23話 入学試験 1
さてはて皆さん!!あれから数日が経ち、ついに今日は待ちに待った運動か……じゃなくて入学試験!!何だって?別に待ちに待ってないって?待てよ。
ゴホン。
おおよそ全体で2000人程の人達が集まっています!凄い!思ったより滅茶苦茶多い!具体的に言うと2倍くらい多い!ちなみに私は今、私、ラフィス、アリス、ユミル。の四人で会場まで来ています!
この学園は16歳以上なら何歳からでも入学できる4年制の学園なのですが、当然、今年で3年生になるエリスと、今年から二年生だと言うオルドはこの場には来ていません!
とは言っても、先程までは一緒にいたのですが、そろそろ試験が始まるからといって追い返されてしまいました。残念です…この面子はキツイのです。何と言っても男は私だけ、しかも女の子達が可愛すぎて超注目されているのです。
見て下さい皆さん!この絡みつくような視線!視線!!視線!!!
………って、もう、帰りたいな…ヘレンさんには試験無しで合格にしてやると言われていたのだが、流石に他の人達に申し訳ないので遠慮したのだ。ヘレンさんは「アラス君が試験を受けない方が他の人達は喜ぶと思うけどね〜」と、意味深な発言をしていたが、俺は無視した。
その時は、俺、滅茶苦茶いい奴じゃん!最高にかっこ良くね?と思っていたのだが、早速後悔していた。
なんせこのぎゅうぎゅう詰めの暑苦しい状態で、俺たちの周りには不自然な隙間が空いているのだ。分かり易く言おう。俺たちの半径7ユル以内に人が近付いてこない。
先程から俺たちを見て
「おい、あれ見ろよ。あそこにいるのって『現人神』のアリス様だろ?他にもグランデール家の『天使』ラフィス様に『糸殺し』のユミル、それにあの男はアラス・アザトースって話だぜ」
「アラス・アザトース!?あの『白銀姫』リリーの恋人って言われてるあのアラスか!?」
「ああ、何でも最近アリス様に求婚されたらしいぜ」
「うっわ〜羨ましいな…あれだろ?フェンリルもゴブリンもただのゴミだって発言したんだろ?おっかねーよな〜」
「何でも100人以上の騎士を一瞬で皆殺しにしたって話だぜ」
「そうそう、教国を潰そうかな〜とかも言ってたらしい」
「いやいや、あの東門の騒動を解決したのはアラス・アザトースだったって話だぜ。巷じゃ『ラファエール様の使い』って呼ばれてるらしい」
という話が繰り広げられている。突っ込みどころ満載だが、いちいち気にしていたら身が持たない。無視しよう。うん。
「ねぇアラスさん、聞いてます?童貞さん?お〜い『ラファエール様の使い』さ〜ん!」
「黙れブス」
「アリスお嬢様に今度ブスって言ったらお前を殺す」
「ああ、ごめんユミルちゃん。悪気は無かったんだ。よければその可愛い耳を触らせてくれない?」
「死ね」
「駄目ですよユミルさん。アラスさんに死ねだなんて言ったら。アラスさんが強硬手段に出るかもしれません。その後アラスさんが泊まっている宿に連れ込まれて、いけない事をされちゃいますよ?」
………どうやら、ラフィスは結局俺が一度もあの城で寝泊まりしなかったことに腹を立てているらしい。俺の近くに見方はいない。孤立無援だ。男の友達が欲しい……
と、俺がそんな事を考えていると、
「そろそろ試験が始まります!AからTまでのチームに別れてそれぞれの担当の先生の指示に従い、行動を開始して下さい!」
と言う声がフロア一杯に響いた。純魔力を使った魔法、無属性魔法での≪音声拡張≫だろう。無属性魔法だなんて…使う奴が本当にいたんだな。使いがってが悪いから俺は余り覚えていないのだが。
