第29話 先に謝っておくね!好奇心が勝ってしまった!
工房を抜け、精霊の森へ向かう裏通り。
石畳の先には、露店がいくつも並ぶ簡易市場があったのを見て商人達の顔が明るいのに自然と顔が緩む
自分が前の世界で営業をやっていた時、ああやって交渉に行ったりしたことを思い出した
上司は最悪だったけど、生産者さんに会いに行くのは楽しかったんだよなあ
まさか、自分が何かを作る側になるとは思わなかったが。
転生したら今ごろ魔王討伐に向けてスキルとレベル上げに勤しんでパーティを探してソロクエストで出会った仲間と一緒にダンジョン攻略!
…のはずが、何故か魔王の息子に転生してスキル種蒔きって改めてなんだこれは。
そういえば、自分のステータスってどうなったんだろう?
年齢は変わってないから特に何か変わることはないだろうけど…
「坊ちゃん」
「……どうしたの?バルド」
ビックリしたー、危うく独り言でステータスオープンて言うところだった。
「これから森に向かいますが、ここの森は魔物が出ないんですよ」
来た時に持っていた荷台よりも更に大きい荷台をひきながら歩く姿がなんともシュールだった。
「木、切る」
ロークがズンズン歩いて行ってしまうのを誰も追わないが向かう先はきっと同じなのでまあ、大丈夫だろう
「魔物に襲われない森なんてなんてあるの?」
「この国には2箇所だけですね。もうひとつの場所は北に進んだところにありますが、このバルゼルムから北に向かうこの精霊の森は魔物が寄り付かないんです。」
「《魔を孕む夜明け前の霧》が地獄の門を開けるのを許さない」
「瘴気が少ないから魔物が出ない。と言ってますね」
ここでもその会話するの?
あの工房だけぢゃないのか?
「木、切る!」
遠くから大声で切るって言ってる
うんうん、切ろうねー。そして早く帰ろうねー
俺の杵と臼を早く作ってねー
なんか俺の周りの人?が段々キャラ濃くなってきてない?
精霊の森に入り、少し歩くと静かな場所に出た。
一般人の俺でも分かる
ここは何かを感じる場所だ
確かに魔物が寄り付かなさそう。
ここで作るものは何か特殊な効果が出そうだな。
…ん?待てよ
「バルド、ここの森って木を切ってもいいの?」
「ここはですね。そういう森なのです。」
「そういう森?」
「素材として扱う木を切る為の森ですね。」
経済林とか用材林てこと?
「誰かが管理してるとか?」
「あぁ。管理者は……」
「この神からの賜りしここは天界のオアシス!!!」
木の隙間から射す光がなんだかエルネストを神々しく照らしていた
「エルネストが魔王様から管理をお願いされた森。と言ってますね」
「え!父上から?ここって魔王国が管理してるの?」
「えぇ。なのでこの森に入れるのは限られております。ちなみに瘴気が少ないのは魔王妃様のおかげです」
「ここに来てまさかの母上!」
そんなことある?
え、俺の両親すごくない?
やってることが魔王ぢゃないんだけど。
経済林を作ってるのは初めて知ったけど、魔王国だけでは無いってことは他にもある?
ちょっとこれは試したい。
最近は米をとりあえず食べたい一心で考えていたけれど、まだこのスキルがどれだけのことをできるのか試してないんだよな。
「ステータスオープン」
ボソッと小声で言ってみた
〈ステータス〉
転生者
拝島はいじま 秀明ひであき
32歳
サラリーマン営業課(部長)
転生後
ルシアン・アッシュ・フォン・ヴァルデンシュタイン
6歳
レベルMAX
固有スキル 種まき
種族 魔族
獲得スキル 種の量産/ヒーリングフラワー/変質種/爆散花/
魔力 MAX
防御力 加護 神
従魔 フェンリル
なんか増えてる!
スキルが前は『?』だったけど作れるものが増えると増えるってことか。
種の量産は多分、稲モドキのことだな。
あれで稲だったりニジンだったりを作れたし
ヒーリングフラワー?ってあの黄色い種から作った浄化だったり治癒効果のある花のことか?
名前決めてなかったけど勝手に名前ついてるってなんで?
変質種…変質させる種?用水路作ったときに蔓を作ったけどあれかな?蔓自体を強くしたからかな
爆散花……これだけまんまなんだけど?せっかく唯一の攻撃なのにもっとカッコイイ名前にしてほしかった!!
なんか違う感がすごい!名前変更とか出来ないのかな。
あとは、………よし見なかったことにしよう!
むしろ木ここで木を切っていいのならここの木を自分で作れたりしないか?
