第7話 見捨てられた男の想い
驚きと感動そして変態で注目される男、山田。
しかし彼にとってはそんな目線の変化を感じている余裕はない。
なぜなら。
彼からは誰も見えなかったから。。。。見えるのはただのロボットだし。
彼の目に映るのは、足元に倒れている自分を助けてくれた陸戦型ロボット。
とじたハッチの上に立つ自分のすね毛。
そして目の前にはこちらのロボットより二回りは大きく迫力満点の敵のロボット。
パイロットの少女に言わせれば「最新型」らしいやつだ。
白旗を受け入れてくれるつもりがあるのかないのか沈黙して全く動く気配がない。
ああ、俺としたことが。
全身が悲鳴をあげながら腰振りダンスを続けるしかない山田。
本人的には「腰振りダンス」ではなく、目立つように白旗を振ろうと全身の勢いをつけているだけなのだ。
リズムよく振り続けないとシーツがペシャンとしぼんでしまい、白旗をふっているように見えなくなってしまうのだから仕方ない。
風にたなびくシーツ、非力なおっさんにとっては重労働すぎた。
でも・・・
もう振り続けるシーツを握る手に握力も残っていない。
手がまだシーツを握っているのかもわからない。
腰がふれているのかだって。
もう感覚がなくなってわからない。
正直これからどうなるのだろうか?
降伏すれば問答無用で捕縛されるものと考えていたおっさん。
敵のロボットは完全に停止して動こうとしないので白旗を受け入れてくれたかどうかわからない。
はげしく後悔が襲いトホホ。
でももう。
もう、ダメだ。。。
茫然とした頭で何となく考えた。
体中がキシキシと痛む。
頭の中が白くなっていく。
全ての限界を悟り、それでも最後の力を振り絞ってはためかせく白旗を見上げる。
その先には、人工的に作られた夜の空。そこに星がまたたくことはない暗闇。
全てをあきらめようかと見上げた天から、頭の中と同じ白い光があふれてきた。
おっさんはもう何がなんだかわかっていない。
その光が妄想ではなく現実であることすら。
ただ呆然と。
輝く光に包まれていく山田は唇を動かした。
俺を助けてくれたあの娘が助かるといい。
赤髪の子はもう気が付いただろうか。
自分の足元のハッチ下にある回復カプセルで今も体を修復している途中だろうか。
命を危険に晒してしまった少女の助けになれただろうか。
今時の若いもんは。
今時の若いもんは。。。。。
涙と鼻水がにじむ。
「いい子が多いなあ」
世界は捨てたもんじゃない。
その瞬間。
二体のロボットを中心に圧倒的な光と熱の暴力が降り注いだ。
「珍道中」明後日も更新します初ポイント付けていただいた方ありがとうございます
明日と明々後日は「大魔王様」更新します。週末まで4日連続で交互更新ですお楽しみいただければ
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