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第23話 ヒーロー参上

ヒュルルルルルッ


暗雲立ち込める天の遥か高いところ。

両手両足を大きく広げてヒーローが空へと飛び出していた。


地表で闘い続けるユーリ・エストラントからすれば、真っ暗闇の天井で黄金に輝く点がキランッ♪と光り、金の流星がまっすぐに自分のもとへ吸い込まれてるように落ちてくると見えただろう!


『やっと援軍が来たようですよ。うちのボスも随分と手を抜いて余裕しゃくしゃくなのが腹立たしい』


「大丈夫なヤツってことでいいんだよな?暗黒竜はあいつにまかせて一気に灼熱魔人と巨人をやっちまうぞ!魔法発動準備だっ!」


『了解。あの味方は私の方で暗黒竜へと誘導しておきます。どれほどの戦力か測りかねますがまかせるしかありませんね』


神のナビゲーターがスタンバイさせた破壊魔法はユーリの魂へと譲渡される。

限りなく神に近づく力を持ったユーリにしても、ココゾという時にしか放てない神界レベルの魔法だ。一度放てば魔力はからっぽ、おそらく飛行することも危うい。

なんとか巨人と力を貸している灼熱魔人を打ち破る必要がある。暗黒竜に関しては「援軍」に期待するしかない。魔法を放ち終わればもうなんの力も残らないだろうから。竜の目の前に墜落しても指一本動かすことができずにプチンと踏みつぶされて終わりだ。



「よし行くぞっ!!」

「ひょおおおえええええぇぇぇえ!!」


暗雲立ち込める閉鎖領域の天空。

FT-ZXから手を離したおっさん山田はそのまま体を広げて一心に風の抵抗を受け落下していた。


手には聖剣ギリザトゥース。

行くぞと威勢の良い掛け声をかけたのが聖剣でつまりは戦神であり、その後に続く残念な悲鳴がおっさんである。


おっさんスカイ・ダイビング経験なんてあるわけがない。

そんな時間があれば娘と少しでも会話しているだろうに。

しかもなんとなく高いところもスピードも苦手。


おっさんは長時間にわたりそうな商談の前には朝から水分を控える。

前世的には尿酸値的によくないことなのだが大切なことだ。たとえ右足の親指の付け根がなんとなくウズく気がしてビクビクするは仕方ない。

もちろん今のおっさんには関係ない話。若くて健康、訓練で鍛え上げた体はタプつく脂肪は絶対見つからないかくれんぼ。神の加護が尿酸炎結晶なんて剥がれ落ちた瞬間に消滅させる。


長々と説明させていただいたがつまりはおっさん『オシッコ漏らさずにすんだ』


「あの黒い竜に誘導が入ったぞ。敵は闇属性だ、こっちは聖属性全開で突っ込もうぜ!!」


あのはるか地面に小さな点にしか見えないヤツに?

こんな自由落下の速度で地上にいる暗黒竜に剣を突き刺すつもりですか?


おっさんドビックリ。


いくらなんでもハードルが高すぎるのではないでしょうか?こちらは戦闘の素人ですからアハハハハ。その件につきましてはいったん保留にして別の手を考えるということでいかがでしょうか?


そんな打ち合わせをする時間なんて与えられない。


戦神はハイグレード脳筋なのだから。

考えるよりも戸惑うよりも。まずは突き進むのみ。

当たるも八卦、はずれたらその時考える。

行くぞという掛け声はただの気合い入れでしかない。おっさんを誘ったり確認したりなんてするわけなし。コイツは俺と同じ気持ちだと信じて疑う余地なしなのだから。



「ええ検討させていただきま・・・ギョエエエエエエッッ!!!」


今日何度目であろう。

意味不明の哀しい叫びが空に響くのだった。


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