表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神より奪いし者 〜最強チートの異世界ライフ〜  作者: シンクレール
第2章 王都への旅路
15/57

12話 魔貴族との遭遇

12話です。ついに物語は動き出す!!

 エルフィを買って…手に入れてから早2日。俺たちは冒険者ギルドに来ていた。




 ▲▽▲




 いまだに、『買う』という表現には慣れない。手に入れたとばかり言っていたら3人に怪訝な顔をされた。やっぱり、文化が違うのだろう。


エルフィに奴隷から解放してあげると言ったら、泣きそうな目で俺を見て、私はご主人様にとって必要無いんですか…?と、不安そうに言われた。慌てて弁解したが、この様子だと奴隷から解放するのには時間がかかりそうだ。


 あの後、いきなり泣き出した俺を見て、流石に驚いたのか。3人は慌てて慰めてくれた。3人からはそれぞれ違った女の子の甘い香りがして……色々あって暴走し、気絶させられた。ついに俺の理性の壁はゲシュタルト崩壊したらしい。ーーゴミみたいな意思だったな。俺の好きな人にどうこうって。


 その時の記憶は全くないが。最近は危ないヤツを見るような視線で俺を見てくる。エルフィはいつでもどうぞ、と言わんばかりに擦り寄ってくるが、他の2人はいつだって俺の半径2m以内には入ってこなくなった。警戒されてる。当然だが…心が折れそうだ。いや、俺が悪いんだけど。


 だってさ、俺を介抱しようとする3人の胸だの何だのが当たってさ。男ならさ。アレは我慢出来ないよ。間違いない。だってさ、柔らかいんだぜ?ヤバイんだぜ?最高なんだぜ?枯れてない男なら一瞬で狼に変貌するね。本能に従う獣と化すね。


 まあ、その後、宿に引きずられてきた俺は、


(エリスが嬉々として俺を運んでいた。俺に恨みでもあるんだろうか…?)


 宿主に4人部屋を借りられるよう頼んだ。エリスは猛烈に反論した。苛烈だと言い換えてもいい。だが、エルフィは大喜びだった。そんなにしたいのかよ…?いや、嬉しいけど。 ラフィスは顔を真っ赤にして1人ポ〜っとしている。それを見たエリスが、更に怒り狂いだした。なんだったのだろうか?あの反応は。


 だが、当然俺も譲れなかった。必死で説得した。プタ・テプールが何を仕掛けてくるのか分からないのだと。3人だけで泊まらせるのは危険なんだよ!と。


 最終的にエリスは渋々と言った様子で許可してくれた。僕は大興奮で3人に飛び掛かったが、ボコボコにされたのち、地面に放置された。


エリスが思ったより強ぇ。俺に切りかかって来た時にも思ったが、こいつの剣の筋は中々だ。もっと上達出来る余地がある。


 まあ、当然冗談で襲いかかった訳だが。


(これは本当だ。確かに、興奮してはいたが、飛びかかる事以上の事はしなかっただろう。場の雰囲気を和ませようとしたのだ。エリスには、お前と一緒にいる方が危険だ。と言われてしまったが)


 だいたい、結界魔法第1階級≪結界結(ボックス)

 を使っているのだから、この部屋に敵が入れる道理もないのだ。ん?お前が部屋に入る必要があったのか?だって?

  あるに決まってるだろ!!あの3人の甘い香りが充満した部屋……最高だ。


 その後はエルフィにメイド服を着せたら2人からゴミを見るような視線で見られたり。

 冒険者として全く活動していなかった為、武器を買ったり。


 エルフィにも≪延命の腕輪≫を買い与えようとしたら本人に慌てて止められたり。なんでも、奴隷相手に5千万エルのプレゼントをするような人はいないらしい。知るか。俺は結局押し切った。




 ▲▽▲




 ーーそうして今、俺たちは冒険者ギルドで始めての依頼を受けようとしていた。


  プタ・テプールと俺が嫌悪な状態に陥ったということは既に町中に広まっていた。ーー相変わらず、情報の更新速度が異常な町だ。エミィに心配だと言われたが、正直、あの豚に大した力があるとは思えない。大丈夫だよ、何の問題もない。と答えた。


 既に俺は仮面をつけてはいない。あの後、寧ろ仮面を着けている状態の方が注目を浴びるようになってしまった。そのため、開き直った俺は、ずっと素顔でいることにした。


 効果は絶大!!誰も俺をずっと見ようとしない!どうでしょう皆さん!!誰もが僕をチラ見した後顔を背けます!!


