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女神より奪いし者 〜最強チートの異世界ライフ〜  作者: シンクレール
第2章 王都への旅路
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間話3 ラフィスの想い

ラフィスsideの話です

 〜ラフィスside〜



 アラスさんが、アラスさんが私を庇って刺されてしまいましたッ!私は、ただ、アラスさんに一緒にお花を見て笑って欲しかっただけなのに…


 ただ、アラスさんが頭を撫でてくれれば、それだけでよかったのに……『また』私のせいでお友達が死んでしまう…そんなのッ!そんなの耐えられませんッ!!




 〜7年前〜




 私は、物心ついた頃には既に有名でした。

 貴族の方々は私を見るといつも笑いかけて下さいました。その後、お父様に向かってこう言うのです。「この子が噂の『天使』ですか?本当にその通りですね。将来が楽しみです」と、


 この頃の私は、皆さんが褒めてくれるのが嬉しくって嬉しくって、いつもニコニコしていました。ですが、5歳の時、魔法力検査があってから、私に対する皆さんの様子は一変しました。


 私の総魔力量は100万ケルトだったのです。通常、宮殿魔法師の方ですら1万ケルトしかありません。その100倍。私は皆さんから恐れられるようになってしまいました。


 お母様は私を産んで死んでしまったという話なので、お会いした事はありませんでしたが、お父様とお姉様は変わらず私に接して下さいました。それが、どれだけ私の救いになったか、最早計り知れません。


 数年経つと、私に魔法の才能が無い事が分かりました。皆さんの私を見る目は、蔑みを顕にしていました。私は光魔法と闇魔法が一応使えましたが、全く思い通りにいかず、暴走してばかりでした。


 アリスさんとあったのはそのくらいの時だったでしょうか?護衛のエリスと、使用人のマリーとあって直ぐに、あの人と出会いました。


  その頃には私の容姿は完全に他と隔絶していて、鏡を見るたびに悲しさを覚えていました。誰も、私とは仲良くなってくれないのです。


 エリスとマリーは直ぐに私とお友達になってくれました。でも、2人以外の人は私が話しかけようとすると、顔を真っ赤にして逃げてしまいます。誰とも、喋る事すらかないませんでした。


 だからこそアリスさんと出会った時の喜びは言葉に言い表せません。アリスさんは、私と同じくらい容姿が優れていたのです。アリスさんも私と会った瞬間に顔を喜びでいっぱいにしていました。


 アリスさんと仲良くなるのに時間は全く必要ありませんでした。アリスさんの総魔力量は200万を超えていて、魔法の才能も他の方々より優れていたそうです。此処までの天才さんは、歴史上でも、とても珍しいそうです。


 それからは毎日4人一緒に遊びました。

 常に笑みを絶やすことが無くなり、4人は親友と言っても過言では無い間柄になりました。これ程楽しかったのは、産まれて始めてでした。


 ですが、往々にして、幸せな生活は長く続かないものです。マリーが、私を庇って殺されてしまいました。私は、よく誘拐にあいかけていました。何でも、私はとても高く売れるんだそうです。


 マリーを殺した誘拐犯は直ぐに家の警備兵に捕まりました。私たちは大泣きしました。泣きに泣いて、暫くの間、屋敷全体が暗い雰囲気に包まれているように感じる程でした。


 私とエリスは遠方にある別荘に送られる事になりました。誰にも知られてはいけなかったので、アリスさんにお別れを言う事すら許されませんでした。でも、アリスさんは大丈夫でしょう。


 アリスさんは凄いのです。ラファエール様の生まれ変わりだと言われていて、『現人神』と呼ばれる人になったのです。何でも、アリスさんを敵に回すという事は、ラファエール教を敵に回す事と同意だから、誰もアリスさんを襲うことは無いんだそうです。




 でも、アリスさんは唯の人だと私は思っていました。本当に『現人神』っていう。すごい人なんでしょうか?私には分かりません。




 ▲▽▲




 16歳になって、ついに魔法学園に行くことになりました。お父様やお姉様に会うのは7年ぶりです。一度でも会いに行くと、場所が割れるからといって、会う事が出来ませんでした。

 2人共、私の事を覚えてくれているでしょうか?


