おぉ!
白蓮のもふもふ具合を堪能しつつ歩いております。
フローラルな良い匂いが、白蓮から仄かにしてるんだ。
お花畑で戯れたのかな?想像しただけで、ほんわかしちゃうよ。
あぁ!し・あ・わ・せ!
でも、問題が解決してません。
かわいさで気が緩みそうになるが、歩きながら周囲の警戒を怠らないように気をつける。
気を張っているいるつもりでも、思わぬ連れができたことで時々緩みそうになるが・・・。
だってね、色々と言葉がでちゃうのさ、一人じゃないんだもん。
「食べ物ぉ~。おなかが空いたね。白蓮は何食べるの?」
そう言いながら歩くと、いきなり腕の中でもぞもぞして鳴きだす。
バシバシとその短い羽根で私の腕を叩いている。
「なに?降りたいの?」
そう言いながら、白蓮を降ろすと声をあげながら私の前を歩き出して行く。
トコトコと、なんてかわいい姿なんでしょう。
胸のキュンキュンが止まりません。
思わずホケッと立ち止まって見てたら、私がついてこないのがわかると、戻ってきてからまた歩きだす。
あまりの可愛さでボケていたがハッと気づき正気に戻る・・・状況が許されれるなら正気になんて戻りたくなかったよ、そのまま眺めていたかった。
「なに?そっちに行くの?」
そう言いながらついて行くと、まるでそうだと言わんばかりにひと声鳴き、歩き出した。
いけない、かわいさにヤラレル。周りの警戒をしなくては白蓮まで危険なことになる。
でも、あのかわいさは危険だよね。
しばらく行くと、何やら木に実がなっているのが見える。
毒の黒や紫色ではない。もしかして、口にしても大丈夫?
「白蓮、もしかして食べられるの?案内してくれたの?」
そうだと言わんばかりに胸をはり鳴く。
その姿もまたかわいらしい。
「白蓮~~。なんて賢く、かわいらしいのかしら。すっごい!さすが私の白蓮。」
すごいだろうとばかりに、更に胸をそらす。
あぁ!その姿がまた面白かわいらしいぞ。ラブリーだ白蓮。
「ありがとうね。」
そう白蓮に言うと『どういたしまして』って感じで鳴いて答えてくれた。
木の実は黄色くこぶし大の大きさで、ゴツゴツした形だ。
見ため堅そうな果実に見える。
白蓮は大きな口を開けてモグモグと一生懸命に食べている。
なんとも微笑ましい姿をさらすんだろう。
かわいすぎて私の心臓を止める気なのか?
「おいしい?」
そう白蓮に聞きながら、白蓮を眺めるのをやめ果実をもいでみることにする。
堅いと思っておもいっきり掴んだが、感触は桃みたいだ。
やわらかくて驚くが、そっと掴みなおしてもぐ。
白蓮を見ると皮ごと食べているが・・・桃みたいだから手で皮がむける?
ためしに桃を食べるように手で剥き、一口。
「おいし~い。なにこれ!すっごく、みずみずしくって甘い。味はメロンに似ているかな?」
どんどん口に入れ、夢中で食べていく。
・・・横で白蓮が優しそうに見つめていたことなど気づかずに。
おなかイッパイ食べて、少しもいだ果実をハンカチに包み持つ。
一人と一匹では食糧として到底足りる量ではないが、水分を多く含んだ果実のため水代わりになると思ったのだ。
熱中症予防のための水分補給用として持っていくことに決めた。
「さて、暗くなる前に今日の寝床を探さないとね。」
そう言って歩き出すと白蓮もトコトコ横を歩く。
「白蓮、どこか良いとこ知らない?」
試しに聞いてみると、白蓮は立ち止まり首を傾げ考えるしぐさをする。
そして何か思いたったのか、こっちだと言うしぐさをして歩き出した。
「いいところがあるの?」
白蓮についていきながらも、やはりこの動物は私の言葉を理解していると考えていた。
ずいぶんと歩いたが、ほんとうに大丈夫かしらと思い始めたところで白蓮が止まる。
ここだと言わんばかりの仕草をする先に見えたのは、小高い崖に木の陰で見えにくい、人が屈んで入れるぐらいの洞窟らしき入口が見えた。
洞窟らしい場所の近くには、茶色い木の実がなっている。
ここに来る道中にも見かけた実だ。
ハンカチに水分補給のためと、もいだ黄色い木の実は必要なかったかもとちょっと後悔。
だって、荷物になるしね。
でも考えてみたら、茶色い木の実に水分がいっぱいかどうかも分からないし、黄色い木の実は味が美味しく水分がいっぱいだったから水分補給用としては正解だったのかな?
そんなことを考えながら白蓮に聞く。
「あそこ?」
そう指を差し聞くと、そうだと言わんばかりの態度でまた歩き出す。
凄く狭い上り坂を上り、洞窟前で前で止まって私を見る。
入れるのだろうか?屈んで中の様子を見れば、中は意外と広いらしく人が立ち上がっても大丈夫そうな高さもある。
入口が狭いだけだ。
これならば、木の陰に隠れ獣とかにも見つかりにくそうだ。
「よさそうだね白蓮。いい所だね。」
そう言って、白蓮と中に入る。
「奥も続いていそうだね。行っても大丈夫?」
もちろんだと言っているみたいだったので、奥も見に行ってみることにした。
少し広いここから少し下がったまっすぐの、人が一人通れる幅で奥に続いていた。
歩くと後ろから白蓮がトコトコと着いてくる。
少し行くと、先ほどよりは狭いがまた広い空間に出た。
ここにはまるで何かの巣らしく、やわらかそうな寝床らしきものが造ってある。
「ここって、何かの巣?」
驚きが強すぎて、急いで白蓮に聞く。
声も若干震えて、うわずってしまった。
白蓮は、そんなことかと言いそうにしながらトコトコ巣らしきところへ行き、くつろぎ始める。
その様子を見て大丈夫そうだと思い、そばに近寄る。
「ねえ。もしかして・・・白蓮の家なの?」
そうだよと言っているみたいにしながら、うなづく白蓮。
「ここに一人で住んでいるの?私も住んでいいの?」
もちろんとばかりに再度うなづく。
「ありがとう白蓮。お邪魔します。お世話になります。」
そう言ってぺこりと頭を下げると、任せろとばかりに頷いてくれた。
お家ゲットです。
今日から白蓮のお家に居候です。