 エリスには誰にとっても迷惑だから今すぐやめろと言われてしまいましたが、当然僕はやめません!!


 こんなに視線を気にしなくていいのは何日ぶりだろうか!これで僕は正体を隠す事に多大な労力をかける必要が無くなった!!


 誰にも見られないというのは実に気分がいい。………気分が、いいんだ……ハハハ…




 とは言っても、流石に2日も経てば慣れてきたのだろう。少しずつではあるが、

 視線がまた増え出して来た。全く、一体どうしろと言うんだ。いっそ、顔中に包帯でも巻いてみるか?と、そんな事を考えていると、


「アラスさん、何の依頼を受けるんでしょうか?やっぱり、ドラゴン討伐とかでしょうか?アレは、最早誰にも出来ないからといってランク外にされていましたが、先日、≪白銀姫≫リリーさんが討伐してきたということで、新しくランクSSのモンスターとして登録されました。どうでしょう?アラスさんなら倒せるんじゃ無いですか?」


 とかエミィが言って来た。そうか…リリーはドラゴンを倒したのか。それにしても新しくSSランクとして登録とは、リリーもなかなかに派手な事をする。


 だが……


「ドラゴン討伐はもう懲り懲りだ。別のがいい。と言うか、この3人と一緒に受けるんだぞ。無理に決まってるだろ」


 そういうとエミィはやっとの事でエルフィに気づき、お互いに挨拶を交わしていた。うん。仄々とした雰囲気が実に素晴らしい。エルフィの冒険者登録もしてもらった。


「……って、もう懲り懲り!?既にドラゴンを倒していると言うんですか!?」


「ああ、一体だけな。流石に死にかけたよ。もう二度としたくない」


 本当に二度としたくない。どういうカラクリか、≪紫水晶の魔眼≫が全く効かなかったのだ。師匠は≪王格≫がどうだとか言っていたが、ぶっちゃけ聞いていなかった。アレを倒した時の記憶は全く無い。気づいた時には既に肉塊になった死体が目の前にあった。


「ご主人様はとてもすごい方なんです!こんな事でいちいち驚いてたら疲れて死んじゃいますよ?」

「成る程…確かにその通りですね。もう、私も驚かないようにします」


 エルフィは順応性が誰よりも高かった。初日は驚いてばかりだったが、次の日にはあまり驚かなくなっていた。ーー意外だ。


 他の2人も流石にドラゴンを倒した事があるって程度の事では驚かなくなってーー後ろを見た俺が見たのは、冒険者の皆さん方と呆然としている2人だった。


 まだかよ!時間がかかり過ぎだろうが!

 順応しろよ!新入りのエルフィが1番しれっとしているのはおかしいだろう!?


 いや、性格の問題でもあるのかもしれないが……まあ、いいか。


 俺は、冒険者になったら絶対1番最初に経験するって決めてる依頼があるんだ!!ついに、ついにこの時が来た…!


「エミィさん。実は依頼は既に決めてあるんです」

「そうなんですか?では、アラスさんのSランク冒険者としての最初の1ページを飾る依頼を教えてください!」

「ええ、僕が最初に受ける依頼!それは、ゴブリン討伐です!!!」


 ーー空気が、凍った。


 は?何言ってんのこいつ?という意思がヒシヒシと伝わってくる。あれ?なんかヤバイ事言った?


「アラスさん。ついに頭がおかしくなっちゃったんですね?前々からそんな傾向があったので、やっと完全にイかれましたか。という感じですが」


  うん。ラフィスは毒舌でも可愛いね。でもさ、そこまで言う必要あった?

 酷くね?人の夢をそんなに真っ向から否定しなくてもいいじゃん。僕の好きにやらせてくれよ。他の奴らもさ。その通りだって顔を取り敢えずやめろよ。


「お前…ゴブリン討伐って、何かいやらしい事でも考えてるんじゃ無いだろうな?」

「そりゃあ勿論考えてるに……決まって無いじゃないか」

「ご主人様。今、決まってるって言いかけましたよね?でもご主人様、私はご主人様にシて貰いたいんですっ!そういうハードプレイはまだ早いですよ!!」


おい、やめろよエルフィ。俺、お前といたら過労死しちゃうよ


 男の冒険者からは俺に対しての羨望の視線を。女の冒険者たちからはラフィスたちに対しての羨望の視線が送られた。俺はともかく、何故こいつらに羨望の視線を向けるんだ…?訳が分からん。


「い、いや〜、そんなことは言ってないと思うよ?聞き間違いじゃないか?それにエルフィ、余り俺を困らせないでくれ。過労死するのが俺になる。大体、ゴブリン討伐は師匠に聞いてから今までずっとやりたい事No.1だったんだ。止めないでくれ」

「ですが、Sランク冒険者にとってゴブリン討伐なんて赤子の手を捻るような物ですよ?