なんせ純魔力を使いこなすのはかなり難しいのだ。魔力は各属性に変えることで釣竿という道具を創り出し、魚という現象を釣るが、なんの属性でも無い純魔力で現象を釣り上げようとする行為は素手で魚を取ろうとするのと同じなのだ。難易度がまるで違う。
ああ、話を戻そう。
今から行われる試験は筆記、適応属性数、総魔力量、各魔法適性数値、魔法威力の5つだ。驚いたことに点数配分は公開されていない。
噂では、平民より貴族を優先して合格させる為の方策なんだとか。ヘレンさんはそんな事をする性格じゃないし、恐らく貴族派の上層部による圧力がかかっているのだろう。
まあ、そんな事はどうでもいい。俺にとって唯一の心配は筆記試験だった。しかし、過去問をラフィスにもらった所、ゴミみたいな問題しか出題されていなかった為、筆記試験も大した壁にはならないと確信している。
だって数学とかは中学で習ったやつばっかりだったし、他のも師匠の屋敷の書庫に書いてあったものばかりなのだ。ふっ、俺は偉いから自主的に勉強していたのさ!(師匠にボコボコにされて強制させられてました)
科目は数学、魔法生物、歴史、魔法理解、基本魔法、応用魔法、特殊魔法の7科目なのだが、生物と地理以外は百点だった。この二つももう大丈夫だろう。一応勉強した。昨日一時間ほどだが。
俺はDチームだから最初から筆記試験だ。因みにラフィスはP、ユミルはFそして最悪な事にアリスはDだ。俺はラファエールを呪った。
ーー何でラフィスやユミルじゃ無いんだ…チッ!俺はこいつとは離れた場所で行動してやる!
今回の試験の倍率はおよそ8倍。250人だけが合格となる。何とも世知辛い現実だ。250人の合格者が出るのだから50人5クラスな訳だ。しかも実力順にクラス分けされる。俺、手を抜こうかな…?絶対アリスと一緒になっちゃうし。
と、そんな事を考えているうちに筆記試験の会場まで着いていた。当然、各試験の会場は一つずつではない。なんせ20チームあるのだ。とは言っても、各試験の会場が幾つずつあるのか、細かいことまでは知らないのだが。なんせこのドームはデカイ。流石は魔法を使える世界だ。
……あれ?気付けばアリスの姿が見えない。どこ行ったんだろうか…?まあ、別にいいか。七教科のテストは一教科辺り30分という冗談みたいに短い時間だけ行われる。七教科だから210分。つまり3時間半だ。今が8時半だから、終わるのは1時。長いな…
俺は席についた。
ーー筆記試験が、始まる。
▲▽▲
うん。本当にカスみたいなテストだったな。もしかしたら全教科満点で700点になるかもしれない。
ーーなんせこの世界に来てから異常に物覚えがいいのだ。頭脳が最高ってのは本当なのかもしれない。
テストが終わった俺は、あのドーム状の建物から校舎に移動し、巨大な食堂でアリスと共に食事をとっていた。結局、テストが終わった後で見つかってしまったのだ。
ちなみに俺は今、カレーっぽい何かを食している。何でもかんでも元の世界と似通っているこの世界において、唯一食事だけは明らかな違いが感じられる。なんせ、醤油や味噌が無いのだ。懐かしいな……久しぶりに食いたい。
と、俺がそんな事を考えていると、
「ねぇねぇそこのお2人さん!僕も一緒に食べてもいいかな?何処も席が空いて無いんだよね」
と言う声が後ろから聞こえて来た。確かに席は何処も空いてないだろう。俺たちの半径7ユル以内どころか、俺たちのテーブルから一つテーブルを挟んで食事をする者が大多数…というか全員なのだ。座れない者は当然出てくる。
