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女神より奪いし者 〜最強チートの異世界ライフ〜  作者: シンクレール
第2章 王都への旅路
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8話 冒険者ギルド

ついにアラスが冒険者になります!

8話目です。

「ふぅ〜、やっと町に着いたな、ここが師匠が言ってた町、アルトか」


 そう、2人と出会ってから1日半。俺たちはついにアルトという町に到着していた。とは言っても、まだ門と壁しか見えていないが。


「そうですね。思ってたよりもだいぶ早く着きました」


 とラフィスが俺に返答した所、エリスも確かに早かったな。と合意した。まあ、当然だろう。モンスターが近づいてきた瞬間、

 俺が闘気をぶつけて脅していたからな。


 闘気とは体を鍛えていれば自然と身につくもので、生命力を代償に、『身体強化の魔法』のような物が自然と使えるようになる。しかも、自分の生命力を使っているのでかなり万能だ。


そう、生命力を使うのだ。同量の魔力と闘気がぶつかった場合、必ず闘気が勝つ。それは最早常識だ。その密度のため、固めて飛ばす事で斬撃を飛ばす事も出来る。メチャクチャ難しいが。


「まあ、モンスターに合わなかったしな。運が良かったんだよ。これも俺のおかげかもね」


 と、ちょっとだけ俺が真実をひけらかすと、


「ステータスカードを見せて下さい」


 という第三者の声が帰って来た。どうやら門の前に着いたらしい。2人は直ぐに真っ白なカードのような物を門番さんに見せた。

 門番さんは、一瞬だけラフィスに見惚れた表情を見せて…って………は?


 いや、ステータスカード?何それ。


「あの〜、すいません。ステータスカードって何ですか?俺、聞いたこともないんですけど」


 と、俺が質問して見たところ、3人が一斉に目を見開いて俺の方を見た。顔には、驚愕ッ!という仮面が貼り付けられている。


 ちなみに俺は今、目と口の部分だけが空いた仮面を着けている。これは≪完成された吸血鬼(スクレ・ヴァンピール)≫の、<アイテム創造>というスキルによって作り出された物だ。ついでに能力を抑える為のブレスレットも作っておいた。この前の戦いで分かった事だが、俺はちょっと強くなりすぎたらしい。


 クゥ〜ッ!この台詞 、 言ってみたかったんだよな…ッ!!


 ちなみにこのアイテムの能力は


 レベル1:本来の能力の3分の1


 レベル2:本来の能力の3分の2


 レベル3:本来の能力の3分の3(本来の能力 そのもの)


 であり、現在はレベル1だ。はっきり言ってこれでも十分戦える。余力があるっていいよね!


 そうそう、この仮面にも能力を抑える能力がある。オマケ程度だが。これを付け出すようになったら、物質創造系のスキルを持っているんですか!?と、ラフィスにメチャクチャ驚かれた。


 そんなに珍しいのか…?これ、ただのユニークスキルから派生したスキルにすぎないんだけど……?と疑問に思った事を覚えている。仮面をつけ出した理由は簡単だ。いちいち最初の2人の様な反応をされたら面倒臭いのだ。


 はっきり言ってやってられん。


「ほ、本当ですか!?いえ、常識知らずなのは知ってましたけど、ここまでの物だとは知りませんでした……ステータスカード何て、

 そんなの子供でも知ってますよ!!」


 珍しいな...ラティスが毒を吐くなんて、他の2人も首を縦にブンブン振っている。……なんか面白い光景だな、これ。


「ああ、全く知らんぞ。まあ、そんな事はどうだっていいじゃないか。門番さん、ステータスカードってここで作れないのか?」

「あ、はい。新規登録なら無料になりますが、嘘をついても直ぐに分かりますよ?正直に無くしたと言って10000エルで買った方がいいんじゃないですか?」


基本的に人界と魔界の通貨は同じで、エル貨が使われている。現存する硬貨は銅貨(百円) 中銀貨(五千円) 銀貨(一万円)小金貨(十万円) 中金貨(五十万円) 金貨(百万円) 白金貨(一億円) である。


 ほう、1万エルか、中々に高いな、ボッタクリじゃないのか?


 それにしても…信用されてないな……そこまであり得ない事なのだろうか?


 まあ、そんな事どうだっていいのだが。


「構わない。とっとと作ってくれ」


「おい、本当にいいのか?嘘だった場合、罰金になるんだぞ?やめた方がいい。な?」


 何だよ?エリスのいかにも腕白坊主を諭してますよ〜ってな雰囲気は?流石にイラついてきたぞ。


「おい!門番さん、早くしてくれ!こいつに一泡ふかしてやる!いいか?俺は本当にステータスカードなんて知らないんだよ!!」

「アラスさん!落ち着いて下さい。大勢の人に見られています。」


 ラティスの言う通りだった。今の俺は大勢の人に見られている。たかだか数分でそんなに集まる訳ないだろ!と思ったが、本当に集まっていたのだ。暇なのかなぁ?ここの人達。


 全員が俺の事をまた出たよ……と言わんばかりの視線で見ている。


 ムゥ〜!これは……いや、冷静になって考えてみると、ここまでの反応から鑑みるに本当に知っていて当然の物なのだろう。


 恐らく俺がここで、魔法なんて知らない!


