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プロローグ
吹奏楽部部長で同じバスパート、ユーフォニアムの笛吹将輔が、コンクールが終わってから、部活に来なくなった。
彼は、音楽を愛していた。
吹奏楽部の誰よりも誰よりも音楽が好きで、誰よりも誰よりも真剣に部活をしていた。
彼は、コンクール前にこんなことを言っていた。
「俺さ、世界から音楽が消えてなくなったら、きっと死ぬわ」
そんなことを言っていた彼が、何故。
私は、副部長なりにいろいろ考えてみた。
けれど、何も思いつかなかった。
彼は何故部活に来なくなったのだろうか。