22話 別れと兄弟子
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あの後、早速酒場に行って僅か数杯(3杯)で飲みつぶれた俺、アラス・アザトースはあの元気爺さんと笑いあっているでも無く、エミィときゃっきゃうふふな夜を過ごしているでもなく、貴族用のそりゃもう豪華な宿のベットの上で横になり、考えごとをしていた。
師匠が言っていたから気になり来たはいいが、アリス・フランチューレは大した逸材では無かった。いや、逸材ではあったが育ってはいなかった。アリスは確かにレベル3の俺とも互角に渡り合えるだろう。あいつが腰に差していた細剣は飾りでは無かった。それなりに剣の腕も立つらしい。
だが、弱い。ぬるま湯に浸かりすぎだ。『現人神』になっているため身体能力や魔力量、他にも様々なものが人族離れしているとは思うが、恐らく≪|完成された吸血鬼スクレ・ヴァンピール)≫を使えば一瞬で方が付くだろう。
果たして、このまま魔法学園に入るのは正しい選択なのだろうか…?
ーー既に時刻は3時を回っている。流石に眠い。だが、コレばかりはちゃんと答えを出さなければいけない。
どうしようか…正直、リリーに事情を話して協力してもらえば教国だろうが戦争だろうが魔神を倒せる程の実力者だろうがどうにかなる気がする。リリーはそういう存在なのだ。
やはり、魔法学園に入らず、リリーを探しに行こうか。リリーは目立つ。見つけるのは簡単だろう。魔法学園のレベルには正直期待出来ない。そもそも、俺は水魔法以外の全ての魔法の最上階級魔法が使えるのだ。覚える事があるとは思えない。
いや、水魔法を完璧にする手もあるな………だが、俺はやっぱり水魔法は嫌いだ。原理は分かる。分からなければ第六階級までつかえやしない。だが、第七階級には段違いの理解力が必要になる。
理解力が乏しい訳では無い。そもそも、俺は水というものがよく分からないのだ。そりゃあ科学的にはどうのこうので〜というのは知っているが、何か水は不思議な存在なのだ。
いや、だってさ、無色透明で触ると波ができてそしたら水面の揺らぎのせいで底にあるものが歪んで見えて更に触ると変な感触がして………と、水には変な事が盛り沢山なのだ。いや、そうなるのも原理としては理解しているが、本能的に…と言うか何と言うか、分からないのだ。
まあ、俺が水魔法を覚えられない理由はここまででいいだろう。さてはて、どうしたものか………
ま、いっか。あの爺さんに貰った招待状を使って明日学園に行こう。折角招待状を貰ったのだ。無碍にしても失礼 だろう。もうそろそろ入学試験だし、下見もしなければならない。大体、あの頼みの解決を焦る必要も無い。ラファエールの依頼の期日は決まってないしな。
さて、寝るか。
ーーアラスは枕元にあった光を灯すための魔法具を止めた。部屋は真っ暗だ。今日は色々あったな。ラフィスと結婚しろと言われたり、『ピッグ』を退治したり、天使だと呼ばれたり、エミィと再開したり、元気な爺さんとあったり。息を飲むほど美しくてウザい糞女にあったり、可愛い狐耳美少女にあったり、関西弁を喋る謎の変態エルフにあったり、大人のファーストキッスを奪われたり、大人のファーストキッスを奪われたり、大人のファールトキッスを奪われたり、大人のファー……………………
ーー涙を流しながらアラスは眠った。死んだように眠った。次の朝、アラスは起きることが出来るだろうか………?
▲▽▲
何故か分からんがびしょ濡れだった枕を火魔法で乾かして宿代を払い、街に出た俺は、一度、ラフィス達のいる城に帰ろうと考えていた。流石に長いこと待たせると心配されるだろうしな。……アリス、いないよな?