 護衛の騎士さんが何人か送られて来ました。王都まで護衛してくれるそうです。

 助かります。私とエリスは馬車に乗って旅を始める準備を終えました。


 移動が始まって4日程すると、いきなり馬車が止まりました。何でも、盗賊が出たそうなのです。エリスは、誰かの差し金なのかもしれないと言っていました。

 暫くすると、騎士さんたちが全滅した事が分かりました。


 戦闘の音が止んだのです。盗賊の下卑た笑い声が聞こえてきました。エリスが絶対にお嬢様だけは守ると言ってくれましたが、護衛の騎士さんが全員倒されたのです。確かにエリスは強いですが、勝つことは出来ないでしょう。


 怖い……体の震えが止まりません。盗賊に捕まった女性がどうなるのか、私も、それくらいの事は知っています。そんな事をされるくらいならば舌を噛み切った方がマシだと判断し、実行しようとした私は、盗賊が何かを叫んでいるのを聞きました。


 どうやら、一人の男性が盗賊の前に現れたらしいのです。僅かながら希望を抱いた私たちですが、所詮は一人だ。どうせ何にも出来ないだろう。と、思いました。


 ですが、予想に反して聞こえて来たのは、盗賊の叫び声でした。私たちは思わず顔を見合わせました。一瞬だったのです。盗賊の怒号が聞こえて直ぐに悲鳴が上がりました。


 恐らく盗賊の頭領なのでしょう。図太い声の男が、家族がいるからという、とってつけたような理由で命乞いをしていました。よく勘違いされますが、私は純粋無垢な訳ではありません。直ぐにそれが嘘だと気づきました。


 暫くすると最後の盗賊の声も聞こえなくなり、何かが落ちる音が聞こえました。現れた男性さん。怖いです。寧ろ盗賊より怖いです。問答無用でした。私たちも殺されるんじゃないでしょうか?この馬車はかなり高いですし、それが狙いなのかもしれません。


 男性さんが馬車の扉を開けました。どんな人なのでしょーーービックリです。エリスが斬り掛かってしまいました。って、え?いや、流石にやり過ぎでしょうエリス。

 男性さんが心配です。何で!?という叫び声をあげていました。ごもっともです。


 エリスは盗賊の話を信じていた為、斬りかかったそうです。哀れです。男性さん。エリスは余りに純粋過ぎます。今回の事でこれを放置しておくのが危険だということが証明されました。どうにかしなければなりません。


 男性は無事でした。あのローブが剣を防いだのでしょう。見るからに高そうで、尋常では無い魔力が内包されている事が、一目で分かりました。貴族さんでしょうか?少しだけ話して見て、危険な人じゃないことが分かりました。男性さんが、何故か隠していた顔を露わにしました。


 心臓が止まりました。比喩じゃありません。もう一度言います。心臓が止まりました。本当に。こんな人は見たことがありません。恐らく容姿は私と同程度整っているだけでしょうが、ここまで『美しい』という表現が似合う男の人は始めて見ました。


 男性さんの名前はアラス・アザトースというそうです。やっぱり貴族でした。それにしてもアザトース……聞いたことがありません。これでも、人界と魔界の貴族の家名は網羅したつもりでしたが、まだまだ修行が足りません。


 私は急いでアラスさんに護衛を頼みました。お父様に紹介する。と言えば大抵の人は喜ぶのですが、アラスさんは、そんなの別にいい。と仰いました。あり得ません。これでも公爵家なのですが……


