第32話 ヴァイスのおつかい①
賑やかな街並み。
自分がいつも地下で過ごすことが多いからかいつにも増して眩しく見えて仕方がない
大きな建物が並び露天商がいくつもあって、色んな種族がここに住んでいる。
交易が栄えているからか種族間に対して特に差別というものは無く、
ここではちゃんと一人として見てくれているようだ。
王子達と関所を潜った瞬間バルドと目で合図をして、一人行動に移ったヴァイス。
長身でサングラス、髪型はオールバックは変わらず、いつもは研究者として白衣を着ているが今日は全身黒で統一しているからか余計に目立つようで、ただ歩いているだけで周囲から黄色い声が聞こえる。
普段は魔王国の地下でサイや研究員と話すだけだから、自分が目立つことには気づかないので気にも留めずに目的地までひたすら歩く。
色々なものが並ぶ中、野菜を売っている店で魔王国から輸出されているニジンが目に入った。
(そういえばバルゼルムにも輸出していたんだったのね。)
魔王国からのものはすぐわかる。魔王国特有の魔力を少し帯びているし、何より他に比べて小さい。
ここの国には他から輸入されるものが多く魔王国には魔物の討伐依頼は来るが輸出の話はあまり無いのだ。
それこそ勇者が来る前まではあったが、青い土になってしまってからは輸出できる程のものは作れず量がそもそも足りないので魔王国で食べるのに必死なくらいだ。
輸入できるおかげで国の民は飢えるこのとはないが、活気はなくなってしまった。
(さてと。ギルドはどこだったかしら?)
研究者とは違って、今日はあるものの調査に来ていたのだった
(魔王国で保護したフェンリルといい第二部隊といい、身内だからといってちゃんと調べないとダメね。)
着いたのはバルゼルムのギルドの前
「ちゃんといるのかしら」
ギイィという音とともに大きな扉を開くと中は町よりも活気に満ちてた
大きな男が高らかに武勇伝を話し、討伐依頼のボードの前では男たちが数十人で依頼内容の話をしていた
(うるさいわねえ。)
コツコツと音を鳴らして歩くとヴァイスに気づいた何人かはヴァイスを見て口を隠しながらヒソヒソと話はじめた
「綺麗な兄ちゃん、こんなところでどうした?」
武勇伝を語っていた男は遠くから大きな声で話かけてきた
「聞きたいことがあるのだけれど、ここで魔王国について知ってる者はいないかしら?」
遠くにいるのでこちらも声が大きくなる。が、そのおかげで他の者にも声が届いたようだ
「魔王国?」
ざわざわと周りで魔王国について話す声が聞こえてきた。
「魔王国っていやあ、討伐依頼で必ず成果を出してくるっていう?」
「交易では得にお願いするような品はないな」
「魔物狩りが得意なとこだろう?」
「あそこ通らないと向こう側いけないんだよな」
「武装集団って噂で、戦闘に興味がないと住めないんだったか?」
「…やばいな」
「あの兄ちゃん、魔族か?ここぢゃ見ない顔だな」
「なあ。そういえばレクスが最近来ないが聞いてみるか?」
「あぁ。確かにな。あいつが居たときは向こう側にいくとき楽だったもんなー」
ドサッ
「ッな!!?」
「わあ?!兄ちゃんあんな遠くからどうやって?!」
「聞こえたわぁ。貴方たちレクスをご存じなのね?」
奥のテーブルで昼間から酒を飲んでた商人らしき二人組がテーブルに肘をついて話ていた内容が聞こえた
空いた席に座り、”レクス”という単語を出す
「え?兄ちゃんレクスを探してんのか?」
「んーちょっと違うけど、そんなとこね」
「俺たちも探してんだよ。あいつのとこに討伐依頼出すと安心なんだよな」
「あらそおなのね。お目が高いわあ」
二人の男は商人だという。
一人は宝石商で、もう一人も同じ店で働いている従業員だそうだ
ここ数か月で魔王国を越えてセロンという国に商品を届ける際は必ずレクスに頼んでいたのだそう。
「…なんでレクスに頼もうとしたのかしら?」