そんなこんなで俺は路地裏に入り、≪瞬間移動≫を使って城の前に舞い降りた。門番さん達は突如出現した俺に警戒心をガンガン言わせているようだが、そんなの知ったこっちゃ無い。
俺は早速橋の目の前まで到着した。ここは橋の前に門があり、橋を渡った先にも門があるという俺が知る中ではそこそこ珍しい建物なので、出来るだけ破壊したくない。穏やかに話し合いで解決出来ればいいが……
ん?どうしていきなり中に入らなかったのかって?いや、いきなり城の中に出たら問答無用で追いかけ回されるだろうが。嫌だよそんなの。
おっと、気づけば色んな年齢の門番さんたちが各々の武器を構えて俺を威嚇している。
えーっと、門番さんの数が多過ぎるな…これじゃ門番さん30号とか出来ちゃうよ。
と、呑気な事を考えていた俺の意識は
「そこの少年!名をなのれ!!」
と言う声に引き戻された。チッ!もう数えるの面倒だしや〜めた。アレだね、これからは門番さんが10人以上いたら門番’s1号と呼ぶことにしよう。
「俺の名前はアラス・アザトース!ここに入れろ!!」
横暴な感じになっちゃったが、脅した方が効率がいい。とっとと中に入りたいしな。でもって早く帰りたい。帰る…?………あれ?俺の帰る場所って一体……?……ゴ、ゴホン!そ、そんな事はどうでもいい!どうでもいいんだ!!
そんな事を考えていると門番’s1号の1人が話しかけてきた。
「アラス・アザトース?本物か?証拠を見せろ」
俺はステータスカードを見せる。安堵の表情を浮かべた彼は快く中に入れてくれた。
入っちまえばこっちのもんだ。俺が不法侵入じゃないという証拠がある。俺は早速≪瞬間移動≫で昨日の執務室の前まで飛んだ。
ーー相も変わらず殺風景な執務室には、誰もいなかった。朝食をとっているのだろうか…?アリス、いなきゃいいけど……
とりあえず俺は≪万能の指輪≫の<完全索敵>を使用して人が集まっている場所を探した。うーん。ここでも無い…ここでもない……ここでも…いた!!あり得ない程デッカい魔力が2つとその他大勢!!間違いない。朝食をとっているのだろう。そしてアリスがいるのも間違いない!!チッ!会いたく無かったのに!!
だいたい俺も食ってないってのにあいつらは朝食なんて食いやがって……!憤った俺は早速≪瞬間移動≫を使った。
ーー突如として現れた俺に誰しもが驚いて……無い。ゴルドーさんとアリスは薄く笑っている。ーー怖いなこいつら。
「食事中で悪いですが、何か魔法学園の学園長から招待状を貰ったのでそちらに行ってきます」
ん?もう敬語は使わないんじゃなかったのかって?馬鹿にされるのも嫌だが、面倒ごとになる方が嫌なんだよ。
「魔法学園の学園長からの招待状!?ほ、本当ですか!?アラスさん!!」
ラフィスが跳び上がって驚いている。おかしなことにあのゴルドーさんとアリスでさえも驚いている。なんだ?目の前に人が突然現れるよりも学園長が招待状を出すことの方が驚くべきことなのか?
まあ、逆にランド一家は大して驚きもせず、魔法学園の学園長?誰それ?と言いたげな顔をしている。
どうせまた薄ら笑いを浮かべているだけであろうニーナは…………ん?また?薄ら笑い?ニーナ?あれ?ニーナは何処だ?
