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異世界ロボット珍道中 ~神に見込まれたおっさんが世界を救う~  作者: 水砲


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35/39

第35話 決着!

「ゴオールデン・・・」


黄金に輝く巨人、FTヤマダ。

引き絞った腕に力を籠める。


「パアアァーーーンチ!!!」


ドガガンッ!とゴーレムの胸に打ち込んだパンチ。

あらゆる鉱物に変化する体を持つゴーレムですら、そのパンチをはじくことはできない。

なぜならば。


「俺の右手には神がやどる!!」


ヤマダくんわかってますか?

右手だけじゃなくて、あなたの全身に神が宿りまくってるでしょう?


そんなツッコミをいれてくれるとすれば、それは結婚したころの妻サチエしかありえなかった。

もちろんこんな異世界にいるハズはない。

それでも何となく格好いいことをツッコミ待ちで行ってみたおっさんヤマダ。


拳が深くゴーレムを撃ち抜き、その中心にある魔導核までおっさんの拳は達したのだ。


「ゴオールデン・クロウッ!!!!!」


深く打ち込まれた拳を開き、そのまま力いっぱい魔導核を握りしめた。

指に力をこめ、万力のようにつぶしにかかる。


グオオオオオオッ


ゴーレムの雄たけびが響き、胸元で力を込めているヤマダに腕を振り下ろす。


「ゴオオォールデン・ブウゥロオオッツクウウゥゥ!!!!」


おっさん空いてる左腕をふりあげてゴーレムの腕をブロック。


しかしこのおっさん、必殺技のように何かと叫んでいるがあまりに語彙がない。

もちろんおっさん前世はただのサラリーマン。

恰好のよい決め技の名前なんて思い浮かぶはずがない。


しかしそれでも。


ゴールデンパンチ。

ゴールデンクロウ。

ゴールデンブロック。


手抜きにもほどがある。しかも自分でそれに気づいていない。

とにかく『ゴールデン』をつければそれっぽく聞こえると考えてるフシがある。

叫ぶたびにもったいつけるように引き延ばしたりして若干調子にのっている。


しかしゴールデンなクロウ。

もちろんアイアン・クロウのまねっこなのだけど。

そして皆さんご存じのとおり金は鉄より柔らかい。

見た目の輝きを除けば、強度としては劣化しているのだが調子にのったおっさんが気づくはずもないのだった。


劣化したクロウ程度では、異世界の神がやどる最高強度の魔導核を握りつぶせやしない。

それでもウンウンと指に力を籠めるおっさん。

だんだん握力もなくなってきた。

ここが勝負所だと自分に気合をいれて叫ぶ。


「ゴオオオオォォォォルデエエェェェン・・・」


おっさんの周囲にはかげろうが立ち昇る。

熱気で周囲の地面も岩山もドロドロと溶けだし、木々は自然発火が始まる。


おっさんの魂が燃え上がっているのだ。

闘う魂が熱く燃え盛っているのだ!


「ファイヤアアアァァァッ!!!!!」


ゴウッ!


ゴールデンなおっさんが魔導核を掴む指先が燃え盛り白く輝き青白い熱が固い核を融解させていく。ゴーレムの内部では数千万度にも及ぶ光の球が形成されおり、おっさんが握るわずか数十メートルの空間に太陽の中心核を超えるエネルギーが集約され爆発しているのだ!


パリ・パリ・パリリ・・・


熱で溶けだして、それでも異界の神力で抗おうとするゴーレムの魔導核。

表面がペリペリとはがれ始めた。


「さあ今よ!もう一度っ!」


聞こえたのは魔法神の叫び。

え?なぜ?