 と言っても似たような反応になるのだろう。


「ハァ、ハァ…じゅ、準備が出来ましたよ。このカードに血を垂らして下さい。本当に無登録だった場合、白く発光するはずです」


 本当に急いでくれたのだろう。……いい人だなぁ。と、そんな感想を抱いた俺は

 早速カードと一緒に手渡された針で人差し指を刺し、カードに血を落とした。


 瞬間。カードが鋭い発光を示した。よし!次に≪変幻自在≫のスキル隠蔽で名前、年齢、性別以外の部分を変更する。……以前の俺だったら確実に忘れてたな。俺ってば成長してる!!


 それにしても……このカード、どういった仕組みなんだろうか?血を垂らすだけでステータスが分かるとか……


 なんか、危険じゃね?


 ふと周りを見渡すと、周りの全ての人が呆然としていた。


 フッ!見たか愚か者どもめ!!俺はなぁ!ずっと森の中で生活してたからこんなハイテクなもんしらねぇんだよ!見たか!!俺の無知さ加減を!!間違いなく世界最高レベルだぜ!!



 ーー言ってて悲しくなってきたな...そういえば、リリー元気かなぁ?あいつも苦労してるんだろうなぁ.....あのクソ師匠、結局常識的なこと何にも教えてくれなかったからな。


「ま、まさか本当だったなんて…簡単にバレる嘘をつくただの馬鹿かと思ったのに……」


 おい、お口にチャックしてやろうか?エリス。見返せたのは嬉しいが、何故かあんまり嬉しくないぞ!!!




 ちなみに、思わぬ所でリリーの情報を手に入れる事が出来た。あの後、門番さんに、


「それにしても、ステータスカードを見たことも聞いたことも無いとは…まるで、噂の天才冒険者、リリーさんのようですね?」


 と、冗談目かして言われたので、慌ててその事について聞いておいた。


 なんでも、超絶美少女で天才冒険だという事、出自が全く分からないという事、王侯貴族を嫌っているという事で一躍有名人になっているらしい。なんと、たった3ヶ月でランクS冒険者になったのだとか。元気にやってるんだなぁ。


少し、安心した俺であった。




▲▽▲




 と、そんなこんなで俺達はアルトに入った。アルトという町は、そこそこでかかった。遠目に、領主の物であるのだろう。巨大な屋敷が見える。道は鋪装され、左右には様々なお店や家が並び、所々には屋台も見える。


 それに……獣耳少女達がいっぱいいる!す、すごい…ここが桃源郷か……ッ!!俺はもう死んでもいい…ッ!!


 と、まあ、冗談(?)はそこまでにしよう。


 今まで、少ししかここが異世界だという実感が無かったが、これには圧倒された。

 正にこれこそ異世界だ。


 そういえば、例の魔族もこの町に居るんだろうか?確か魔族は殆ど人族と同じ容姿で、角が生えているって聞いたな。その情報だけじゃ龍人族との区別がつかないが、なんでも尻尾があるかどうかで見分けるらしい。


 それにしても、やっぱり仮面を着けていると目立つのだろう。さっきからとてつもなく多くの視線が俺に集まっている。もしかしたら馬車が豪華だからかもしれないし、美少女2人を侍らしているからかもしれない。


 他にも幾つか考え付くが……


 いや、そんな事は今問題ではない。まずは宿探しだ。俺が2人について来ている理由の一つであるのが宿!公爵家令嬢であるラフィスならとんでもない宿に止まるはずだ!さあて、どんなところかなぁ〜!


「アラスさん、問題が発生しました。聞いていますか?アラスさん!」

「ん?どうしたんだラフィス?そんなに大声を出して…少しはしたないぞっ」


 と頭を軽くチョップする。


「あ、すいませ……って、違いますッ!話を聞いてくださいアラスさん、大問題です!お金を無くしてしまいました!どうしましょう」


 …………ハッ!?おかしい!ラフィスが何処かで頭を打ってしまったようだ!さっきのか?さっきのチョップがいけなかったのか!?