「なあ、ニーナは何処だ?ニーナはどこ行った??」
俺が眉を顰めてそう言うと、今度はアリスたち一行以外の者だけがニーナ?誰それ?という表情で、他のものはオロオロし始めた。
なんだ?この反応。
俺がそう思っていると、
「ご主人様、怒らずに聞いて下さい。ニーナさんは伝説の国、『竜国リンペルド』に行くと行ったっきり帰って来ません」
「what?」
おっといけない。ここでは英語は通じないんだった。
「なんの冗談だよ、それ」
俺の声は珍しいことに怒りを露わにしていた。何だとあの野郎。ラファエールからの頼みを無視して旅に出るだと?アホなの?お仕置きももうしないぞ。しかも何か?俺はそんなに頼りないか?旅に行くなら手助けくらい…いや、手助けなんて言わずに一緒について言ってやったのに……
何か、自分が酷く情けないように感じて悲しくなり、少し、一雫だけ、涙が零れた。
それを見たこいつらの驚く顔といったら面白いったらありゃしない。『鬼の目にも涙』ってか、笑えないな。
俺は涙を左袖で乱暴に拭った。どうせニーナは自分が旅に出ると知ったら俺もついていくと言うと予想したんだろう。あいつは馬鹿で変態だが、仲間思いで頭もいい。案の定俺は真っ先についていくという選択肢が浮かんだ。
チッ。ムカつくな。俺は見透かされるのは好きじゃないってのに。まあ、いいか。人はさようならを言った時に一回死ぬって聞いたことあるし。
俺が泣いたからだろう。エリスが心配して
「お前…大丈夫か?ほら、あいつは気まぐれな奴だったし、別にお前が頼りなくて言わなかったという訳じゃ無いと思うぞ」
と言ってくれた。全く、勘のいい奴だ。俺がどう考えて泣いたのかまで分かってやがる。途端に嬉しくなった俺はエリスのアタマをワシャワシャと撫で、ありがとう。と、お礼を言った。
ーーすると、一瞬にしてエリスの顔が真っ赤になり、俺の手を乱暴に頭からどけた。何を怒ってるんだ?意味分からん。
うわぁースケコマシですね〜。と、アリスが言っていたが、俺は気にしない。こいつの言う事は全部無視だ。……それにしても本当にパーティーをやったらしい。何か火薬の匂いがするし、朝食の種類がやたらめったら多いのだ。
いいなぁ、パーティ。俺も参加…できないか。しないし。
話を戻そう。
「まあいい。別れの辛さなんて再開の嬉しさに比べればカスみたいなもんだからな。帰ってきたら俺への呼び方がお前様からマイマスターに変わるまでしこたまぶっ叩いてやんよ」
そう言った俺に対して、何人かの女の子が恐怖に怯えた目を向けてくる。大半がメイドだが、驚いたことにアリスもだ。こいつはいい。マイマスターと呼ぶようになるまでケツを叩き続けるぞ!と言えば怯えて俺に近寄らなくなるかもしれない。
…………それを肴に脅される未来が見えた気がするが、細かい事は気にしない。飯は……やめておこう。俺にはこういうのは合わない。じゃあ、言ってきます。と、そう言った俺は≪瞬間移動≫で城の外に出た。
……さて、困ったことに離れ島に行く方法を俺は知らない。どうしようかな………あ、風魔法を応用して空を飛ぶか!いや、でもぶっつけ本番は危険だよな…目立つし。
ああ、そういえば離れ島には船で行くってエリスが言ってたな。船着場まで行って話を聞こう!そうしよう!!
ーー俺は適当な所に≪瞬間移動≫し、船着場を探した。
▲▽▲
あれから三時間くらい経っただろうか?あの後、俺の事を天使だと呼んで来る奴の対処をしたり、弓矢騎士の詰所に連れて行かれそうになったり、それを見た数人の人が怒り出したりで大変だったのだ。ちなみにあの騎士達は市民に手を出そうとしたのでしばいてゴミ捨て場に放り込んだ。
ーー今、俺はやっとの事で離れ島にきている。俺は多くの人が住んでいて、文明もこっちだけ高度になっていて、色んな店があって、というのを予想していたが、違った。
この東京ドーム10個分くらいの大きな島は、全てが魔法学園だった。意味が分からないって?そのまんまの意味だよ。
この島は10ユルくらいの防壁に全体を囲まれ、完全に独立しているように見える。とにかく見渡す限り魔法関係の施設で埋め尽くされていた。
島の中心部には、馬鹿なの?死ぬの?と言うくらいどでかい建物があり、その近くには巨大なドーム、更に2つの…あれは、寮だろうか?そのような物があった。前言撤回しよう。あれ程大きな建物は日本では作れない。
