第37話 それはウエのカタドウシで
ひゅおおおぉぉ
骸骨の目から吹き出るのは暗黒のオーラ。
見るものすべてを凍り付かせ絶望の淵へといざなう。
ゴールデン・おっさんヤマダ、自分よりさらに巨大な相手に詰め寄られてジワジワと後ずさる。
大きなのは体だけではない、吹き出るオーラの大きさもだ。
5体もの大神から力を借り受けているおっさん、もうそこらの神様なオーラがゴールデンに輝いている。
はずなのに。
せまりくる真っ黒ガイコツが近付けば近づくほど、シオシオとその輝きを失っていく。
まるでハッチャけているガキ坊をホンモノがにらんで近付いてくるよう。
巨大な山脈を背におっさん後が無い。
ついにはガイコツはもう触れる寸前、ゼロ距離までひっついてきた。
おっさんの輝きはついにゼロ。
ゴールデンあらためヒトハダのおっさん。
言語化するとなまめかしいが、なんでもないただの年をとってタルんでダブつて薄くてシミてる、そんな目も当てられない状況。もちろん素っ裸だはみ出してあふれたお肉が『タルン』音を出してるかのようにぶら下がってタプタプしている。
「この次元の創造神よ聞いているのだろうが!!」
全てを断ち切るオーラとともに骸骨の叫びが響く。
遠い港町の公園なんて範囲ではない、それは世界中に響き渡る。たとえどこにいようが聞き逃すことなぞゆるされん、そんな勢いで。
「次元間の争いでは神が出撃してはならぬ、それは起源を起こした大神が定めた創造神同士の条約である!!」
ビリビリビリビリッ!
ガイコツが雄たけびを上げるたび、巨大なだけのただのおっさん・ヤマダのカラダはビリビリと振動で震える。
なお。
おっさんの心中は『これってもう俺じゃないですよね?』
まだ担当同士のトラブルなら、ちょいと上の立場の人間が出てきて収めてくればいい。
それぞれの上司が出向いてお話合い。そこは冷静に、それでも譲れない主張をしつつおさめどころを探っていけばいい。
なのにコレって。
いきなり相手のトップが出てきた。
異次元の創造神だ。
敵の親玉。
こちらのトップを名指ししてのクレームだ。
そんなのイチ担当であるヤマダに何とかできるハズがない。
これはもうポカンしかないヤマダ。むしろこれまで冷静に戦闘をさばいてきた先輩格の神々の方が顔色を・・・いや神力の輝きを失っている。
ヤマダを包む神々のくやしそうな意思が頭の中を飛び交っている。
相手は異界とはいえ創造神。
神々からしてもはるか格上。
創造神というのは何もない空間に次元を開き宙を創り星々を生み黄金律を定める。
神を創り命を生み出し世界を創る。
その次元におけるすべての存在も定理も根っこは創造神が生み出したもの。
神を生み出せるのもまた創造神だけ、裏を返せばどんな異界であろうと創造神というのはそれほどの存在なのだ。
「おぬしはその条約を反故にした、これは起源の大神へ反逆の意図である!!たとえワレの神位をかけてでもこの世界を消滅するものぞ!!」
えーーーーっ?
負けたんだからしょうがないじゃない?
だいたいいきなり攻めてきたのはそっちじゃないの。
他の神々と違っておっさん心の中でブチブチと文句を言っている。
さすがに表情はポーカー・フェイスだけど。
おっさんには『もう俺はいいっすよね?』自分が何とかできるなんてカケラも考えていない。
できれば自分はもうグラウンドから出て観客席で客席に座りたい。そしてできればビール飲みたい。
かなり能天気で上司におまかせ状態。
「そうは言うけどね?ボクは起源の定理に反しているなんてカケラも思ってないのだけど。キミの戦士たちを打ち破ったのはこの世界の『ニンゲン』という生命体とその魂なんだから!」
いつの間にかおっさんの肩に座っているのはビッグ・ボス、この世界の創造神。そしてヤマダの雇い主だ。
「そんなハズはない!このモノが醸し出したオーラ、あれは間違いなく神格を得たものだけが出せる輝きである!!」
ガイコツのホネの指先がおっさんの額に突き刺さる。
要はこのガイコツ、または異界の創造神。
こいつはおっさんのことを神だといいたいのだ。
そして神が戦ったから勝った、でもそれはルール違反だから罰を与えてやる!そんな感じなのだろう。
「そうかい?本当にそう思うなら確かめるといいさ」
この世界の創造神。
パチリと指をならすと一風起こり、おっさんのおケケがたなびき、そして股間のお宝も揺れる。
「ああそうさせてもらおうぞ!これが神でないなら何だというのだ!!」
しゃがみ込むガイコツ。
ジロジロ。
目線?は目の前にブラさがるものを品定めするよう見つめる。
風にゆれてブランブランしているおっさんヤマダのアレ。
その後ろに控える袋入りのゴールデン・ボール2個。残念ながら先ほどまでとは違いゴールデンの輝きは見られずシオシオ。
「ふむ・・・?」
ムニュリ
訝し気なガイコツの指がおっさんのナニをつまみあげる。
ちょっと汚いものをつまむ感じなのはおっさんの気のせいだろうか?
すぐ目の先へとまるで検分するかのように。
「え?」
おっさんここで久しぶりに声が出た。
ナニコレ?
ナゼホネがオレのナニをツマンデンノ?
なにをウナッテルのですかワタシのあれで?
ガイコツの指がナニをパツンと離す。ナニはまたもやブランと垂れ下がる。
今度は骨の指を丸めて。
ピンッと横からはじく。
ブランブランブラン
揺れる。
揺れる。
小さく揺れて。
そしてまた垂れ下がる。
「ふむふむ・・・」
どうやらナニに興味をなくしたガイコツ。
またもや指を丸めると。
黄金の宝物が格納された袋をピンッとはじいた。
その瞬間におっさんの脊髄を100万ボルトの電流が駆け上った!!気がした!!
「オンギャアアアアアアアアッッッ!!!!」
世界中におっさんの悲しい叫びが響き渡った。
そのまま内またになってナニを隠すように覆い、ガックリと沈むおっさんヤマダ。
「おかしい、おかしいぞ!!神に性別はなし、しかしこのモノは確かにオスである!!そんなバカな、だが確かにこれはこの世界のオスが持つアレに違いない!!!」
グオオオオオオオォォォッッッ!!!!
ガイコツの叫びがおっさんの悲鳴とユニゾンして世界中に響き渡ったのだ。