 護衛をして下さらないのではないか無いかと思って心配した私でしたが、アラスさんは何故か護衛を引き受けてくれました。不思議です。


 アラスさんは旅の途中から仮面をつけ出しました。理由はよく分かります。どこから出したんですか?と聞いてみると、作った。と仰いました。あり得ません。


物質創造系のスキルは≪現人神≫しか使えない筈です。アラスさんも、ひょっとしたら≪現人神≫なのかもしれません。ですが、≪現人神≫は今現在、アリスさんだけの筈だったと思うんですが……


 アラスさんはとても不思議で、謎が多い人でした。ステータスカードを知らない人がまだ居るとは、私は久しぶりに心の底から驚きました。ここで大問題が発生します。お金を無くしてしまったのです。何処に落としたのでしょうか……


 アラスさんに相談して見た所、冗談だと認識された挙句、可愛いなぁと言われ、頭を撫でられてしまいました。言われ慣れてる筈なのに、何故かアラスさんに言われると、頬が熱くなってしまいます。


 結局、エリスとアラスさんで相談して、冒険者になることが決まりました。

 早速ギルドに行くと、凄まじい視線に迎えられました。怖いです。でも、さりげなくアラスさんが私たちを視線から庇って下さいました。嬉しいです。何故か、また頬が熱くなってしまいました。


 その後は心臓が飛び出るような事の連続でした。

 アラスさんがアイテムボックスを持っていたり、私たちを見つける前にフェンリルを倒していたり、いきなりAランク冒険者になったり。4億エルを手に入れたり、凄いです。


 でも、最後の最後でエミィさんに胸を触らせろなんていう巫山戯たお願いをしていました。自分でも信じられない程怒りの感情が爆発して、思わずアラスさんをグーで殴ってしまいました。怒られるかと思いましたが、そんな事はありませんでした。


 アラスさんはいつも怒らず、飄々としています。私の癖で、親しくなった人には暴言を吐いてしまう事があるのですが、アラスさんは大して怒りもせず、何故か嬉しそうな表情で私を見てきます。気持ち悪いです。


 アラスさんは宿に泊まる際、3人部屋で寝ないか?と持ちかけて来ました。

 エリスが激怒して追い払ってしまいましたが、私は別に……あっ、何という事を考えているのでしょう。最近の私は少しおかしいです。


 エリスに相談してみると、あの男……と怒りを露わにしていましたが、この感情が恋である可能性が高いという事を教えてくれました。


 何かが、胸にスッと収まりました。『恋』確かに、そうなのかもしれません。これまで、私と対等に話してくれる同年代の男の方はいませんでした。危機的状況で颯爽と現れたアラスさんに、恋心を抱いてしまったのかもしれません。


 次の日の朝、私は衝撃を受けました。アラスさんが更に4体のフェンリルを倒しただとか、≪白銀姫≫リリーさんのお弟子さんだとか。他にもいろんな事を宿屋のおじさんに聞きました。


 鍵が空いていたアラスさんの部屋に押し入り、(不用心です。信じられません)色んな事を聞いている内に涙を堪える事が出来なくなり、泣き出してしまいました。


アラスさんは、私たちがいたら邪魔だと仰いました。確かに、私には力がありません。どうすることも出来ませんでした。


 泣き出した私に対して、アラスさんは自分には友達が一人しかいない。リリーも友達になってくれ。と言ってくれました。友達が一人…私には、友達が二人います。優越感に浸ることが出来ました。

 嫌な女です。私は。


 その後、お互いに≪延命の腕輪≫をプレゼントしあった私たちは、奴隷売場に使用人を買いに行きました。奴隷……あまり好きな言葉ではありません。でも、そうは言ってられません。ちゃんとした使用人を雇うのは下策です。


 奴隷売場に来た私たちは、注目の的になってしまいました。怖いです。今までで1番怖いです。気持ちの悪い豚どもが私とエリスを穴が空くほどみています。とっとと死んで欲しいです。


