人の心まで読めるというのか……?

 いや、まあ師匠なら何ができてもおかしく無いが。


「アンタ…ですか。懐かしいですね。アラスと始めてあった日にも私の事をそう呼んでいましたね……ちなみにアラス、お前は口に出していないつもりかもしれませんが、全部だだ漏れですよ」


 バ…バカな……全て聞かれていたと言うのか!?


 と、まあ、真面目な話っぽいし、

 落ち着いて話を聞こう。


 ちなみに師匠の傷はあの後直ぐに治った。

 師匠は前に回復魔法が1番得意だと言っていたし、朝飯前だっただろう。


「何か私に用があるんですか?師匠」


 大体、可愛い愛弟子がいなくなるのが寂しいとか、そういう話だろう。


「いや、さっきは怒ってしまいましたが、よくよく考えれば貴方は私の弟子達の中で最も私に血を出させて合格していたので、あと一つ、記念に神器をあげようと思いましてね」


 ほう……俺は歴代1位なのか…師匠が言いたいことってのは思ってたのと違ったが、

 結構気分いいな。


 ん?今始めて気になったが師匠って何歳だ?ってか弟子って何人居るんだ?……いや、知らない方がいい事もあるって爺ちゃんも言ってたし、気にしないでおこう。


 さて、神器か…何がいいだろうか?次は靴とか?いや、刀の方がいいな。確か倉庫に一本だけ刀があったはずだ。前に二刀流の修行とかもしてたし、何より二刀流ってカッコいいからな!


「師匠、俺は刀が欲しいです!確か、倉庫に1本有りましたよね?」

「刀…ですか?分かりました。持ってきましょう」


 その後師匠は一瞬で姿を消すと、片手に刀を携えて現れた。時空間魔法第一階級≪瞬間移動(テレポート)≫だ。この魔法は実に便利で、一度見た所、もしくは目視出来る場所に一瞬で移動することが出来る。


「これですね?緋緋色金で作られた≪断頭刀・死相≫魔法剣としては最高の代物です」


「ありがとうございます。師匠。これ…大事にします!!」


ーー日緋色金といえば、あの古臭い壁もこの金属で作ってあるんだったな。あの汚い色はペンキで塗られたのが風化したからああなったそうだが、本来の色は始めて見た。二刀流は、神器以外の刀で練習してたしな。


この色は…そう。太陽のような赤色だと言えるだろう。触ると、ひんやりとしている。心なしか刀の表面が揺らめいているように見えた。美しい刀だ。美術品だと言っても罷り通るだろう。俺は刀を鞘に戻した。


「今まで、ありがとうございました!」


師匠は何も言わずに頷いた。屋敷を出る。改めて見ると、やはり屋敷の大きさと屋敷内にあった部屋の数とが合わない気がする。本当に変な屋敷だ。胸が、焼けるように熱い。気づいた時には涙が頬を伝っていた。



これも、俺の悪い癖ーーいや、今回の場合はーー




 こうして俺、

 アラス・アザトースは旅立った。


 さて、目指すはアルテール王国首都、レクルムにある魔法学園!師匠が前にボソっと言っていた、見込みはあったけど身分が高すぎて弟子に出来なかった少女、アリス・フランチューレと会うために!!


 何でも、リリィと同じくらいの美少女で、

 俺と同い年らしい!彼女に会う事を当面の目的としよう!





 会うのが楽しみだ!!




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