今この食堂を使っているのはDチームだけではない。他にも色々なチームが食事をしている。一学年が250人なのだから全体で1000人。今来ているのは2000人。その上俺たちの周りには誰もいない。そりゃあ座れないだろう。
ーーちなみにラフィスやユミルの姿は見えない。会いたいな……
しかし、そういったものは運が悪かったと言わんばかりに食堂を去っていった。流石に申し訳なく思い、俺とアリスが止めに入ったのだが、私にアリス様が気をかけてくれただけで有難いのです。気にしないでアラス様とお食事を続けて下さい。と言われてしまった。
これには俺たちも頭を抱えた。『現人神』って大変だな…と、他人事のように同情した俺は、アリスに対して、お前は現界している神様なんかじゃない。疫病神だ。と言ってやったのだが、それを聞いてた奴らにジッと睨まれた。やってられん。
まあ、それはいいんだ。振り返って見た所、そこに居たのは黄色い髪のイケメンだった。ゴールドではない。イエローだ。恐らく人族だろう。オルドの人族版って感じだな。身長は176ってところだ。俺も今では175。俺より1センチユルほど背が高い。男は俺たちに声をかけてきたため、他の奴らに睨まれている
「凄いですね〜ナンパでしょうか?始めての経験です」
「いや、違うだろ。えーと、誰か分かんないけど勿論いいよ。別に占領してる訳じゃ無いんだ」
「ああ、ごめんごめん!自己紹介がまだだったね。僕はリューク。リューク・ステンエル。一応貴族なんだ!お二人さんの名前は知ってるから自己紹介はいいよ。それに敬語もいらない。いや〜それにしてもここまで避けられるなんね……なんか悪い事でもやったの?」
「ステンエル…成る程、例の天才さんですか。別に私は悪い事をしている訳では無いんですよ。私の隣にいる童貞さんが女の子なら誰でも見境なく襲うから怖がられてるんです」
まだこいつは童貞ネタを引き摺るのか……クソっ!お前だって処女の癖に!(多分)大体見境なく襲ったりしてねぇよ!!
「へ〜アラス・アザトースは童貞なんだね!今度誰か紹介してあげるよ?」
「アラスでいい。リューク、俺は別に童貞が捨てられないんじゃない。捨てないんだ」
「哀れな言い訳ですね〜失望しちゃいます。ね?リュークさん。あ、私もアリスって呼び捨てにして貰って構いませんよ」
「いやいや、『現人神』であるアリス様を呼び捨てにしたら殺されちゃうよ。僕は遠慮しとく」
アリスは悔しそうな顔をしている。アレだな。この場面で、実は俺も現人神なんだよね。って暴露して見たいな。どうなるだろうか?まあ、流石にそんな馬鹿な事はしないが。
「ざまあみろ糞女。素行が悪いからこうなるんだよ」
「アラスさん。今度私に糞女って言ったら教国に連絡しますよ?」
「ふ〜ん、中がいいんだねお2人とも!あの婚約の話は本当なんだ?」
「婚約なんてしない。こんな女と結婚なんてするもんか」
「私の何が悪いのか全く分かりませんね〜これだから童貞は……」
「童貞童貞うるせぇんだよ!いいぜ!そこまで言うなら童貞なんてそこらでポイポイ捨てて来てやるよ!!」
「やれるもんならヤって来て下さいよ。いや〜見ものですね〜?あ、一週間以内に達成出来なかったら私と結婚するってのはどうですか?」
「うわ〜ドロドロだね。アラス、良かったら俺が童貞捨てるための女の子紹介してあげるよ。見返りとして今度ナンパに付き合ってくれない?君がいてくれれば簡単に釣れるからね!」
ナンパかぁ…懐かしいな…夏になるととにかく友人とそんな事ばっかりやってたよ。何故か俺ばっかり成功してさ…俺のアダ名は鈍感ナンパ魔王。笑っちまうよな……あいつら、元気だろうか…?
