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女神より奪いし者 〜最強チートの異世界ライフ〜  作者: シンクレール
第1章 異世界に落とされた少年
2/57

2話 純度100%の自己犠牲

2話目です。

 

この世界は余りにも醜すぎる


この世界は余りにも退屈過ぎる


  この世界は余りにも嘘が多すぎる


この世界は余りにも自由を奪いすぎる


  この世界は余りにも理不尽が多すぎる


  この世界は、この世界は余りにも腐り切ってしまったッ!!


  ……俺は、心からそう叫ぶ。


  この世界の人々は何か大事な事を忘れたかの様に同じ毎日を繰り返す。


  この世界の人々は何もかもに妥協し、諦めた人間の事を大人だと呼び、その人達の言うことは正しいと言う。


  この世界の人々は本当の自由を全く知らない。


  この世界で生きていれば、俺は一生『人間』になることは出来ない!!


  ……俺の心は、もう、虚無で一杯だ。

 



 ▲▽▲




  そう、考えるようになったのはいつ頃からだっただろうか? 少なくとも、中3になる前までにはそう考えるようになってしまっていただろう。あの時、あの話を聞かなければ、こうはなっていなかったかもしれ無い。迷惑な話だ。


  別に、これと言って何かに不自由していた訳でもない俺、高2の伊那月 英二は、最近の日課である夕方の散歩をしながら、そんな事を考えていた。今日はあいにくの天気で、あまり散歩日和ではなかったが、別に散歩することが出来ない。と言うほどのものでは無かった。


  部活に入っていない英二は、一人でいることが結構、いや、かなり好きだった。

  別に非社交的というわけでは無い。

  友人もたくさんいるし、女子ともよく喋る。騒ぐのも当然大好きだし、みんなと一緒に居る事が嫌いな訳でもない。


  ただ、自分にはひとりの時間が必要だ。と、自分の中の第六感のような何かが叫ぶのだ。自分はそれに従っているに過ぎない。


  そうする事で、何かが得られる……

  そんな気がする。


  最近、ふとこんな事を考えるようになった。どんな事かと言うと、


  <見ず知らずの誰かのために命を投げ出し、英雄的な死に方をしたい>


  と言うものだ。別に、自殺がしたいとかそういう事を言っている訳では無い。

  でも同んなじだろ?

  と、そう思われるかもしれないが、この2つは確かに違う物なのだ。


  僕が言ったことは、


  『この、狂っちまった世界で、せめて最後くらい何にも囚われずに自分の意思で生きたい。そうすることで、僕は≪人間≫になれるかもしれない。』


 という事だ。


 それは何よりも大事な事である……と、そんな風に思った。それは、絶対に成さなければいけない事なのだ。と、


  ふと目の前を見ると、赤い傘を持った女の子が風に煽られてこけ、車道に倒れていた。ここは、都会でも無いし、ビル風が酷いという事も無いのだが……珍しい事もあるものだ。 まあ、今日は雨足が弱い代わりに、風が強かったからな。


  俺は傘を投げ捨て、少女の元へ急いだ。

 

  これだ。今、俺が待ち望んだ事を成す事が出来る。このチャンスを逃したら俺はもう≪人間≫になることは出来ない。

  そんな、確信めいた物があった。


  車にぶつかる寸前で少女を歩道に押し戻す。

  視界の端に真っ赤な傘が見える。

  少女は恐らく助かったのだろう。

  ケガをしていなければいいが……

  車にぶつかる感触が神経を辿って脳に届いた。

  思ったよりもぶっ飛んだ俺が最後に聞いたのは、自分が地面にぶつかり、潰れる音……


  ではなく、



  ピロリロリーン!!

  スキル異界人を獲得しました!!!


  という、妙に明るく、機械音じみた女の声だった。








  (って、ハァーーーーッッッ!?)



こうして俺の体は、この腐った世界から完全に消え去った。

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