集中してたおっさんヤマダ、突然耳元でおおきな声がかけられたようビックリ!何がおこったかわからず小さく『ヒャヒャヒャヒャイン?』と意味不明のことばが口をつく。

そしてそんな心のスキマにマジック・アイテムを差し込む魔法神。

観念上の動作ではあるのだが、穴ぼこが空いてしまった壁面にパテが塗り込まれて乾くの待ち、それなのにまだ柔らかい隙間に・・・・グイと指で押し込んだ。


「変なの!」

「変なの!」

「変なの!」


それは毎秒数千回も繰り返される呪言のようにおっさんにふりかかる。

港の公園でおっさんを笑った少女の声が心の核を叩きまくる。

せっかくヤムダが救い上げて気合を入れたおっさんの魂、真っ逆さまに闇に染まっていく。


攻撃がくると思えば防御しようとする力が働くのがヒトの性。

一番『効く』のは攻撃がこないと思っているときだ。防御しようと鎧を覆うヒマがない。

素のやわらかいところに直撃してしまうのだ。


なんてこったい

なんてこったい

なんってこったい


がちょーん・・・


往年の俳優や音楽家でもあったコメディアンの決めゼリフが頭をコダマする。

みるみる凍り付くおっさんマインド、燃えていた闘魂があっという間に絶対零度。


「さあFTヤマダ、わたしが言う通りに呪文をとなえて!」


魔法神の叫びがヤマダを洗脳する。

もうおっさんに『考える頭』なんて残っていない。

ショックで思考回路は吹っ飛んでるのだ。


ゴールデン!

「ごおるでん・・・」

素直に従うヤマダ、さっきまでの絶叫必殺技に比べてなんともしょぼい小声。


絶対零度!!

「ぜったいれいどぉ・・」


おっさんがマネッコしてつぶやいた瞬間、ゴーレムのコアを構成する分子や原子の熱運動が完全に停止した。全てのものがその活動を止めてしまう最も低い温度。

そこにあるのは静寂。

凍り付き全てが止まった世界。


まるでおっさんの心の中の風景。

魔法使いでもないおっさんヤマダ。

魔法神が手伝っても使える魔法の威力なんてたかが知れている。


だが魔法神は知っているのだ。

この漢のマインドが持つ底知れない力を。


感情に左右されて出力が大幅に増減してしまうのがタマに傷だけど。

心が、魂が叫ぶとき!そのマインドに宿る魔法の威力は神に達するのだ!!


闘魂が滾れば熱い炎が、マグマが宿り

面倒くさいほどの固い信念はオリハルコンの剣を生み

悲しみに泣き叫べば滂沱の涙が水流を生み出し衝撃波が山脈を貫通する。


魔法神はおっさんのマインドを見事にコント・ロールしたのだ!


欲しいのは神が生み出す氷結魔法、つまりおっさんの心が凍り付けばつくほど効果絶大となるのだ。


しかし神だって知ってる。

人間の心はもろい。

おっさんのように根っこが純なタイプはさらにもろい。


『でもボクはおっちゃんのこと大好きだよっ!!』


ヤムダの声がおっさんの心をやさしく包む。

ちなみにヤムダはもうおっさんの心にはいない。

機械神が未来のマシーンで切り取った『さきほどヤムダが語った瞬間』を再生しておっさんの頭に張り付けたのだ。

コピーや録音ではない。まさに語ったその瞬間をそのままヤマダの頭にたたきつけたのだ。

最高潮からどん底へ叩き落され、またもや打ち上げられるヤマダの魂。


"さあいまだFTヤマダ!"

"そうよやっちゃってFTヤマダ!"

"そうじゃ今しかあるまいFTヤマダ!"

"やっちゃえーーーFTヤマダ!"

"なのなのなのーーー!"


ヤマダに宿る神様ズ。

おっさんの背中に向けて勢いよく指を振りかざし、5神は同時に背中を押すのだ。

背中にあるおっさんの『やる気スイッチ』オンッ!!!!!


「ふんにゅるるるるうううううう!!」


指先に全力を叩き込んだ叫び。

そんなの『うおおおお!』でよいハズなのだがやっぱりはずす。


バキリ


そして。


パリン・・



超高温で熱したものを急激に冷ますと割れます。

これは鉱物だけにかぎりません。おっさん山田のマインドはコナゴナ寸前でした。


巨大ゴーレムの魔導核がついに粉々にくだけたのだ。

一瞬にして砂つぶとなって崩れ去っていく巨大ゴーレム。

風が小さな粒を吹き飛ばし跡形もなくなっていく。


"やったわねFTヤマダ!"

"ついにやりやがったこの漢が"

"世界を救いおったぞ!"

"大したヤツだぜ"

”なのなのなのーー”


シャキイィーーーーンッ!


両腕を平行に振り回し任務完了の決めポーズ!


おっさんヤマダ、偉大なるチキンハートがついに世界を救った瞬間だった。



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