ん?何で鈍感ナンパ野郎だったのかって?それは俺が何故か鈍感だと言われててナンパが天才的に上手くて暴力でストーカーとかを退治してたらそうなったんだよ。懐かしいな……
と、感傷に浸ってばかりではいられない。ノリで言ってしまったが、やっぱり好きな子に始めては捧げたい。ナンパは構わんが、童貞を捨てる為の女の紹介はいらないな。
「いや、やっぱりやめとくよ。どっかのクソ女にいきなりディープキスされて傷心中なんだ。ま、ナンパはまた今度ね」
「うわ、意気地なしですね〜アラスさん。それにしても何処の誰なんです?貴方にディープキスをしたっていうのは」
「お前だよ!マジでぶっ殺すぞ!!」
「ああ、ダメだよアラス!アリス様にそんな事を言ったらラファエール教の敵になっちゃうよ!」
「知るか!!この女!ふざけた事ばっかり言いやがって!!」
「あははははは」
「あははははは。じゃねぇんだよ!!巫山戯んな!!」
…………はあ……疲れたな…俺、この学園に入って疲労のし過ぎで死ぬんじゃなかろうか……おっと、気付いたらカレーっぽい何かを食い終わっていたな。他の2人の皿も既に空っぽだ。
よし、さっさと終わらせて宿に帰って寝よう!次は…1時半から魔法適性数か。もう23分だし、そろそろ次の試験会場に向かうとしよう。
「おい、もうそろそろ移動しようぜ。次は魔法適性数だ」
「魔法適性数か……僕は6だけどアラスはどれくらいなんだい?」
魔法適性数では、 火魔法 、水魔法 、風魔法 、土魔法 、無属性魔法、氷魔法 、雷魔法 、爆発魔法、光魔法、 闇魔法 、回復魔法 、時空間魔法 、結界魔法
の13種類の魔法の内、どれが使えるのかが検査されるが、
他にも、竜語魔法、古代魔法、混合魔法、固有魔法、など、超難易度の魔法での高得点も狙える。
俺は混合魔法と固有魔法を使える事を言いふらす気はないし、古代魔法と竜語魔法は使えない。つまり魔法適性数は13になる。にしても普通はどれくらいなのだろうか?
いくら常識を勉強したと言っても他の人が10数年かけて得た物を10日で覚えるのは無理がある。当然、常識的な部分が完全に改善された訳ではないのだ。
「俺は13だな。普通はどれくらいなんだ?」
「じゅ、13!?ほ、本当かいアラス!?全属性じゃないか!!!」
「う〜ん、俄かには信じられませんねー。普通は3か4くらいなんですよ?ちなみに私は8です」
「ふ〜ん、そんな自慢げに8ですとか言われても凄さがよく分からないな……」
と、そんな話をしている内に試験会場までついていた。試験官さんはおおよそ10人、Dチームは全体でおおよそ100人いるので、試験官1人に対して10人ずつ……の、筈だったのだが…
またまたアリスのせいで俺たち3人以外は試験官さんを1人ずつ開けて受け出した。つまり、実質俺たちだけで試験官さんの1人を占領し、両隣の試験管さんも占領してしまった事になる。
他の奴らは7人の試験官さんの所にしか行けない訳だ。可哀想に…とっとと終わらせてどこう。
この試験では自分が使える魔法適性のある魔法を使う。まあ、つまりは「使える魔法を目の前で見せなさい」と言われている訳だ。
「すいません、今から試験を受けるアラス・アザトースです。よろしくお願いします」
「あ、ああ、君がアラス・アザトースか噂はかねがね聞き及んでいるよ。それでは見せてくれたまえ」
「はい。分かりました」
魔法適性数と言っても実践で使える程度の適性がなければ意味が無い。当然、頑張ったら指先に火がちょっとだけ出るってのでは話にならない。
そのため、50ユル程先にある的を狙って魔法を放ち、それを破壊出来れば数として認められ、破壊出来なければ数として認められない。
的は自動再生するため、どれだけ破壊しても問題にはならないが、俺としては的の心配より、物質を自動回復させるにはどんな魔法を使えばいいのだろうか?ということの方が気になる。どうせ教えてくれないから聞かないけど。
「俺の魔法適性数は13です。それでは火魔法から順に使っていきます」
ーー13!?という叫び声が聞こえたが、そんなの無視だ。俺はとっとと終わらせるため、魔法を行使した。