どうしても試してみたくなって
ジリジリと少しずつ下がってみたり、木を見る振りをして止まってみるがバルドが話かけてくる
「東西南北の衝突を止めてから、もう随分経ちますからね。街道も落ち着き、流通も安定してきました。この様子だけ見れば、魔王様がどれだけ素敵か分かりますね」
ドヤ顔をするバルドを見たら、自分の父親が褒められるのが誇らしい気持ちになるなあ。
バルドを欺こうだなんてほんと申し訳ない
先に謝っておこう。
うーん。
改めて考えると魔王国の位置って凄いよな
通らなければ、他の街へ向かうことも、貿易を行うこともできないのか
「ですが最近、討伐の出動要請が増えています」
「討伐要請?」
「はい。第2部隊がこの間、ヴァイス達によって討伐依頼を報告せずにいた件を覚えておりますか?」
「覚えてるけど、、あの後どうなったかを僕は知らないんだけど?」
そう。知らない
メイとサイとヴァイスがボコボコにした第2部隊はその後、別の隊が回収にきたらしいが俺はずっと馬車の中で先に城に帰ってしまったてからすっかり忘れてた。
「坊ちゃんが畑をリーインと耕していた時ですかね、第2部隊についての報告が上がってきてどうやらただ褒められたくて討伐していた訳ではないそうですよ」
ん?たしか父上に認めてもらいたいだか第1部隊が邪魔だかとかいう駄々っ子みたいなこと言ってたけど、あれが本命ぢゃないの?
「僕が聞いたのは、父上に認めてもらいたいとか第1部隊を見返したいだったはずだけど?」
「それも本心でしょう。あのおバカさんは私が第1部隊にいた時から煩かったですからね。」
おバカさんだと話すバルドは少し悲しそうだ
あのおバカさん。て第2部隊隊長のレクスのことだと思うが、自分の知り合いが捕まったのだからそれはそうだよな。
「ぢゃあ他の理由は?」
「まあ密輸ですね」
は?密輸?!
さらっと密輸って言ったけど、密輸?!
こっちはただ米食べたいだけなのに、なんだか恐ろしいことがさらりと行われているんだけど?!
密輸は俺の力ぢゃどうしようもないし、一応非戦闘員だしな。
…うん。よし!何も手伝うことは出来ないだろう!
そんなわけだから、皆には悪いけどちょっと離れたい
「はい。どうやらその密輸の片棒を担がされていたのか自分から担いだのかはまだ不明ですが、第2部隊が関わっていたことは間違いなさそうですね」
異世界転生望んでたけど、そんな裏でどうのこうのなんて…なんて異世界っぽいんだ!
裏ボスは必要だよな!
誰だか全く検討つかないけど
とりあえず勇者が何かしらに関わっていることだけは分かってるんだけど。
誰も勇者を知らないっていうんだから探しようがないが
「古より仕えし民の声が聞こえる。愚かな者どもがその首元に刃を向けられていることを知らないなんてな…」
「前から居る人ではない商人が増えている。と言ってますね」
いきなりシリアス展開なんだけど、この会話に全くついていけない
早く木の苗を作りたい
この2人には申し訳ないが、この場所が母上の治癒能力で浄化されているのであればここで作ってみたくて仕方がないのだ。
「天から賜りしオアシスに呼ばれていないものがいる、愚かだが仕方あるまい。このエルネストの右手が大人しい内に消えることをオススメするがな」
「ほんと誰と話てるの?」
ずっと木に片腕をついて向こうを向いているエルネストが不思議で仕方がないがゆっくり会話に入りつつ後ずさる俺。
「どうやら不審者がいるようですね。」
「そうだ」
エルネストはこちらを向いて頷いた。
こちらを向いたエルネストにピタっと逆だるまさんがころんだ状態で少しずつ下がる
「自国の泥を落とすのに丁度いいのだろう」
「最近の依頼は、特定の街道に集中していましたね」
「森だな」
「はい。魔王国を通らなければならない場所。
必ず森を越える必要がある場所です」
「?」
難しいことは分からないが、どこかの森がその密輸場所に打って付けなんだな!
ロークにやっと追いついた。
割と森の深いところまで歩いて来たんぢゃないか?
「……土、変」
その一言に、全員が視線を向ける。
「青い……土」
空気が、少しだけ張りつめた。
エルネストは、口元を歪めて笑う。
「坊ちゃん、これは………ん?」
「王子、いない」
「どうやらこのオアシスの闇の部分に誘われてしまったようだな…」
「は?え?坊ちゃんっ?!坊ちゃんどこです?!」
青い土ね!青い土なんて魔王国でも見たことあるから全然珍しくもなんともないね!
バルドもきっとそうだと思うし、…花渡すの忘れたけどまあ何とかなるでしょ!
そんなことより木を植える場所を探さないとな!
足遅いし短いし遠くまでは行けないから、まあ見つけてくれるでしょ!
ごめんね!バルド!
好奇心再び!!
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読んでくださりありがとうございます!
好奇心再びです!
更新が遅くなってしまい大変申し訳ないです……
頑張って更新していきますので、よろしくお願いいたします!
タイトルがいつも迷ってしまい、途中で何度か変わることがあります。すみません…




