第38話 逃がすわけがない
狂ったようにジタンバタンする異世界の創造神。
巨大なだけに何とも迷惑行為だ、ジタンとすれば山が崩れバタンとすれば川は消え湖は埋まってしまう。
「おいおい、悔しいのはわかるけどそれくらいにしてくれないか?私が創造したこの美しい世界が壊れてしまうだろう?」
余裕シャクシャクのビッグ・ボス。いくら巨体が暴れたとはいえ、それくらいで世界がどうこうなるはずもなし。さきほどの『この世界を消滅させてやる』発言にイヤミったらしくあてこすったのだ。
「バカな、そんなバカな!あの力、あの輝き、あの神力!あれが神でないならば!!」
狂ったように叫ぶ巨大ガイコツ、いや異世界の創造神。
しかし狂ったような、駄々っ子のようなその動きがとまったのは、まるでなにかに気が付いたよう。
巨大な骨の指先でビシリとおっさんの肩を、つまりはこの世界の創造神を指すとケタケタと笑うのだ。
地獄の底からの嘲笑。魂まで呪うほどの闇の振動。
「オヌシなんかやりやがったの?」
だんだん顔が、いやドクロが近づいてくる。
「ななななんのことかないいががりはやめてくれないかい」
創造神は横を向いてわざとらしく吹けもしない口笛をふこうとすぼめた口から空気をピーピー出しているのだから何ともわかりやすい。
おっさんヤマダはここで思った。
創造神がこのガイコツにヤリコメられてはこの世界が危ない。
言い負かされては困る。
だけど
だけど
もっとうちのボスにお灸をすえてください
この状況チョッピリだけどスッキリ!!
さんざん困らせてからいなくなってくださいガイコツさん!!
やりたい放題のうちのボスが焦ってる、こんな場面見たことないし。
たまには下の人間の苦労も味わえばいい!!
へーーーーー
おっさんヤマダの頭の中で聞こえた。
幻聴ではない。
巨大なガイコツに向かって一生懸命ゴマかしているはずの創造神。ほんの一瞬確かにヤマダを睨んだのだから。
「だ、ダメよヤマダ!ボスは心が読めるの知ってるでしょう!」
「そうだぞそんな不敬なコト考えちゃ!」
「お、おうえんするのだ、創造神さまがんばれええ」
「なのなのなのーー」
勝手なことを言い始める神さまズ。
なんとなく言葉がワザとらしい、そして浮ついてる。
まるっきり本心感なし、まるで『そんなのは言葉にしちゃダメだコッソリ心にしまっておくがいいぞヤマダ!』伝わってくる思い。
先輩たちも気持ちは同じなんですね!
ホーーーーー
「げげげげげっ」
「ち、ちがうんですコレはヤマダが」
「ヤマダの妄想が」
言えば言うほど上積みされていく『やっちまった』『これはまずい!』感、さすがにココまでくれば神様ズの心中もバレバレだ。
そんなワチャワチャ感に巨大ガイコツがしびれを切らす。
やりとりしてる間に手を出すのは無粋である、という美学があちらの世界にもあるらしい。
「何をコソコソとやっておる!ワレは誓おうぞこの世界を必ず滅ぼすと!!今回は引いてやるが次こそは貴様の悪事を起源の神の前にさらしてやろうぞ!!」
スウッ
巨大なガイコツは浮き上がり、そのまま天に空いた大きな暗闇へと戻っていく。
ゆっくりゆっくりとその巨大な体が飲み込まれると、ズズズズズ、と開いた次元がゆっくり閉じていく。
「ところでヤマダくん?」
ヤマダの肩でニッコリ微笑む創造神。
「は、ハイッ!なんでしょうかボス!!」
ピシッと背筋を伸ばすと敬礼っ!
「さまざまなトラブルを解決してきたスーパービジネスマンのキミに尋ねたいのだけど」
「はい!ワタシでわかることなら何なりと!!」
自分のコトだけでもヤバいのに、自分のせいで先輩神様ズまでボスの不興をかっちゃったのだから!
少しでもご機嫌を直してもらわないと!
「問題を解決するためには根本的な原因を解消して本来あるべき姿になることだとは思わないかい?」
「は?え?ええ、まあそりゃーそうでしょうけど?」
なぜ今この会話?
ナニイッテンデスカこのカタ
「異界の創造神の遣いがウチの次元にちょっかいをかけてきた。これが問題だよね?じゃあ根本的な原因を解消するにはどうすればいいと思う?」
もう襲ってこなくなればいいワケですよね?
でもまたやってくる気マンマンでしたから根本的には解決してないですけど。
ひとまずは目先を対処した感じでヒトダンラクですよね?
パチンッ
指を鳴らした創造神。
巨体のヤマダはあっという間に消えてなくなり、残ったのはそれより随分と小さな機体。
マルチアーマー・FT‐ZXが久しぶりにその姿を現した。
搭乗しているのはおっさんヤマダ。
おっさんヤマダと神様ズの同化と巨大化が解かれたのだ。
実はおっさんFT‐ZXの機体に入るのは初めて。興味しんしん。
ハテこれはどうやって運転するんだろ?
ハンドルは、アクセルは、ブレーキはどこ?
かなりちんぷんかんぷん。でもちょっと嬉し楽し。
「ワシが運転するから気にしなくてよいぞ?だがなぜこうなったのだ?」
機械神もハテナマーク。
ワイワイと騒がしいのは他の神様ズも一緒のようだ。
これならいつでもゴールデン・FT‐ZX として出撃できる。
「根本的な解決ができるチャンス到来なんだからキミが放っておけるワケがないよね!!それならばさ!!」
笑顔の創造神。
自分より何倍も大きなFT‐ZXの端っこを掴むと、やさしくキュッと力を入れた。
「あの異界の創造神を改心させるか!そいつらの世界を亡ぼすかだよね、根本的な解決は!!」
え?え?え?
なにいってんの??
それだと今度はコッチが侵略者じゃないの!?
相手の世界滅ぼしてこいっていうのマジデスカ????
「さあ行ってこーーーーーい!!呑み屋の予約は私が行っておくから安心するがいいーーーーー!!」
ギクッ
バレた
創造神が思いっきりFT-ZXをぶん投げる。
猛烈な勢いであっという間に天の頂へ。
そしてそこには、今にも閉じようとしている次元の裂け目!!
「ごゆっくり~~~っ!!!!!」
スポンッ
マルチアーマーFT‐ZX。
おっさんヤマダ。
そしておっさんに力を貸す神様ズ。
ロボット、おっさん、神様。
そんな面々の珍道中は2ターン目に入るのだった。
次回、最終回!




