第24話 最強執事
さっそく準備をしに城に戻ってきた。
バルドが物すごい速さで荷造りをしていくが、俺は一体何を持っていけばいいのか分からないのでしっかり見守りました。
荷造りを終えて向かうと、既に城門の前にロークが待っていたので小走りで駆け寄ろうとするが遅いのでバルドに安定に抱えられた。
「お待たせしました!」
「…………。」
こちらを一瞥して何も言わずに城門に向き直り、まだ扉は開かないのかと待っているようだ
早くこれに慣れないとな。
「バルド、ここってどうやって開くの?」
「ここの門は開きませんよ?」
「「え?」」
流石にロークも驚いたらしく声がシンクロした。
「ぢゃあどうやって東門を通るの?」
「空から飛んで行きます」
「え?飛ぶの?」
「お・ま・た・せ~ん」
驚いていると後ろからクネクネしながらヴァイスが遠く方からやってきた。
「遅いですよ。ヴァイス」
「サイがなかなか離してくれなくてぇ、もう困っちゃった!」と全然困ってなさそうだった。
「え、待って!飛ぶって何?!なんでヴァイスがいるの?!」
大荷物を持っているヴァイスは頬に手をあてて状況を把握した、
「あらぁ、何も話してないの?」
「百軒は一見にしかずと言いますから。連れて行ってしまった方が早いかと。」
全く展開についていけてないが、まさかの国境越えは空かららしい。
「行く」
ロークは早くしてくれ。と言わんばかりだった
ルシアンは肩に小さな荷袋、バルドは大きな荷車、そして鍛冶師ロークは──工具一式を背中に縛り付けてヴァイスは風呂敷みたいなものを背負っていた。
「こうして見ると、遠足みたいだなぁ」
ルシアンが伸びをしながら言うと、バルドがクスクス笑って
「遠足と呼ぶには、目的とメンバーが特殊すぎますね。臼と杵を求めて国境越えですから」
「カッコよく言うと文明開拓だね!もっとカッコつけると食文化革命」
「しっくりこないのですが、勢いは感じますね」
ロークは沈黙のまま門を眺めていた。
「……行く」
うん。ごめんな。
もう待てなさそうで、これ以上ダラダラしてるとロークは門を登ってしまいそうだったので
2回目の行く宣言で出発することに。
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ヴァイスは俺を抱えて、
バルドはロークを荷車に乗せて飛んだ。
当たり前のように抱えられているが、正直驚いている。
見たことは無かったが、2人の背中には羽根が生えている。
どうやら魔族には元々羽根があるらしく、魔王国に住む魔族達は羽根があると邪魔らしく普段はしまっていたらしい。
今日は2人ともラフな格好をしていて、本当に何を着てもただのイケメン達だった。
魔族の私服の流行は知らないが、前の世界でほぼスーツ生活だった俺としては 、この2人の私服は確実にモテる奴が着るものなのだと直感した。
バルドとヴァイスは簡単に言葉を交わしてすぐヴァイスに行くわよ~と言われながら抱えて飛び始めた。
「ねえヴァイス」
「なぁに?ルシアンちゃん」
「なんでバルドは荷車持ってきたの?今は乗ってるけどロークを運ぶ為ぢゃないでしょう?」
「ロークを運ぶ為よ?」
「え」
「私よりも力持ちだからロークを運ぶことになった訳だけど、抱えたくはないそうよ~」
「へ、へぇ~」
なんでバルドは荷車を持ってるんだ?と思っていたがこの為だったのか。
ちらりと見たが、空中でロークを乗せた荷車をひくバルドはなんだか面白かった。
ちなみに荷物はまさかのグレートバッドという巨大コウモリでの空移動だった。
魔王国では普通に荷物運びとして、街中を飛び回っているらしく 超音波を使って場所を特定して運んでくれるという。
周りに大きなコウモリが、飛んでるのは異様で
こっちは慣れそうにもないなあ
流石に国境越えは難しく 普通に通ることはでなかった。森の中もすごかったが、空もなかなかだった。
「暴走スカイラムの群れです。坊ちゃん、ローク、戦闘になりますのでヴァイスと離れていてください」
「行くわよん、ルシアンちゃん。結構離れないとなのよお」
ラム…羊?え?スカイラムって空飛ぶ羊?!?
草原にいるイメージだが飛んでる。空を。羊が!
目を凝らして良く見ると、可愛いとは無縁の顔をしていて最早化け物。
だけどなんてすごい世界だ!これこそファンタジー!
ロークはグレードバッドを2匹使って荷車ごとこっちまで連れてこられていた。
結構離れたと思うがバルドの戦うところは初めて見るな。
だがその瞬間──
ドンッドンッドンッ!!!
衝撃音とともに視界の端が黒く揺れてバルドが攻撃を放ったらしい
「……来ましたね」
バルドの声は低い。
雲を裂きながら、暴走スカイラムの群れが突っ込んでくる。
同じ種族だが、野生の方は筋肉質で目が血走り、毛並みも荒々しい。
「ちょっと待って!?空で羊との空中戦ってどういう状況!?」
ルシアンの叫びをかき消すように、野生スカイラムの一体がこちらに向かってくる。
「ルシアンちゃん。しっかり掴まっていてね」
ヴァイスはそう言うとバリアを展開した。
その間もすごい勢いで迫ってくるスカイラムという羊の大群
「先を急ぎますので、少々荒くて申し訳ありません」
バルドが羊の方に腕を出してパチンと指を鳴らすと野生スカイラムの体が、一瞬浮いたと思ったら空中で弾けるように吹き飛ばされた。
風が刃となり、野生スカイラムの進行方向を一瞬で断ち切ったのだ
吹き飛ばされた羊は何に斬られたのか理解できないまま、敵は四方へと吹き散っていった。
ルシアンは興奮を隠せない。
ヴァイスに抱えられながらも両手を上げて叫びたい気分だ
「いやカッコよすぎるでしょ!?今何が起こったの!?なんなの!?」
「んまあ、ルシアンちゃんが見てるから張り切ったわねぇ」
「坊ちゃん、お待たせしました」
さらに爽やかすぎる!
「……カッコ良すぎぢゃない?」
「かっこいいかは分かりませんが、褒め言葉として受け取らせていただきますね」
すごい。流石イケメン
全く動じてない!この謙虚さといい俺の執事なの申し訳ないわ
「私だってあれくらいできるわよう」
頭の上で喋るヴァイスの言葉は本気で言ってる感じがしたがとりあえずスルーしておいた
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バルドの凄さを目の当たりにして興奮が止まらない。
あんな攻撃的な羊が空を飛んでるのにも驚いたのに更に問答無用で襲ってくるとか…
国境越えってこんなに大変なのか……
まだ飛び立ってからそんに時間は経ってないだろうが既に色んな意味でお腹いっぱいだった。
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