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ほんとうは  作者: しづ
6/22

遭遇

張切って出発しましたが森なめてました。

スリッパ?それがなんの役に立つの?

履いてないよりまし状態です。

折り畳みスリッパって、所詮は簡易スリッパ。

生地が薄いから凸凹道がきつい。

虫の歓迎も受けています。

食糧?なにそれ状態です。

さっきから見かけるのは、紫や黒のキノコ&木の実。

ここって毒しかないのかって状況にいます。

食べられる茶色い木の実は?赤い果物は?

毒の色だけ聞いたら『そんな色ふつうは毒って思うよ。食べないよ。けっ!』って思ってました。

でもね、でもね。アケビに似た食べ物ありました。まんまアケビです。

小さい黒い木の実ありました。日本でも色が濃い暗い色の実とか見かけてたけど、それよりももっと色が濃く、こんな実もありかもって思わせるものでした。

護衛騎士の話を聞いといてよかったよ。

知らなかったら『日本でも似た感じで見たもんね。これアリでしょ。食べっちゃっても大丈夫かも。』とか思っちゃってたもん。

毒って知らなかったら、お腹すきすぎて挑戦してたわ。

食べ物は毒しか見つからないってどういうことでしょう?食糧確保?私には遠い課題に思えてきました。

あぁ!おなかが空いた。疲れたよ。

・・・こうなったら武器を作ろう!石器時代に戻るんだ。

石の槍を作って、狩りをするんだ。

でも、幸運なことに獣に遭遇しておりません。

軍曹殿!敵発見ならず!幸運でありますか?

・・・あぁ!完璧に疲れてるわ私・・・。

食糧って、現代人の私には夢のまた夢のお話ですかね?


その時ガサガサと木々がゆれた。

「!」

もしかして!バカなこと考えてたからフラグ!フラグ来ちゃった?

やばい!獣?魔獣?

武器ないよ?まだ石器時代ごっこしてないよ?石の槍つくってないよ?

顔面蒼白になりながらオロオロです。

キョロキョロして隠れそうな場所を探すが何処に隠れていいのかわからない。

木の後ろ?でも、隠れきれない。間に合わない?ここで死ぬの?

私やばい!ヤバイ!マジだめ?美味しく頂かれちゃう?

「ぴきょ?」

頭の中がパニックになり恐怖で立ち尽くしていると、かわいらしい鳴き声と姿が現れた。

「ぴきょきょ?」

色は白で、ペンギンの赤ちゃんと鳥の赤ちゃんを合わせたみたいな姿。

小さい赤ちゃん動物が姿を現した。死の恐怖から一転、脱力感が半端ないが、

「か、かわいい!なにこのモフモフの赤ちゃん。さすが異世界!何の動物かわからないよ!」

まさかの遭遇である。

かわいらしく首をかしげて、そのラブリーな瞳で見つめられるとヨダレものだ。

脱力感?そんなもんいっぺんで吹き飛んだよ。逆に力が湧いてきた。主に鼻に力が入って鼻血が出ないか心配だ。

「危険な動物じゃないよね?危なくないよね?かわいいは正義だから大丈夫だよね?」

メロメロになりながら、そっと近づいていく。

「怖くないよ。大丈夫だよ。近寄っても大丈夫だよね。」

怖がらせないように話しかけながら近づいてく。

いっこうに逃げる気配がなく、少し安心しながら更に近づく。

「ぴきょぴきょきょ?」

うれしそうに鳴いている。

逃げる様子もなく、私は謎の動物の前まで来た。

「こんにちは。かわいらしい鳥さん?何の動物だろうね?ねえ、さわってもよいかな?」

そう言って、そっとそっとふれる。

「ぴきょきょ!ぴきょ!」

はっきりと喜んでいるのがわかるぐらい大きな声としぐさで鳴く。

「おまえ私が怖くないの?大丈夫なの?ねえ、もっとさわって良い?なでてよい?」

言いながら更にさわっていくが、嫌がる様子もなく逃げないでさわらしてくれた。

あぁ!至福!

思った通り柔らかな毛並みをしばし堪能。

思う存分満足感を得たが、ハタと思い出し、

「おまえの親はどうしたの?そろそろ戻らなくてよいの?私は・・・そろそろ行くわ。」

名残惜しいが、いつまでもここにいるわけにはいかない。

食糧・寝床等を探さなくてはならない。

人との遭遇?・・・現時点では二の次です。優先順位が違います。

同じ遭遇でも、今この遭遇に満足しちゃいました。

満たされたよ。胸がキュンキュン言ってたよ。

立ち上がって、バイバイと手を振り歩き出した。

「ぴ?」

あれ?なんかついてくる。

「どうしたの?親のとこ帰らないと。」

一度立ち止まってそう言ってが、また歩き出す。

と、かわいらしくトコトコついてくる。

どうしたものかと思いつつしばらく歩くが、それでもトコトコとついてくる。

「親はいないの?どうしよう・・・私と・・・一緒に行く?」

親が探しに来たら襲われるとか、家で飼うのではないからかまわないとか考えつつ、迷いながら聞くと

「ぴきゃ!」

まるで返事をするみたく、うれしそうに大きな声で鳴く。

親の存在はものすごく、ものすごく・・・大事なことなのでもう一度言うが・・・ものすごく不安だが、ついてくるから仕方がないと自分に言い聞かせて抱き上げて歩き出す。

「名前はなんていうの?・・・名付けてもよい?」

不安が消えず、この子に会う前より周りを気にしながらも思わぬ道連れができて、ニヤケながら話す。

「かわいいよね。白かぁ。何て名前にしようかな?」

心なしか瞳が期待するみたく輝いて見えるのは、私の気のせいですかね?

「うーん。しろ、しろ・・・白蓮ってどう? 白いハスの花で白木蓮の別名だったかな?意味に心が清らかでけがれのないことのたとえだったと思う。・・・どうかな?」

そう聞きながら見つめると、嬉しそうにうなづいた。

「頷いた!?言葉がわかるの?・・・まさかね。」

そう言うと首をかしげて見つめてくる。

「言葉わかるの?名前は白蓮でよい?」

恐る恐る聞くと、ひと声あげて頷いてくれた。

やっぱり言葉がわかるみたいだ。

こちらの動物は言葉がわかるのが普通なのかな?なんて賢いんだろう。

すっごく驚いたぞ。

賢くかわいい、旅の道ずれゲットです。

とりあえず親の存在は忘れることにします。

かわいいは正義だ!







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