 せめて、Aランクの依頼を受けた方がいいんじゃないですか?」


 うーん、中々にしつこいな。そんなにゴブリン討伐は駄目なのだろうか?確かに疚しい気持ちはそこそこあるが、それでも本当に憧れてたんだがなぁ。うん。やっぱりゴブリン討伐がしたいな。変更は無しだ。


「俺にとってはフェンリルもゴブリンもたいして変わらない。どっちも雑魚だからな。だいたい、この3人の実力も見ておきたいんだ。やっぱり、ゴブリン討伐を受けるよ」

「アラスさん。アラスさんは常識がないくせに、まるで魔界皇帝エルザベートのような事を言いますね?」


 (異世界アラクは、魔王や勇者が実在する世界でもある。現在、魔王の数は7であり、勇者の数は不明とされている。では何故勇者の数が不明なのか?それは、勇者を召喚した国はそのことを秘匿する傾向にあるためである。これは現在の魔王の頂点、魔界皇帝エルザベートが勇者を極端に嫌い、召喚した国を単独で潰しまくった為である)


 いきなり会話に入り込んで来るなよラフィス。それにしても、魔界皇帝エルザベートって………ああ、師匠の旧友で魔王の頂点って奴か。性別も教えてくれなかったし、魔界は遠いから行く機会もないだろうし、あんまり、詳しく話を聞いて無いんだよな…


 それにしても、魔界皇帝エルザベートのような事を言いますねって、一体、何の事だろうか?


「どんな事を言っていたんだ?そいつ」

「そいつって……そんな事言ってるの聞かれたら殺されちゃいますよ?」

「ラフィス、俺には魔界皇帝エルザベートに対してちょとしたコネのようなものがあるんだ。そんな心配をする必要は無いよ」


(本当に大丈夫なのかは知らないが)


 魔界皇帝にコネって……と、誰もが困惑しているが、そんな事はどうでもいい。前の方針は完全に捨てる。ここまで目立ったらもう目立ちたく無いとか言っても無意味だろう。


 それより、魔界皇帝エルザベートが言った、俺の言った事と似ている事ってのがかなり気になるな……何故かは知らんが。


「ラフィス。エルザベートは一体なんて言ったんだ?」

「呼び捨て…ですか。まあ、私はアラスさんがコネがあると言うならそれを信じますし、そこは置いておきましょう。魔界皇帝エルザベートが言ったこの言葉はとても有名ですよ。何でも、『ドラゴンもゴブリンも全く変わらない。我の前ではどちらもゴミだ。』と言ったそうです」


 ………ドラゴンがゴミ、かぁ。俺は今、どれだけ頑張っても10、いや、15くらいが一気に倒せる限界だ。それ以上現れれば、負けることは無くても勝つ可能性は完全に無くなる。





 格が違うな。戦えば、絶対に勝てないだろう。もっと、強くならなくちゃな…




 ▲▽▲




 あの後、結局ゴブリン討伐の依頼を受けた俺たちは、現在、森の中を歩いていた。

 最近はすっかり恒例行事になった質問責めを終え、やっとの事でゴブリンの集落の近くに来た俺たちだったが、俺は、≪|万能の指輪ワンノン・ジファン)≫の索敵能力に引っかかった者がいることに気付いた。距離は、40mという所だろうか。


(ちなみに、この世界における1mは、1ユル、1cmは1センチユル、1mmは1ミリユルと表現されている。単位が違うだけで、長さは完全に同じだ。何故か、日本と共通点が多い世界だ)


「おい。結構遠くだが、何かがいる。俺の近くから離れーー」


 って、ラフィスがあんな所にいるッ!?


「アラスさん!見てくださいよこの花!!これはとっても珍しい花でーー」


『敵』が動き出した……って、速すぎじゃね!?こんな速度で生物が動けるのか!?

 俺は、≪完成された吸血鬼(スクレ・ヴァンピール)≫の<思考速度上昇(大)>を咄嗟に発動する。


 ここからじゃ間に合わない!!助けるにはーーうん。俺が盾になるしかないな。時間が無い。急ごう。俺は無詠唱で≪瞬間移動(テレポート)≫を発動し、ラフィスの目の前に転移した。


 ーーギリギリだった。『敵』が剣を使って俺を貫こうとする。だが、俺は≪異常な護り(レッツェル・シルト)≫の自動防壁を発動させている。当然、攻撃は届かなーー


「…すまない……」


 バキィンッ!グサッッ!!


