第31話 遠くてもよく見える
ここは海辺の街。
大きな港が整備された港湾都市というヤツだ。
この時代で国の十指に入る大都市なのは、この場所が王国に必要な物資の巨大な供給源となっているから。
この港町に流れ込み海へとつながる巨大な河川をさかのぼれば、神の森と呼ばれる巨大な山脈と広大な森につながる。人間がほとんど立ち入っていないのだから、レアな資源は必ずココから見つかると言われるほど。
そんな街にお決まりなように港がよく見える高台の公園がある。
家族連れが、カップルが。
穏やかな海をのんびり眺めながら、思い思いの時間を過ごす。
広く大きいもの、美しいもの、穏やかなもの。
そんな神々の造形を楽しみながら、大切な人との時間を過ごすのだ。
ドゴオンッ!
そんな穏やかな公園に激しい衝撃が響いた。
随分遠く、まるであの山脈から聞こえたようにも思えるがそんなはずはない。
数十キロは離れているだろうあの場所で何が起ころうと、まずここまで伝わるハズがない。
「「「「「合っ体ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」」」」
その後に聞こえてきたあの叫び。
そこにいた市民たち、みんなが遠くを見つめる優しい瞳。
どんな言葉にすればあの感覚が伝わるのだろう?
高貴、輝き、涼やか、穏やか、暖かさ、優しさ、勇気、思いやり、尊敬、、、、
そんないろんな想いが胸を震わせる。
いろんな嬉しさが同時に胸の鐘を右から左から上から下から叩きまくられたよう。
それはまるで。
そう、まるで神の声を聴いたようだ。
歓喜に輝く老人のしわ深い顔。
飛び上がって全身で喜びを表現する女の子。
つないだお手てにギュウと力が入った初心なカップル。
そしてみんなの歓喜は次の一声で最高潮に達した。
「「「「「FTヤマダここにブラリ参上っ!」」」」」
えふ?てー?
ヤ・マ・ダ?
ブラリ・・・・
その場所にいた老若男女は心をひとつにして決めた。
意味のわからない言葉はホカしておこう。
この神の声が伝えたいのはきっと。
神様から遣わされる”なにか”がココに現れたということに違いない。
参上、だし。
「トウリャア!!」
そこに突然現れたのは金色の巨人。
クルリクルリとポーズを決める。
まるで全身を黄金で包まれたかのような輝くボディがまぶしい。
クルリと振り向いた黄金の巨人、その前にいつの間にか現れた白く輝くゴーレムが襲う。
絶妙な体幹でポーズを決めながらよけていく。
もつれたゴーレムと手四つ。
今となってその巨人はゴーレムの背中越しで正面だ。
しかし。
しかししかし。
なぜなんだ!!!!
「ママー!あの金ぴかの人ブラブラしてるーお風呂のパパと一緒ーっ!」
「変なのっ!!」
こういう時の女の子の声ってよく響くのだ。
たとえば異界のゴーレムと闘っているおっさんの耳なんかにはハッキリと。