文明は相変わらずかもしれないが、やはり『魔法』がある分普通は出来ない事を簡単に可能にする。見方によればこっちの方が文明が進んでいると言えるのかもしれない。
さて、学園長がいるのはあの真ん中の建物だろう。≪瞬間移動≫は見えさえすればそこにいける。とりあえず、門から行くのか屋上から不法侵入するのかを考えよう。
………って、考えるまでも無いか。≪万能の指輪≫の<完全索敵>で門の周囲の反応を探す……必要は無かった。どうやら今は校舎内でも反応か少ない。休みなのかもしれない。
何より気になるのは……あの校舎の近くにある変な穴。あれは噂に聞く『迷宮』なのかもしれない。腕試しにはもってこいだな。にしてもあるならあるで教えてくれればいいのに……
まあ、別にいいか。よし、不法侵入などせずに、堂々と正面から行こう。幸い、誰もいない校舎の中にかなりでかい魔力反応が40くらい集まっている場所と、俺程ではないがあり得ない程の魔力量を誇る奴がいる2つの場所がある。
学園長は後者の場所にいるだろう。とりあえず門まで≪瞬間移動≫して……うーん、やっぱり入学する前から中がどうなっているのかなんて知りたく無いなぁ。楽しみが減っちゃうし。
学園長のいる場所まで直でいくか。不法侵入っていっても招待状貰ってる訳だし、誤魔化せるだろ。多分。
ーーそう思った俺は、学園長の部屋(仮)まで飛んだ。
▲▽▲
ーー流石に部屋の中にいきなり転移するのは失礼だと思い、俺は扉の前に転移した。校舎の様子は余り知りたく無い。俺は周りに目を向けず、扉にだけ集中した。
かなり年季の入った高そうな扉だ。大きさは縦が2ユル、横が0.7ユルといった所だろう。古いが別にボロボロという訳では無く、かなりの密度を誇る堅い木が使われているのが分かる。
俺は自分が敵では無いとアピールするために魔力を消した。戦闘に入る為には魔力をあらかじめ高めておく必要がある。魔力0では何も出来ないのだ。まあ、闘気を使えばいいのだが。
俺はコンコン、と2回ノックした。ああ、別に2回したのに意味なんて無い。何と無くだ。
部屋の中から
「いいわよ。入りなさい」
という声が聞こえた。
俺はドアノブに、手をかけ、扉を開けたーーそして、閉めた。
中からは、何で閉めるのよ!という声が聞こえて来たが、無視だ。これは当然の判断だ。何故かって?
中にいる女が全裸だったんだよ!!何だあの露出狂!全然良くねぇよ!服を着ろよ!!
「すいません、変態が見えたので。それでは、招待には応じました。失礼させて頂きます」
俺は部屋の外からそう言って、帰ろうとした。だが、
「ああ!ちょっと待ちなさい!兄弟子の言うことはちゃんと聞かないと駄目でしょ!!」
という声に引き止められた。兄弟子?兄弟子って言ったか?さっきの紫髪の女。兄弟子……って事はつまり師匠の弟子なのか?ああ、それであの若さでの学園長入りを果たしたのか。
チラッと見たら随分と若い女だったから仰天したのだ。俺の予想では60くらいのお爺さんが
「フォッフォッフォッ。お主が噂のアラス・アザトースかの?儂はアルバ○・ダンブル○アじゃ」
と言うと思っていたのだ。師匠の弟子なら相当強いのだろう。強さで地位を手に入れた女。かっこいいな。
兄弟子というのだから、弟弟子の俺は言うことを聞いておくべきなのだろう。だが…
「では、服を着てください。着ないなら入れません」
そう、服を着てもらいたい。別に醜い女だったとか、そういうんじゃ無い。寧ろ美人だった。エリス以上ラフィス未満といった所だ。ショートの紫色の髪が特徴的だった。体型はまさにモデル体型。身長もあり、出るべき所は出て、引っ込むべき所は引っ込んでいる。
暫くガサゴソと音がして、
「着たわよ。ほら、入りなさい!」
という声が聞こえて来た。あの音がブラフじゃなきゃいいが…
「分かりました」
そう言って俺は部屋に入った。兄弟子を名乗る女は…いない?どこ行った!俺は直ぐに<完全索敵>を使おうと思ったが、どうやら俺の頭上にいたらしい。魔力反応があった。
俺に気付かれずに近ずくとは…本当に兄弟子なのだろう。俺は、おふざけはここまでにしましょう。と言うために上を向いた。
が、そこにもいない。
クソっ!≪瞬間移動≫を実戦で使えるのか!!