 その後、アラスさんは今まで着ていたローブを私たちにかけてくれました。アラスさんの匂いがします。四方八方がアラスさんの香りで満たされています。

 思わず顔がにやけてしまいました。


 その後エルフィさんを2億5千万という大金で買い取ったアラスさんは(アラスさんのお金の使い方は異常です。今日だけで4億エルも使ってしまいました)

 4人部屋を取ると言い始めました。


 真面目な雰囲気を出していたので、本当に深刻な問題なのだろうと思い、許可した所、いきなり襲い掛かって来ました。

 油断も隙もありません。


 ですが、本当にアラスさんが私たちをどうこうしたいなら、力づくでそうする事ができるのでしょう。私たちには、女としての魅力が無いのでしょうか?屈辱です。いつか、そんな余裕を消してあげます。


 その後、2日間に渡り、ショッピングを楽しんだ私達は、冒険者ギルドに来ていました。よくよく考えれば、私たちは一度も依頼を受けていません。アラスさんもです。Sランクになっているのに、依頼を一度も受けた事が無いとは、アラスさんは滅茶苦茶です。


 結局、アラスさんの最初に受ける依頼はゴブリン討伐に決まりました。ドラゴンを倒した事があるとか、魔界大帝エルザベートにコネがあるとか、フェンリルもゴブリンも変わらないとか、巫山戯た事をいつも通り言っていました。平常運転です。


 それにしてもゴブリン討伐とは…心配です。ゴブリン討伐だなんて女性人気最低ランクのクソ依頼です。もしもそういう事をするつもりなら、先にアラスさんに襲いかかって……


  ああ、こんな事を考えてはいけませんね。恐らくアラスさんもそういう意図は無いのでしょう。ゴブリン討伐が夢だったというアラスさんの瞳に、嘘の色は浮かんでいませんでした。


確かに、ゴブリン討伐が夢だという冒険者の方は珍しくありません。唯、アラスさんがそんな事を言ったのには驚きを隠せませんでした。アラスさんは、何処と無く浮世離れした雰囲気を纏っています。アラスさんも普通の男の子なのだと実感しました。驚愕です。


 あっ、彼処にイオナの花が咲いています。珍しいです。滅多にお目にかかることはありません。早速、アラスさんに教えてあげましょう。アラスさんは何も常識を知りませんからね。




 〜冒頭に戻る〜




 驚いた事に、アラスさんは剣がお腹を貫通している状態で『敵』を蹴り飛ばしました。アラスさんは本当に人間なのでしょうか?『敵』の頭には捻れた角が生えています。尻尾は見当たりません。間違いなく、『魔貴族』でしょう。


『魔貴族』それは、魔王程では無いにしろ、人界に住んでいる者にとっては恐怖の象徴です。中には、勇者が10人がかりじゃ無いと倒せない『魔貴族』もいるそうです。


 人魔大戦において、人界が魔界に対抗出来たのは、単に、節操なく勇者を作りまくったのが原因です。多い時には5000人を超えたと聞いています。あり得ません。

 これだけの勇者を呼んで尚、魔界に勝つことは出来なかったのです。


『魔貴族』が何故こんな所にいるのか、確かに気にはなりましたが、私の怒りは怒髪天を突く勢いでした。アラスさんに危害を加えるだなんて、生かしておけません。


 気づいた時には魔法を構築していました。何の魔法なのかは自分自身よく分かりません。何故かアラスさんが私の魔法にビックリした顔をして『魔貴族』の倒れている方向に走り出しました。


 何をするつもりでしょう?唯、余り好ましくない事だということは何と無く理解しました。何故ですかッ!?もう、止められないのにッ!!


 不味いです。この魔法は不味い。もしアラスさんに当たったらアラスさんが死んでしまうッ!そんなッ!!あんまりですアラスさん。涙が、止めど無く零れました。眠気が、襲って来ます。耐えられません。







 お願いですアラスさん。どうか、よけ切って下さい。私はお友達を殺したくなんてーー



次回はアラスの『家族』の話になる予定です。

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