 という音と共に、『敵』の剣は俺の腹を突き破った。


「痛ッ!な、何でッ…?」


 俺は、咄嗟に≪完成された吸血鬼≫を発動し、『敵』を蹴り飛ばした。傷は一瞬で癒えた。


 瞳の色が変わった俺を見て、『敵』は驚愕していた。少々驚きすぎじゃないだろうか?いや、こいつ……角が生えてやがる。魔族か?龍人族か?どっちにしろ、強敵だな。


 それにしても…


 あり得ない。何故今あの剣は自動防壁を貫いたんだ?しかも、俺の≪神魔の衣(ディオブロ・クライナ)≫まで貫通してやがるッ!!こんな事がーー



 ……コロセ…チヲ…ワ……ハ…ヲホッ…ル………



 何だ!?この声はッ!?……い、いや、一度だけ聞いたことがあるぞッ!!そうだ、リリーを助ける為にドラゴンと闘った時に聞いたんだ!!頭が…頭が割れるように痛む……遠くで、誰かが何かを叫んでいる……



 ………ユル…イノ……ヲ……チニ…ヲヨ…セ…ソウ……チカ…ヲヤ……ウ………



 だ、駄目だッ!これに呑まれたら理性を失ってしまう!!消えろッ!消えろクソッタレめッ!!お前なんかに頼らなくても俺はこいつ程度に負けはしないッ!!



 声が…消えた。



 その瞬間、とんでもない寒気が背中を貫いた。これは……ラフィスか?あいつがこんな無茶苦茶な魔力を…?これはヤバイ!こんなイかれた密度の魔法、リリーでも作れないぞッ!!


 俺は咄嗟に『敵』を助けるために≪制御の腕輪≫を操作し、レベル3に設定した。


(クソッ!最初はレベル2を使って、ふっ、俺はまだ、全然本気を出していない……)


 とか言って見たかったのにッ…!!


 何故『敵』を助けようとしたのかは自分でも分からない。だが、確かに刺される寸前、俺は、すまないという声を聞いたのだ。間違いない。どういう事情で襲って来たのか、正直興味がある。


 それに、『敵』からは、情報を聞き出さなければならない。あんな馬鹿みたいに魔力を込めた魔法を喰らったら、それこそ死体も残らないだろう。


 俺は凄まじい速さで『敵』の元に走った。『風のような』と言い換えてもいい。『敵』はラフィスの作り出した魔法に呆然としている。


 腰を掴み<自動防壁>を使って上空に逃げる。一瞬だけ見たラフィスの魔法は、拍子抜けする程に小さかった。確かに速度はあるが、俺が本能的に恐怖を感じる程のものには見えない。


 ……いや、もしかしてアレは、光、闇魔法の混合魔法かッ!?あ、あり得ない!相反する属性であるあの2つの魔法を合成させるなんてっ!!


 何なんだよ!いきなり変なのに襲われ、変な声が聞こえて、挙句の果てには光と闇魔法の混合魔法だと!?ラファエールがなんかしてるんじゃ無いのか!?


 クソッ!もう少しであの魔法が着弾するッ!

 十分高く跳んだと思うが、大丈夫かッ!?



 魔法が着弾した瞬間、音が消えた。



 あたりは眩いまでの光に包まれ、あの小さな球体が一瞬にして100倍程の大きさに膨れあがった。


 ヤバイ、避けきれない!冗談だろ!?

 なんだこの威力、ラフィスってとんでもない奴だったんだな!!事前に教えといてくれよ!!!


 なんとか冷静になって≪瞬間移動(テレポート)≫を発動して避けた俺の背中は、冷や汗でベトベトだった。仲間の攻撃が1番恐ろしかったぞ……まあ、これだけの恐怖体験の後だ。『敵』も既に戦意を失っていだろう。


「おい、まだやるのか?はっきり言って、お前じゃ俺を倒すのは無理だ」

「あ、ああ…もうそんな事は理解している。ーー頼みがあるんだ。聞いてくれないか?」


 頼み……そんなのを聞く義理はないが、まあ、別にいいだろう。


「なんだ?言ってみろ」


「家族を、人質に取られている。助けるのに手を、貸して欲しい」






『家族』それは、俺にとって1番聞きたく無かった言葉だった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