本来、≪瞬間移動≫は実戦で使える魔法ではない。時空間魔法は他のどの魔法よりずば抜けて難しい。当然、≪瞬間移動≫を使うには呪文詠唱が必要になる。
だが、実戦で呪文詠唱をするのは危険だ。なんせ完全に無防備になる。当然、そういった事を想定してパーティーを組むのが常なのだが、師匠は1人で戦えないと話にならないという考えが頭にこびり付いているため、とにかく無詠唱魔法を叩き込まれた。
とは言っても、俺は≪万能の指輪≫の<詠唱破棄>があったため、無詠唱魔法の修行なんてしたことが無いのだが。ああ、話が逸れたな。俺が言いたいのはつまり、あの女はかなりの使い手だと言うことだ。
向こうがやる気なのなら俺も相手をしてやろうじゃないか!!
と、意気込んだ俺はいきなり目の前に現れた女に呆気に取られた。戦う意思が無いのか?とかって疑問を抱いた訳じゃ無い。
「何でまだ全裸なんだよぉおおおお!!!」
俺は叫んだ。この野郎。やっぱりさっきのはブラフだったか!まあ、師匠の弟子だし、予想して無かった訳じゃ無いのだが。
「まあ、いいじゃない。アラス・アザトース。貴方、『真王の子供達』つまり、私の弟弟子ね?」
『真王の子供達』?何だそれ?まあ、何でもいいか。この人の弟弟子なのはどうやら間違いなさそうだし。それより服を着て欲しいのだが……
まあ、私はプライベートでは服を着ないわ!って人なのだろう。別に見てて悪い気はしない。寧ろいい。興奮する。だが、俺は昨日糞アリスのせいで痛い目にあったばかりなのだ。正直、今日はエロいのはいらない。
「はい、間違いありませんよ。で、なんのようです?」
「まあ、そんなにつっけんどんにしなくてもいいじゃない。少し、話しておかなければいけないことがあるの」
つっけんどんって死語じゃね?と、思ったが、後半部分の声が真剣な感じだったのでそんな事は指摘しない。が、指摘しておくべき事が一つだけある。
「名前、教えて貰えません?」
そう、あろうことかこの女自己紹介していやがらねぇのだ。自己紹介をする事なんて幼稚園で習うぞ。まあ、この世界に幼稚園があるのかは知らないが。
「あ、ごめんごめん。自己紹介がまだだったわね。私の名前はヘレン・ケルート。言っとくけどもともと貴族だった訳じゃ無いわ。名誉貴族なの」
名誉貴族…まあその程度の事は俺でも分かる。何らかの実績を立てて貴族になったのだろう。学園長になれる程の実績。一体何をしたのだろうか?まあ、それはいい。そんな事より気になる事がある。
「年は幾つですか?スリーサイズは?」
「年は23歳。スリーサイズは上から……って、何言わせてんのよ!!!」
ぶん殴られた。痛い。容赦の無いひとだな。まあいい。俺の予想は的中した訳だ。当然、俺も巫山戯てこんな事を聞いたわけじゃない。この人がどれくらい前に最終試験に受かったのかが気になったのだ。まあ、割と最近だったな。
「すいません。それで…話しておかなければいけないことって何ですか?」
俺がそう言うと、少し深刻そうな顔をしたヘレンさんは俺に面白い話をしてくれた。
「それはねーー」
ーーさて、実に興味深い話も聞いたし、宿に帰るか。いや〜行って良かった。やっぱりあの学園に入るのは決定事項だな。変更はしない。
気づけば空はもう暗い。ふと立ち止まって空を見上げた俺は薄い月を見た。儚げなその月は蒼い光を放ち、俺を照らしている。今日の晩御飯は何だろうか?美味いといいな!
ーー俺は鼻歌を歌いながらまた歩き出した。今日は実に月が綺麗だ。




