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女神より奪いし者 〜最強チートの異世界ライフ〜  作者: シンクレール
第4章 動き出す物語
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47話 暗い世界

(ひっさ)し振りの投稿です!

 曇天の空が月を覆い隠し、濃厚な闇の世界を作り出していた。

 降り続く雨は弱く、しかし、確実に人々の心から熱を奪い去っている。


 黒い世界の中心で、地に伏し、致死量の血を惜し気も無く大地に捧げている者の影があった。


 アラス・アザトース。

紫水晶の魔王(サタナ・アメティスト)』の名で知られる、怪物である。


 かの化物は熱き血潮をかくも冷たき物へと変え、瞳孔の開いた光の無い瞳で石畳の地面を虚ろに見つめている。


 既に聴力というものを、その必要性を失った両の耳は、雨音で極小音となりながらも響き渡る、1人の女の足音を捉えていた。


 周囲を一分の隙も無く囲っていた魔力の結界が薄れていく。

 その光景は、蒸気が空へと登り、スッと消えていく現象に似ていた。


 結界の主が魔力の供給をやめたため、消える。

 至極当然な現象であるそれは、一つの重要な意味を内包していた。


 ーー『紫水晶の魔王(サタナ・アメティスト)』の暗殺完了。


 案外あっけなく終わった仕事に嘆息した女は、ある事実に気付くことが無かった。


 その怪物が、『魔王』などという物騒極まりない二つ名で呼ばれる所以を。

 その、真価をーー


『ピチャリ……』

雨音の中で、小さな音がーー

大きな意味を内包する、小さな音が、人知れず響き渡った。




 〜数時間前 アリスside〜




 訓練場の草木は、何時もよりずっと大人しく微風(そよかぜ)(なび)かれていた。

 太陽はまだ世界の真ん中で輝き、強い光を放っている。


 目の前では、極めて雑多に修行が行われていた。


 ラフィスは例の(・・)魔法の制御の修行を。


 エリス、リューク、オルド、ユミルは入り乱れながら真剣を振り回し、修練を重ねている。


 ルークはカールに短縮詠唱魔法を教え込みながら、自らは無詠唱魔法の練習をしていた。


 それらを遠巻きにみつめながら、他の様々な生徒達が剣と魔法を必死に操っている。


 そんな中で、たった一人、アリスだけは木々のトンネルの下にあるベンチで休息を取って、先程までの闘いを振り返っていた。


 アラス・アザトース…彼と戦うのは、『アレ』が初めてだった。


 初めて会った時は容易に倒せる程度の男だと思ったのに、入学試験では自分が決して破る事の出来無い≪女神の堅盾(アイギス)≫を、紙でも破るように突き破ってみせた。


 この世に生を受け、初めて出会った圧倒的な存在。


 そんな彼を、先程余りにも呆気なく(くだ)してしまい、アリスは今迄に無いほど意気消沈していた。


「産まれて初めて、本気を出せると思っていたんですけど、ね…」


 常人からすれば、完全に別次元の戦いではあっただろう。

今はもう無いが、先程までは訓練場の真ん中に直径30ユル、深さ10ユルもの大穴が開いていたのだ。


 目にも止まらぬ高速戦闘。

 見た事も無いオリジナルの魔法。

 神器であるという、極めて強力な防具と武器。


 アラスは、充分に強い存在だった。でも……


(完っ全に手加減、されてましたしね〜)


 全然、嬉しくなど無い。

 最後の魔法の撃ち合いの後、アラス・アザトースが泥まみれになって地面に伏していた時、いままで感じた事の無い、強大な怒りを感じたものだ。


 何故力を出さ無いのか。

 観衆の目がある前では、手札は切れないとでもいうのか。


 ただ、悔しかった。

 手加減しても、構わない程度の存在だと彼に認識されていた事が。


『隣に、立ちたいのにーー』


 彼の、隣に。

 彼の、近くに。

 彼の、腕の中に。

 彼の、全てと共に。


 許されない。

 許されていない。


 そんな気がした。

 親しくはなった。

 でも、彼は何時も他人との関係に一線を引く。


 これ以上近付くな。と

 僕の心に踏み入る者には容赦しない。と


  そう、望んでいるのがありありと分かる。


 一昔前の、自分がそうであったから。


 近付いて来る人間は皆、権力に惹かれていた。

 私を手に入れる事で、大きな力が手に入るから。


 近付いて来る人間は皆、美貌に惹かれていた。

 私を手に入れる事で、何よりの自慢になるから。



 ーー誰も、『私』になんて目も向けていなかった。



 でも、彼は違った。

 彼も怖いほど容姿が整っているせいかも知れない。

 ただ美しいだけの人間なんて、見慣れているのかも知れない。


 理由なんて、どうでも良かった。

 彼の、『アラス・アザトース』の近くにいると、私は『アリス・フランチューレ』では無く、『私』であり続ける事が出来る。


 だから、一緒にいたい。

 何時迄(いつまで)も、一緒にいたい。

 拒絶されると、知っているけど。

 そもそも、そんな事が自分に許されていない(・・・・・・・)と分かっているけど、それでも、一緒にいたい。


 隣に、いつまでも立っていて欲しい……


「まぁ……『叶わぬ願い』って、奴なんですけどね〜」


気づくと、修練中の皆がタオルで汗を拭きながら、近付いて来ていた。

太陽の位置からしても、今から昼食をとるという事ははっきりしている。




(こけ)のついたベンチから立ち上がり、スカートの後ろをパッパと払ったアリスは、皆の元へと歩き出したーー





ものすんごく遅い投稿になってしまい、申し訳ありませんm(_ _)m


今回の話はとても短いですが、物語のキーとなる大事な話でもあります。

放置してたくせに、短けえよとお思いの皆さん、どうか許してください。


私ももう受験生となりましたので、今回のこの投稿を期に、受験が終わるまでは再度の投稿は無いと思います。


気が向けばまた投稿したいんですが、前回の模試が…模試の野郎がとんでもない成績を叩き出してくれちゃったので、出来無いと思います(怒)


まぁ、今まで勉強していなかった自分が悪いんですけどね(笑)


そういう訳で!

これを見ている受験生の皆さん!共に頑張って行きましょう!!


またまた欲求の限界が来て投稿しちゃうかも知れませんが、その時はちゃんと勉強しろよ(笑)

と、温かい目で見守って貰えると嬉しいです。


長くなりましたが、これからもよろしくお願いします!

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