▲▽▲
既に時計の針は2時半を指している。殆どのDチームのメンバーも着々と魔法適性数の試験を終わらせていた。2時45分からは各魔法適性数値の試験が始まる。
この試験は別に自分達で何かをする訳では無く、変な機械を使ってそれぞれの魔法にどれほどの適性があるのかを調べる。というものだ。とは言っても、どうせ俺はどの属性も100%の適合率を叩き出すだろう。
いや、だって俺が全属性使えるのはラファエールのおかげだからな。どうせ魔法の適性もMAXにしてあるだろう。アリスによると80%を越えれば天才だと言われるらしいし、100%を叩き出したらどうなるのか…楽しみでもあるし、憂鬱でもあるな。
「次は各魔法適性数値の試験だね!それにしても魔法学園には可愛い子が一杯だ!ふっふっふ。僕は毎日いろんな子とパコパコするって決めてるんだ!!」
「リュークさん、そんな事を淑女の前で言うのは感心しませんよ?」
「淑女?痴女の間違いだろ」
「うるさいですね〜。…あれ……この匂いはひょとして童貞臭…?」
「おいリューク!この女をナンパしてどっかの宿に連れ込んでお前の女にしろ!!」
「む、無茶言わないでよアラス!ただでさえ一緒にいるだけで睨まれてるのに……」
確かにリュークは睨まれている。これでもかというほどの殺気がリュークに向けられているのは隣にいるだけの俺からしてもよく分かる。が、リュークを睨む奴は俺が殺気をあて返しているので、徐々に敵視の視線は薄れている筈だ。
って、もう次の場所に行かなきゃだな。担当の先生の指示に従って下さいとか言われたけど、あの50歳くらいのハゲ男は俺とアリスに怯えて指示なんて出しやがらないのだ。ヘレンさんに言ってクビにしてもらおうかな。
と、そんな事を考えているうちに変な部屋についていた。このドーム状の建物の中には何故か大量の部屋や訓練場がある。まるで迷路のようだ。
「皆さん、この機械に腕を通し、各属性の魔力を流して下さい。そうすればすぐに魔法適性が現れる筈です!」
ーー1人の白衣の男がそんな事を言っている。
目の前にはクソデカイ椅子みたいなものがある。あれに座って腕の位置にある輪っかに腕を通して魔力を流せば適性数値が分かる。というわけだ。血圧計みたいだな。
変な機械はまたまた10機ある。必然的に俺たちの周りからは人が消え、彼らが使えるのは7機になる。アリスはさも当然だという顔をしているが俺とリュークは居心地が悪い。
今回は1番最初にリュークが魔法適性数値を測ることになった。
「それじゃあ行ってくるよ!」
そう言ってリュークは椅子に座り、輪っかに腕を通した。リュークが使える属性は火、水、土、光、結界、爆発だ。応用魔法の一つと特殊魔法の二つが使える時点で天才なんだとか。
リュークの試験の結果としては、火:72% 水:83%:土:43% 光:32% 結界:54% 爆発:92%
だった。基本魔法の適性数値が60を超えることは珍しく無いが、応用魔法、特殊魔法は30だいがザラなんだとか。
この記録で最も注目して貰いたいのは最後の爆発魔法での92%だ。リュークは『爆発魔リューク』と呼ばれる王都でも有名な魔法師なのだそうだ。
爆弾魔みたいで危なそうな名前だな…とだけ思った。
ちなみにアリスの使える魔法は水、土、風、雷、氷、結界、回復、光だったのだが、どれも90%オーバーで全然面白くない結果だった。ーーチッ!
俺はどうだったかと言うと≪変幻自在≫のスキルで結果を改竄し、全てを95%以上にしたが100%は出さなかった。怪しまれるだろうしな。
え?改竄って犯罪じゃねって?ワタシナニモキコエマセン〜
そんなこんなで3つの試験が終わった。残るは総魔力量と魔法威力の試験だけだ。アリスが絶対に総魔力量では負けません!と息巻いていたが、総魔力量の試験の時だけにはレベル3で挑むつもりだし、どうせ俺が勝つだろう。
さて、皆が終わるのを気長に待とう。次の総魔力量の試験は3時からだ。後20分ほどあるし、一眠りするとしようか。
ーー俺は座ったまま仮眠に入った。