「ハハハハッ!またまた面白い冗談を言って〜!ラフィスはホントに可愛いなぁ!」


 よし、よしとラフィスの頭を撫でてやる。素晴らしい触り心地だ。


「ハァ〜、冗談じゃ無いんだよアラス。本当にお金がないんだ。それとお嬢様を口説くのを今すぐ止めろ!」


 か、可愛いって言われた〜!と顔を真っ赤にしているラフィスは冗談抜きで超可愛いと思うんだが…うん。惚れちゃいそう。


 ………いや、エリスが言ってくるって事は本当なんだろう。真剣に捉える必要がある。それにしても金がないとは…俺のさっきまでの期待を返せよ!!


 あれ?待てよ……?


「いや、お前らさっきステータスカード持ってたじゃん。あれにお金がデータとして入ってんだろ?無くして無いじゃん」


 そう、あの後俺はステータスカードについての説明を受けている。確かステータスカードには財布としての機能があったはずだ。


 (現在硬化はあまり使われていない。理由は簡単、誰もがステータスカードを使い売り買いするためである。このポイントは銅貨1枚→100エルとなり、1エルの価値は1円と変わらない)


「いえ、私達は貴族の中でも硬貨派なんです。ステータスカードにはお金は入っていません」


 頬を薄く染めたままのラフィスが俺の疑問に答えてくれる。いや、ラフィスは絶対可愛いって言われ慣れてるだろ。いちいち顔を真っ赤にするかねぇ?普通。


「硬貨派?何だそれ?」


 俺はとりあえず気になった単語を聞いてみる


「ハァ〜、そんな事も知ら無いのかお前は……まあ、ステータスカードすら知らなかったもんな、お前。いいか?かなり昔の話だが、ステータスカードに入れてたお金が全て無くなるって事件があったんだ。それが原因でお金を著しく失った古貴族は、基本的に硬貨派になっているんだ。ちなみに、その事件が起きたのは100年程前だな」


 成る程……つまりこいつらはステータスカードを利用してのお金を所持しない訳だ。そんでもって持ってた硬貨を無くした。

 ってわけだな。


 それって……


「絶望的じゃねぇか……一体どうすんだよ」

「いや、お前は金を持って…無いよな。うん。………仕方ない、冒険者になるか!」


 ちよっとイラっとしたが、事実だから仕方が無い。そんなことより……待ってましたよ冒険者!!ついに俺も憧れの冒険者になる時がきたのか……!


「分かった。じゃあギルドに行こうか!」

「ええっ!?冒険者ギルドの事を知ってたんですか?あのアラスさんが??」


 ……結構毒吐くなコイツ…いや、そう思われても仕方ないけど。エリスも目を見開いてるし。


「たまたまだよ。師匠が昔言ってたんだ」


 こいつらには俺が師匠と兄弟子と一緒に育ったと伝えてある。まあ、師匠が言ってたってのは大嘘だが。


 あの人は俺と同んなじくらいこの世界に関して無知だった。ーーと思う。あの人の事は3年一緒にいても大して分からなかった。まあ、流石に俺よりは多少の知識があったようだが……


「さあ、早速ギルドに行こうじゃないか、諸君!」


 気分が高揚してきた!こんなにワクワクするのはいつぶりだろうか?


「諸君って……お前、冒険者ギルドの場所知ってるのか?」

「…………。ーーさあ、早速情報を集めるぞ、諸君!情報とは力なりって誰かも言ってたしな!」

「「はぁ〜」」


 高揚していた気分は一瞬で地に落ちた。今聞いた溜息は今まで聞いた溜息の中で、最も気分が重くなる溜息だった気がした。




 ▲▽▲




ーー思いの他簡単に情報が集まり、早速冒険者ギルドにやってきた俺たちだったが、(というか建物が超でかかったから直ぐに分かった)結果として得たのはこの絡みつくような視線、視線、視線!!


 流石にここまで露骨だと酷いなぁ…と、

 後ろの2人を≪神魔の衣(ディオブロ・クライナ)≫で視線から庇いながら、俺はダラダラと歩いていた。

 

ーー冒険者ギルドの内部には飲み屋のような場所と、依頼が貼ってある掲示板、カウンターと、変な台があった。随分とごった返している。100人はいるだろうか?冒険者は人気のある職業なのかもしれない。


 現在、俺はカウンターのような場所を目指して歩いている。そこにも結構可愛い女の子がいて……って、今はそんな事を考えてる場合じゃ無いか。


 まあ、俺たちどっからどう見ても貴族だしなぁ〜、多分、珍しいんだろう。この視線にも納得出来る。単に、2人が可愛いからかも知れないが。いや、それでも貴族のような格好をしているのはデカイだろう。みんな、腐ったぼろ切れのような物を身に纏っている。(流石にその表現は過剰だが。)

 いや、俺は貴族じゃないんだけど。


「すいません。冒険者になりたいんですが、

 ここが冒険者ギルドであってますよね?」






 こうして、俺の冒険者生命は始まった。



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