第39話 旅は道連れ世は情け
時はほんの少しだけ遡る。
悪態をついてプリプリしながら立ち去っていく異世界の創造神。
大きな体がズズズズズッと天に空いた異世界への扉?へと吸い込まれていく。
やがて巨体はすっかりと消え去り、広がった暗黒がどんどん小さくなる頃。
巨大化していたおっさんヤマダが突然見えなくなる。
よく見るとおっさんがいた辺りには懐かしいFT-ZXが。
なんだか知らないけどワチャワチャやりとりしてる感じがして。
FT-ZXが投げ飛ばされるように一直線に天に昇っていく。
「専属パイロットのエミイよりFT-ZXへ緊急命令よっ!いますぐ私を回収しなさいっ!!」
「了解!」
格好良く命令している感じのエミイ。
実はサクの横でスマキにされて転がされているのだ。
イモ虫のようにピコピコ動いて、無理やり口にかまされた猿ぐつわをはぎ取って発したのがFT-ZXへの緊急命令だったのだ。
次の瞬間にはエミイを縛り付けていたグルングルン巻きのロープだけ残し、港の公園からエミイは消え去った。
「むほおぉふぉっふ!!!」
FT-ZXのパイロット席。
おっさんヤマダ、なんとなく操縦桿をにぎったりボタンを押したりして操縦している気になっている。
もちろん全ての操作は機械神によりキャンセルされて自動運転。
問題ない範囲でヤマダの操縦にそれっぽく対応してあげているやさしさ付きだ。
そんなおっさんヤマダの膝の上、天に昇っていくGに歯を食いしばっていたヤマダにさらにドスンとGがかかる、もちろんエミイの体重分。
突然の衝撃に思わず声を上げたヤマダ、相変わらず意味不明の叫びなのだ!!
パシンッ!
それっぽく操縦桿を握っていたヤマダの手をエミイがきつく殴打。
厳しいしつけ係の婦人が子供の下手糞な食事作法をしかるために手の甲をパシンとやるヤツ。
わけもわからず『いててててっ』涙目のヤマダ。
「あなた、わたしのFT-ZXを勝手に操縦してるんじゃないわよっ!!しかも全く操縦できてないし!!」
ばれてーら。
メイン・パイロットの命令に思わず従ってしまった機械神。
一応FT-ZXのAIの体なのだから、命令に従ってしまった、反応してしまった!
よく考えればはるか遠くの港の公園からの命令だ、聞こえないフリすりゃよかった。
それに瞬間転移まで使ってしまって。でもそうしなけりゃ搭乗させるのなんてムリだったのだから。
神だってバレてーら
「これからも頼むわよ相棒っ!!」
バレてるくせにAI、パートナー扱い。
数十キロも離れた場所の声を聞き取り瞬間転移で搭乗させるAIがどこにあるっつーの?
こやつワシのこと上手く使う気まんまんじゃない!!
「あ、あの?私のオヒザから降りてもらえませんか?」
丁寧な口調はお願いだ。
おっさんヤマダ的にはエミイと初対面だという形にこだわる。
この世界で知り合ったのは若くてハンサムなヤムダ。この娘はよく懐いてくれてたけど、それは自分に向けてじゃない。
なら前世ではというと、おっさんはエミイとは直接対面してないのだ。対面したのはFT-ZX越し。
そしてあの時の黒歴史は頭の中でムリヤリに消去処理済みだ。
あんなことやってない。あんなことはなかった。
おっさんの頭の中の日記はあのページだけ鉛筆で真黒に塗りつぶしてある。
もちろんフル〇ンダンスのことなのだが。。。
「あらあなた?やっぱり今日もスッパダカなのね!あのときのように白旗振らないの?粗末なモノをペチペチ音を立てながら!!!」
ああなんてことを!!
せっかく塗りつぶしたページ、一気に消しゴムがかかる!!
なにせ出来事は印刷されているのに塗りつぶしは鉛筆、バカなのヤマダ!?
「こんな破廉恥な姿を私のようなウブな美少女に見せつけて喜ぶなんて!あなた正真正銘の変態なのね!いやいや犯罪者よ!公然わいせつ罪よ知ってるでしょう!」
おっさんヤマダのガラスのハートに次つぎとクイが打ち込まれていく。
連続する罵倒はまるでハンマーでの連打かデンプシー・ロールかというほどにおっさんハートを見事に撃ち抜く。
「だめよそれ以上は!」
「もうやめるのだこれ以上はコヤツのハートが!」
「見た目で判断してはいかんぞ想像以上に純粋でもろいのだ!」
「なのなのなの!」
神様ズ必死の静止、エミイの目が青く怪しく光るとおっさんの首に腕をまわす。
「しょうがないわねこのチキンハートが!これ以上犯罪しないようにワタシが見張ってやるから覚悟なさい!!」
「ひゃ、ひゃいいいぃぃぃ!!」
プルプル震えてYESの返事をするヤマダを見て勝ち誇ったドヤ顔のエミイ。
プルンとした唇に指をあてて舌なめずり。お顔は真っ赤に上気している。
「さあ席をどきなさいそしてさっさと服を着なさい!百年でも千年でも付き合ってあげるんだから、あたしたちの旅に終わりなんてないんだからね!!」
珍道中の世界は続きます
彼らの旅先で?何食わぬ顔であなたとすれ違っているかもしれません
ほらソコのおじさんとか
最後までご覧いただいたみなさんへ感謝を込めて