「なんだっけか?うーん?」
「お前忘れたらダメだろ!えーっとなんだっけか。そうそう以前ここで商売していた商人に教えてもらったんだよ!」
「そうだそうだ!俺たちがどうしてもセロンに行きたい話をしたら、魔王国を越えるのって結構関所がうるさいだろ?魔王国に知り合いがいるから、そいつに頼んでやるって!」
「あーそれで、ほら。えーっとレクスの兄ちゃん紹介してもらったんだよ!」
「そうだったのねぇ。それで?その商人の名前、教えてくれないかしら?」
なんだかあっさりと話がつきそうでよかったわ
目の前の二人はただの商人みたいだし。後でこちらもちゃんと調べるけど。
「ちょっと待ってな兄ちゃん。」
そう言って席を立って行ってしまったが受付に向かっているようだ。
「あいつ何しに行ったんだ?」
「ねえ。レクスは討伐依頼を受けるとき何か言ってなかった?」
「ん?何か?気をつけろとか、体調は大丈夫かとか、向こうからこっちに帰るときも俺たちを頼れとか。とにかく良く尽くしてくれんだよな!最近は鉱山にも行ってねえから何も無いが、ここにも顔を出してたら会えるかと思って、ここで飲むようにしてんだけど。ここ最近見かけねえんだよ。逆に兄ちゃんはレクスについて何か知らねえのか?」
お酒の入ったグラスを傾けながら、どこか寂しそうに話していた
「…いいえ、申し訳ないけど。私もレクスを知りたくてここに来たのよ」
本当のことは話せない。今魔王国で取り調べを受けているなんて。
「そうだったんだなあ。何も知らねえがもしかしたらセロンに行ったらレクスのこと知ってるやついるかもな!」
「え?それってどういう…」
言葉を言い切る前に視線を感じた。これは殺気ね。
「あなた達ちょっと危ないわね」
「え?」
「おーい、これだよこれ!」
何か紙のようなものを持って走って帰ってくる途中で、男はスローモーションに見えるほどゆっくり倒れた
「な!?オルガ!!!」
「ッチ!!」
私としたことが、ダメね!先手を打たれてしまったわ
「蝙蝠ちゃんたち!」
ギルド内に嵐のように無数の蝙蝠がキィキィと言いながら現れオルガという名前の商人を抱えて外に出た
「うわあ蝙蝠!?」
「な、なんで!?どこから出てきたんだ!?」
ギルド内は軽くパニックになってしまったが、それに乗じてすぐ外に出ることができた
「ぅわああぁあ!!!」
「あなた、名前は?」
オルガは蝙蝠が、この男はヴァイスが抱えて外に出た。
地上よりも空中の方が的にはなるが、距離はとれるし先ほどまでいたギルドから出てきたやつを見つけやすいので空に出たが…
「ななな、なんで?!空!?俺浮いてる!?」
「うるさいわね。飛んでるんだから空に決まってるぢゃない」
「え?あんた魔族だったの!?」
「今さら!?」
「オルガは!?」
無視!?
「まだ分からないけど、まだ死んではないわね」
「な。なんでそんな冷静でいられるんだ!?」
ぎゃあぎゃあと叫ばないでほしいわ
まだ死んでないんだからいいぢゃない
まあ。多分私のせいで怪我を負ってしまったわけだからちゃんち治療しなくちゃね
もう少しあそこに居たかったけど…
あとは蝙蝠ちゃんに任せようかしら。
さてと。
「バルド達のところわかる?」
キィキィと鳴きながら案内してくれる蝙蝠たちのあとを追う
うーん。レクス達ったら何かまだ何か隠しているようね
サイは何か聞いてこれたのかしら?
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遅くなりましたが更新させていただきました!
米問題が解決できないのに裏で動いてる何かは着々と進んでます!
米は?と思う方々すみません。
勇者一行といい、商人といい、謎がどんどん明るみに出てきました。
次回、ヴァイスパート続きます!
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